【R18】ニンジャ、ぱんどらの箱を開き希望を見いだす

ヒルナギ

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第三話

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 おとこは。

 荒野を渡る風のような声で、その花のように儚く美しいかんばせに問いを投げます。

「おまえは、なんだ」

「迎えにきたのさ。黄泉のくにからね」

「おまえは」

 おとこは、薄く笑みを浮かべたおんなのかんばせへ、さらに問いを重ねます。

「冥界と現世を飛び交う、鳥だというのか」

 おんなのかんばせは、そっと笑みをうかべました。

「そうだね、あたしはハルピュイア。ひとの生命を喰らい、その魂を冥界へと持ち去る」

「おまえの所望は」

 おとこは、影のように昏い姿を一歩進めます。

「おれの生命だというのか」

 闇が大きな鳥の翼が羽搏くように、幾度かゆれました。

 黒い風のようなものが、わたしたちのそばを吹き抜けてゆきます。

「まずは、そうさね。おまえの名をもらおうか」

 白いおんなのかんばせは、薔薇のように真っ赤な口を開いて笑います。

「おれは」

 おとこは死のように暗く静かな声で、おんなの問いに答えます。

「百鬼、という」

 おんなの目が、昏くつりあがった。

「たかが、ひと風情がその名を名乗るか」

「それと」

 おとこは、刀を抜き放ちます。

 夜空を渡る流星のような輝きを放つその刀を、地に対して水平に構えると、おとこは言葉を重ねました。

「おまえの名も、くれてやる」

 刀は、血に飢えた歌をうたっています。

 それは、ひとを殺すためだけに産まれてきたものがもつ、純粋といってもいいであろう剥き出しの欲望でした。

 おんなは怒りのあまり、深紅に染まった瞳でわたしたちを睨みつけます。

「おまえは死鳥だ」

 その瞬間刀は、絶叫をあげるように激しい光を放ち、わたしは恐ろしくて思わず目を閉じました。

 わたしが再び目を見開いたとき。

 そこには、漆黒の生地に朱色の羽が舞い散る様を描いた着物をきたおんながおりました。

 おんなは、手を広げ叫びます。

 着物の袖が、翼のように闇の中で翻りました。

「たかがひとごときが、あたしを斬るというのか」

「おまえが悪魔であれ、天使であれ、おんなであれ、ひとの姿をとるのであればひとの理に縛られる。だから」

 それは、一瞬のことでした。

 刀は、夜を、闇を彗星のように切り裂くと。

 おんなの肩から腰に向かって斬り下ろしました。

 その残酷な歌は、狂おしい欲望の雄叫びとなり闇を満たします。

「おれは斬ることができる」

 おとこはゆらりと踵を返すと、箱の外へと向かいました。

 わたしは。

 それが、悪魔であれ、天使であれ、おんなであれ、ひとであれ、かみであれ。

 猛り狂う死の前では。

 等しく頭を垂れるのだと。

 そんなふうに、思いました。
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