162 / 166
最終章…たったひとつの愛
狂うほどに愛したい①
しおりを挟む―――
仕事が本当に忙しい。
だが美希のためだと思えば辛いと思うこともない。
すべては美希のため。
そしてこれから生まれてくる新しい家族のため。
家族のために頑張る。
帰宅したのは22時頃。
寄り道しなかったのに今日はいつもより遅くなってしまった。辛くはないがさすがに疲れたな……
「ただいまー」
「おかえりなさい竜くん」
こんなに遅くなってもすぐに美希が笑顔で出迎えてくれた。
これだ……これが見たかったんだ。
オレは美希の天使の笑顔を見るだけで一瞬で疲れが吹っ飛んで癒される。美希がいるからどんなに忙しくても辛くない。
頑張ってよかったって心の底から思える。
仕事を頑張って家に帰って美希の笑顔に癒されて元気が出て、毎日毎日同じことの繰り返し。だがその繰り返しを何度経験しても幸せだ。
美希はエプロンを着けていた。可愛い。
「竜くん、お仕事お疲れさま」
「あ……ありがとう」
「竜くんいっつもお仕事すごく頑張ってるよね。偉い偉い」
美希はオレの頭を撫でてくれた。
オレはドキッとして硬直することしかできなかった。鏡を見なくても真っ赤になってることがわかる。
「な、何言ってんだよ、美希のためならこれくらい当然だって」
「ありがとう、すっごく嬉しいよ。……でもね、竜くん―――」
美希は真面目な表情に変わって、オレの頬に手をそっと置く。
真面目な顔した美希も可愛すぎて、オレは魔法にかけられたように動けなくなる。
「頑張りすぎて無理したら絶対ダメだからね? もし竜くんのお身体に少しでも異常があったりしたら絶対に休ませるからね。
夫の体調を気遣うのも、妻として当然の役目だから」
「っ……! わ、わかってるよ……」
お、お、夫……!
それだけでオレはボンッと爆発するくらい赤面した。
美希に夫って言われただけでこんなに嬉しい気持ちになるなんて、オレはつくづく単純だ。
何よりも美希が真剣にオレのことを心配してくれてるのがとても嬉しい。
「み、美希の方こそ、いつも家事を頑張ってくれてるじゃないか。こっちこそ本当にありがとう。感謝してもしきれない」
「えへへ、竜くんに褒められちゃった」
美希に与えてもらってばかりじゃダメだ。料理を作ってくれたり洗濯してくれたり掃除してくれたりするのを当たり前のことだと思ってはいけない。常に感謝の気持ちを伝えることを忘れるな。
「それはそうと、竜くん。ごはんにする? お風呂にする?」
おお……! これは夫婦として定番のやり取り……!
ここはごはんでも風呂でもなく、『美希にする!』って言いたいところだがごはんか風呂かって聞かれてるんだから2択だ。
「そうだな、汗かいちゃったし、まずは風呂にするよ」
「わかった。あ、でもごめんね。私が先にお風呂に入ったから風呂場に私の髪の毛とかあるかも……」
「大丈夫。何の問題もない」
構わないどころかむしろ好都合だし。美希が入った残り湯を使えるとかご褒美でしかない。
―――オレは風呂に入って、この幸せを骨の髄まで堪能する。
…………
未だに美希がオレのお嫁さんになってくれたことが信じられないと思う自分がいる。
無理もないかもしれない。美希は憧れのアイドルで、高嶺の花だったんだから。
―――それでも、オレと美希は結婚した。
結婚したんだ。
結婚式も挙げた。新婚旅行にも行った。子作りもした。赤ちゃんもできた。
オレたちは夫婦だ。
誰が何と言おうと、夫婦なんだ。
―――
オレは風呂から上がって、リビングへ行く。
そこでは美希がキッチンで夕食の準備をしてくれていた。
料理する後ろ姿だけでも可愛すぎて色っぽくて、情欲を煽られた。
毎度毎度、夫なのにこんなに余裕がなくて理性を保てない。
「竜くん、湯加減はどうだった?」
「ああ、すごくよかった」
「そっか、それはよかった。
はい、ごはんできたよ」
「ありがとう。……あれ?」
テーブルの上に置かれた夕食。
そこには美希の分の夕食も置かれていた。
「美希、まだ夕食食べてなかったのか?」
「うん、竜くんと一緒にごはん食べたかったから」
「オレが帰ってくるまで食べずに待っててくれたのか!?」
美希は恥ずかしそうにコクッと頷いた。
すごく嬉しいけどこんな時間まで待たせてしまったことに罪悪感がある。
「……オレのことなんかほっといて先にメシ食っててよかったのに。
腹減ってんのにこんな時間まで我慢してたらダメだぞ」
「ごめんね。でも1人で食べてもつまんないし。
どうしても竜くんと一緒に食べたかった」
「っ……!」
言動がいちいち可愛すぎる。オレの心にクリティカルヒットすることしか言えないのか。
「……ごめん美希。もっと早く帰れるように頑張るから」
「いいのいいの。私が好きで勝手にやったことなんだから竜くんは何も気にしなくていいんだよ。さあ一緒に食べよう」
「……ありがとう」
「「いただきます」」
2人で丁寧に手を合わせて声を揃えて言った。
今日の夕食は白米とギョウザか。
ギョウザうまそうだな……見てるだけでヨダレ出そうだ。
箸でギョウザを掴もうとする前に、美希がオレの口元にギョウザを持ってきてくれた。
「私が食べさせてあげるよ。はい、あ~ん」
「っ……あ、あーん……」
オレはお言葉に甘えて、赤面しながら口を開けてギョウザを食べさせてもらった。
「おいしい!」
「嬉しい。どんどん食べさせてあげるね」
「いや、お前も食べろよ!」
「私の分は竜くんに食べさせてもらっちゃおうかな。あ~ん」
美希は口を開ける。
今度はオレが箸でギョウザを掴んで、ドキドキしながら美希に食べさせてあげた。
「竜くんに食べさせてもらったからおいしいな」
ニコニコしながらギョウザを食べる美希。
可愛い。可愛すぎて壊れそう。極限に無限に愛しい。
「はい、もっと食べてね竜くん。あ~ん」
「おいしい。美希ももっと食べろ、あーん」
「あ~ん……おいしい……」
おいしい料理と美希の笑顔の幸せダブルパンチ……!
オレの頬は緩みっぱなしだ。
―――
夕食が終わって、美希は台所で皿洗いを行う。
満腹になったオレはいやらしさしかない目で美希の後ろ姿を見つめる。
…………
美希は今、オレの子を妊娠している。
でも、美希はいつもと変わらない。体調とか大丈夫なのか。
元気そうだけど、もしかしたらオレを気遣ってかなり無理をしてる可能性がある。
「……美希、身体は大丈夫なのか? つわりとかないか?」
「うん、今は大丈夫だよ」
「無理だけはするなよ。少しでも体調悪いと感じたら一切家事なんかしないで休んでろよ。気を遣わずにどんどんオレに家事を押しつけていいんだからな」
「ありがとう、でも大丈夫だよ。私、毎年夏場は調子いいんだから!」
皿洗いを終えた美希は腕をブンブン振り回して謎の動きをして元気アピールを始めた。
「わ、わかったから変に身体を動かすな」
お腹にいる赤ちゃんも苦笑いだぞこりゃ……
「お皿洗いも終わったし、部屋に行こっか竜くん」
!
オレは即頷いた。
2人だけの寝室に行って美希を抱きしめる。
お腹に赤ちゃんがいることだし、できる限り力をセーブして優しく抱きしめる。
そして、唇を重ねる。
オレたちの夫婦生活は、毎日こうして美希とキスするのが日課になっている。
1日の最後にお互いの愛を確かめ合う。
どこまでも美希の柔らかい唇を追い求め、貪る。
舌を絡めて、乱暴にしないように慎重に、それでいて大胆に、激しく。
―――チュッ
チュッ、チュプッ
「んん……んっ、ん……」
甘美で妖艶で悩ましい美希の吐息がキスの角度を変える度に漏れて、オレの鼓膜を直接震わせ、オレの股間はさらにガチガチに膨張する。
極上の柔らかさ、暖かさ、気持ちよさ。蕩ける質感。
オレは美希の唇に夢中になりすぎて、足がガクガクしてきて、身体の力が抜けてきた。
それは美希も同じだったようで、唇を離してからトロ~ンとした表情でフラフラしていたのでオレが美希の身体を支える。
2人揃って深い濃いキスで感じすぎてしまった。
美希のエッチな表情が、可愛すぎる……
ヤバイ、興奮しすぎてクラクラしてきた。
美希がオレの耳元で、可愛くて甘い声で囁く。
「竜くん、ベッドに座って……」
オレは美希を抱き抱えたままベッドに座る。
美希はオレのベルトに手をかけカチャカチャと外し始めた。
「! み、美希……っ」
「竜くんの大事なところ、パンパンに膨らんでて辛そう……今すぐ発散させてあげるね。溜まっている夫をスッキリさせて疲れを癒してあげるのも、妻の大事な義務だから」
美希はオレの溜まっていた欲望すべてをヌいてくれた。
―――
その後、オレたちは寝間着に着替えて寝室の電気を消し、ベッドで一緒に寝る。
オレは布団の中で美希のお腹を優しく撫でる。
オレの子が、確かに美希の中にいる―――
絶対に、元気に産まれてきてほしい。
そんな願いを込めて、愛でる。
「竜くん、私のお腹どう……?」
「どうって言われても正直に言うとよくわからないな」
「あはは、そうだよね。妊娠してる私でもあまり実感が湧かないから……」
「今はまだ小さいけど、これからすくすくと成長していくんだろうな……」
「そうだね……私と竜くんの愛の結晶だから、大切に育てていきたいね」
「ああ……」
「竜くん、赤ちゃんが産まれたらまたいっぱい遊びに行こうね」
「ああ、オレたちでたくさん想い出を作っていこう。
そのために、オレが子どもと美希を守る。一生、命をかけて、子どもと美希の幸せを守るから」
「うんっ」
オレは隣にいる美希を抱き寄せて、腕の中に閉じ込めるように包み込む。
美希と身体が密着する。
柔らかくて、いい匂いがする美希の身体。
さっきヌいてもらったばかりなのに、またオレは勃起してしまった。
無限に湧いて出てくる欲望。
ついつい、美希の太ももに自分の股間を擦りつけてしまう。
「ふふっ、竜くんまたおっきくなっちゃったね」
「ごめん、不可抗力だ」
「竜くん可愛い」
「可愛いはこっちのセリフだ。好きだ、美希。愛してる―――」
「私も好き、愛してる、竜くん。大好きっ」
「好きだ、美希」
「好きだよ、竜くん」
何度好きって言っても足りないくらい好き。
美希がそばにいないと息もできない。
何千回でも、何万回でも、何億回でも、美希に愛を伝えたいんだ。
どうしようもなく愛しくてたまらない気持ちを。
ずっと。ずっと―――
「美希、ずっとオレのそばにいてくれ」
「もちろんだよ。一生竜くんについていくから。これからもずっと一緒だよ?」
「ああ、ずっと一緒だ。これからもよろしく、美希」
「うん、よろしくね竜くん」
「……美希」
「うん、なーに?」
「……その……誓いのキス、してもいいか?」
「……うんっ」
「愛してるよ、美希」
「私も愛してる、竜くん」
「美希……」
「竜くん……」
―――チュッ
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる