超弩級宇宙戦艦パルシファル

ヒルナギ

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狂神に捧げる戦い 06-01

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 シュレーゲルは、ブリュンヒルドの作戦室から量子リンクで接続しパルシファルでの会議に参加していた。

 シュレーゲルから立体映像でパルシファルの乗組員が見えているように、向こうから自分の姿が映像で見えているはずだ。

 パルシファルの作戦室は、現代の戦艦ではありえないクラシックな雰囲気を持つ部屋である。

 重厚な木製の長机が部屋の中心に置かれ、その両側にパルシファルのメンバーが並んでいた。

 それにしても、机の両脇に配置されたメンバーは見事に対照的である。

 シュレーゲルから向かって左側には、強面のベテラン乗組員が。

 そしてその反対側には、若い乗組員が並んでいる。

 シュレーゲルに対面する正面に、ロキとティークが並んで座っていた。

 シュレーゲルから見て左側の最奥、ロキの右手に座っているワルターが口を開く。


「本会議は、艦長であるワルターが進行する。さて、諸君。会議をはじめる前に初対面のものもいることだから、軽く自己紹介をしてもらおうと思う」


 ワルターは、ロキに少し目を向ける。


「よろしいですな、陛下」


 ロキは、笑みを浮かべて頷く。


「ワルター艦長、これは君の船だ。君の好きに、するがいい」


 その言葉を受けたように、ワルターの隣に座る太ったおとこが楽しげに笑いながら口を開いた。


「支援部隊の戦闘隊長、フッサールだ。よろしくな」


 その隣に座る、怜悧に輝く瞳を持つおんなが口を開く。


「戦闘班長、キルケゴールです」


 そしてその隣に座る、頑強そうな身体を持つおとこが続けて名乗る。


「航海班長、シーマン。よろしく、お願いする」


 待ちかねたように、シーマンの向かい側に座る金髪碧眼をもつ美しい青年が、楽しげに声をあげる。


「科学班長、フランツ・フェルディナンドです。フランツと、お呼びください」


 あいかわらずの調子に、一同は少し苦笑する。

 続けて赤毛をおさげに括った少女が、挨拶をした。


「サーシャ・サムセンコ、整備班長です」


 思わずといった調子で、シーマンが口を開く。


「若いね」


 凶悪な目つきで、ワルターがシーマンを睨む。


「サーシャは、整備士としておれの知る誰よりも有能だ。少なくとも、テラではトップクラスだ」


 シーマンは両手をあげ、首を振った。


「了解だ、艦長。もちろん、能力に疑いをもったわけじゃあない」


 サーシャは、薄く笑う。


「恐れ入ります、艦長」


 ワルターは、頷くと鋭い瞳をサーシャの隣に座る少年に向ける。

 黒髪でどこか茫洋とした眼差しをを持つ少年は、会釈をした。


「機関班長、トーマス・ウェルナー。この船に乗せてくれて、ありがとうございます。とても楽しませて、もらっています。対消滅リアクターエンジンは、いくら掘っても掘り尽くせない金鉱のようです」


 その言葉に、フランツがよろこんで手を叩く。


「やあ、君とは話が合いそうだね。ウェルナー君」


 ワルターは刺すような目で、フランツを睨む。


「そういう話は、後でしろ。では、シュレーゲル参謀、はじめようか」


 シュレーゲルは、自由な気風のテラ艦隊であってもかなり個性的な面々に若干辟易としながらも、頷いて話をはじめる。


「残存した銀河連邦の艦隊は、木星のアクセスポイントで我々を待ちかまえています。彼らは残存した戦力で我々ともう一戦交えるつもりのようです」


 ティークが、うなり声をあげる。


「パルシファルは、エンシエントロードを使わなくても量子跳躍航行ができるのだろう? だったら、アクセスポイントにこだわる必要はないんじゃあないかな」


 ティークの問いに、シーマンが答える。


「ティーク執務官、残念ながら我々は正確な銀河系の航路図を持っておりません。だからもし百パーセクをパルシファルが量子跳躍したとして、再実在化したときにそこが恒星の中心ではないという保証がないんです。リスクを避けるには、エンシエントロードを使う必要がある」


 フッサールが、口を挟む。


「しかし、残存した連邦艦隊の戦力はたかがしれてるんだろう。パルシファルで蹴散らせば、いいんじゃあないか」


 シュレーゲルが、首を振る。


「おそらく残存した連邦艦隊が我々に戦いを挑む以上は、パルシファルのメインビームシステムであるグングニルへの対策は用意していると思うべきです。彼らは、近接戦でパルシファルをしとめるつもりでしょう」


 むう、とフッサールはうなる。シュレーゲルは、言葉を続けた。


「連邦艦隊にはまだ少なく見積もっても五十機は、ミリタリーモジュールが残っているはずです。へたをするともっと、八十機近く残っているかもしれない。パルシファルの艦載機では、太刀打ちできない」


 ワルターが凶悪な眼差しで、シュレーゲルをみる。


「パルシファルの武器は、ビーム兵器だけではない。強力な物理兵器も、ある」


 ロキが、首を振った。


「あれはだめだ、ワルター艦長。あれを人類同士で使用するのは、最後の手段となる」


 ワルターは不機嫌な眼差しをロキに向けたが、口を開くことはなかった。シュレーゲルは、ロキに向かって頷く。


「わたしたちは、連邦艦隊の挑んでくるであろう近接戦を受けてたちます」


 フッサールが、愉快そうに笑った。


「そのために、おれたちがここにいるってわけだ」


 シュレーゲルは、頷く。


「連邦艦隊は、量子化した状態で曳航しているカイザー・ヒューゲルには気がついていない。そこに搭載した機体を合わせて、わたしたちには全部で九十六機のミリタリーモジュールが、ある。数の上では、最悪の想定であっても連邦を上回るはずです。しかも、アビオニクスをフランツ博士にアップデイトしてもらったおかげで、機動力でも連邦と互角となっている」


 シュレーゲルは、落ち着いた眼差しで一同を見渡す。


「近接戦で、勝てますよ。我々は」

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