お色気要員の負けヒロインを何としても幸せにする話

湯島二雨

文字の大きさ
21 / 49
第6章…栗田柊斗はスポーツで無双できる

草野球の試合①

しおりを挟む
 ウチのチームはタートルズ、相手のチームはラビッツというらしい。
タートルズ対ラビッツの試合が始まった。

さっき梨乃の投球を褒めていたおじさんが打席に入った。
この人が1番バッターだったのか……ていうか怖っ。威圧感が出てる。オーラが出てる。

梨乃はウインクした。
1球目からいきなりカーブを投げるのか。
俺は頷き、キャッチャーミットを構えた。


ギュインッ

ククッ

ズバンッ!


俺が構えたところにぴったりとボールが投げ込まれた。捕りやすくて助かる。俺が捕ったというより柊斗の運動能力反射神経で全自動で捕った感じだけどな。

今のカーブめっちゃ曲がったな。変化球のキレ、コントロールが完璧ですげぇよ梨乃。
これで野球部じゃないとかウソだろ。弓道部だから狙った的に命中させるの得意って言ってたけどそういうレベルじゃねぇよ。どんなスポーツでも一流な梨乃のセンスがすごすぎる。


「柊斗くんすごーい!」

え!? 俺!?
柚希が俺に拍手してくれたけど今のは俺じゃねぇだろ。俺は捕っただけだぞ、すごいのは梨乃だろ……

まあでも、柚希の声援でしか得られない栄養があって、めちゃくちゃ照れるし嬉しい。ありがとう柚希。


―――ズバーン!!

「ストライク! バッターアウト!!」


1番バッターの強そうなおじさんを空振り三振に仕留めた。
すげぇな梨乃。威圧感すげぇおじさんだったのに。

その後も梨乃は快調なピッチングで1回表を三者凡退に抑えてみせた。
この試合に出てる女の子は梨乃だけなのにこの堂々とした活躍。すげぇかっこいいな。

梨乃とハイタッチをして攻守交代。
次はタートルズの攻撃だ。


「栗田君、キミがタートルズの1番バッターだ」

「えっ、俺が?」

「チームで一番足が速いのはキミだからな」


まあ、頭痛は覚悟の上で全力でやるって決めたからな。必要な時はちゃんと走るつもりだ。

俺は打席に立つ。


「柊斗くんかっとばせー!!」

柚希も一生懸命応援してくれてるからな。1ミリたりとも手を抜くものか。
俺は柚希のために打つ。


頭痛は覚悟の上と言ったが、頭痛が起こらないに越したことはない。頭痛が発生するとチームに迷惑をかけるかもしれないからな。
手抜きはしない、頭痛はできるだけ起こしたくない。どうすれば……

そうだ。あるじゃねぇか、全力で走らずに済む方法。


相手のピッチャーが投げた。

カキーン!!!!!!


俺は初球を打ち返した。
打球は柵を越えて近くの川にポチャンと落ちた。

全力で走ったらキツイのなら、ホームランを打てばいいじゃないか。

で、実際に打てた。
打ったのは俺じゃなくだ。俺はただバットを振っただけだ。栗田柊斗の能力で打てたんだ。
柊斗の肉体になってみて柊斗の天才っぷりがよくわかって恐怖すら感じるほどだ。


「キャーッ!! 柊斗くんすっごーい!! かっこいいー!!」


柚希がジャンプして喜ぶ。胸がたゆんたゆんと揺れる。

ホームランを打って、柚希にかっこいいって言われた。
ヤバイ、超気持ちいい。マスターベーションと同じくらい気持ちいい。

俺は絶頂気分でゆっくりと走り出す。
ゆっくりとジョギングのスピードで1塁、2塁を踏む。

頭痛がしないように慎重にゆっくりと走り、3塁も踏む。


「おい、遅ぇんだよ。もっと早く走れようぜぇな」


相手チームのサードを守る人にキレられた。

怖っ。超怖ぇ。
ただでさえ相手チームは体格良いおっさんばかりなのにその中でも特に体格良くて怖そうなおっさんにキレられちまった。

さすがにチンタラ走りすぎたか。煽りだと思われたかもしれない。
違うんだ、決してふざけているわけではない。頭痛くなるから仕方ないんだって言うべきか? でもそれじゃなんで試合に出てるんだよってなりそうだな。
とにかくふざけてない、次はちゃんと真面目にやってるんだってことを証明した方がよさそうだ……

内心ビクビクしまくりながらもベースを1周し、ホームイン。
俺のホームランで1点を先制した。


「ナイスだ栗田君!」

「ありがとう龍崎さん」


まず梨乃とハイタッチし、チームメイトみんなとハイタッチをした。

ちょっと怖かったけど頭痛は起きてないし、まずは試合に貢献できた。
ホームラン最高だ。


1回ウラが終わり、1-0でタートルズがリード。
2回の守備についた。

2回表の最初の打者も梨乃が難なくアウトに打ち取った。

キャッチャーの方も今のところ順調。
梨乃のコントロールが良いから捕りやすくて守りやすい。
不安は多かったがキャッチャー意外といけるかも……!


キィン!

ゴッ!!!!!!

「ぐぅっ!?!?!?」


意外といけるかもって言ったそばからフラグ回収が早すぎる。
相手バッターの打ち損じたファウルチップが俺の顔面を直撃した。

もちろん顔も頭も防具を装備しているが、それでも硬いボールが顔面に当たるというのはとんでもない衝撃で脳がグラッと揺れた。


「うぅっ~……!!」

「あ、ごめん! 大丈夫か!?」

バッターも審判も心配してくれるが今は返事をする余裕がない。

マジで痛ぇ……首が取れるかと思った……
防具を外し、顔を抑えて悶絶する。しばらく立てそうにない。


「柊斗くんっ!!」


その時、柚希がダッシュでこっちに駆け寄ってきた。
柚希の揺れる胸を見たら、脳が回復していくのを感じた。


「柊斗くん大丈夫!?」

「だ……大丈夫です……」


返事する余裕もないと言ったが柚希が相手なら話は別だ。

ていうか、俺今、柚希に抱かれているじゃねぇか!!

俺の頭が動かないように頭部を優しく支えてくれている。そしてもう片方の腕はぎゅっと俺の身体を優しく抱きしめている。
そして、たわわな胸がむにゅっと押し当てられている。

頭を痛めてる場合じゃねぇ!!
ついさっきまで地獄の苦しみだったのが一転、天使の羽で愛撫されているかのようなふわふわ天国になった。

全体的に柔らかくてめっちゃいい匂いがして、痛みなんかどこかに吹っ飛んだ。
ドスケベでド単純な俺は瞬時に全回復した。回復しすぎて逆に天に召されそうだ。


「あっ、大変! 柊斗くん血が出てる!!」

「えっ!?」


あ、ホントだ。鼻血が出ている。
さっきボールが顔に当たったから出血したのだろうか。
……まさかとは思うが、柚希の柔らかい乳で鼻血出したんじゃ……いや、まさかな。いくら俺がスケベで興奮してるとはいえ鼻血は出さないだろ……漫画じゃあるまいし……いやこれ漫画の世界だったっけ。


「柊斗くん、ジッとしてて」

「え……?」

ふきふき

「……!!!!!!」


柚希はハンカチを取り出して、俺の鼻血を優しく拭いてくれた。


「ちょっ、柚希さん……!!」

「こらっ、動いちゃダメ」

「柚希さんのハンカチが汚れてしまいますよ……!」

「そんなのどうでもいいから」

鼻血が止まるまで、柚希は真剣な表情で介抱してくれた。


「柚希さん……ありがとうございます」

「気にしないで、このくらい当然。柊斗くんは酔っぱらった私をお世話してくれた恩人なんだから」

「…………はい……」

酔っぱらった柚希を介抱したのは、じゃないんだよな……
幸せだけどそれと同時になんか申し訳なくなってきた……


「あの~……そろそろ試合を再開してもいいかな?」

審判のおじさんに言われて俺はドキッとした。今試合中なのも忘れるくらい柚希に夢中になっていた。

「あっ、はい、大丈夫です! すみませんでした!」

柚希はそう言ってペコッと頭を下げ、元いた場所に戻っていった。

俺は柚希のおかげで復活し、試合が再開された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました

ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。 意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。 しかし返ってきたのは―― 「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。 完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。 その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...