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第五章 君よ、ここに、この胸に
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年末に届いた葉書には、取り壊しの日取が決定されたと書かれていた。
再来年予定のそれはまだ先ではあるが、本腰入れて引っ越し先を考え始めなければならない。
寝返りできるようになったらしい依子さんの子供の相手をしながら、雪はバイトを続けた。
依子さんがいない分クリスマスは雪が外に立ち、一年前のようにケーキを売る。
一つ買ってきて、と予約を入れたケーキは最後の日にうちに持って帰られる予定。
「焼けたホットケーキみたいな匂いがするんです」
赤ちゃんの頭はなんだか甘くていい匂いがするらしい。
お店で馴染んだ焼き菓子の匂いが染みついたのかとも思ったがそうではなく、赤ちゃん独特のものなんだと雪は説明をした。
俺は美味そうだなという感想しか持たなかったが、雪にとってお菓子が平和と幸せの象徴のようなものであるならいいと思う。
新しく作った雪の図書館カード。
スマホで予約をして本を借りてくるという。
お菓子を作りたいのならオーブン機能があるほうがいい。
うちにあるやつも機能はついていた気がするが、使っていないのなら使えない理由があるということ。
新しく買うのもいいだろう。
引っ越しすると色々と必要になる。
給料は変わらないが幸い年二回ボーナスが出る。
少し待つくらいはしてもらおう。
まだ先の雪の誕生日。
変なものを選ぶより本人に聞いた方が早いと雪に聞く。
当たり前のように雪は要らないという。
こいつはそうだよなと思いながら、家の中を見回した。
無理に誕生日に合わせる必要はないのかもしれない。
誕生日だから買うんじゃなくて、いつだって欲しいと思うものをお金をためて買えばいい。
欲しい時に欲しいと言えるように。
あの日から雪に触れないようにした。
雪が二十歳を迎えるまで理性的でいようとその瞬間は確固たる意志で思ったのだが、一月もせずに破られた。
布団の中俺の腕を抱き枕のように使う雪は、頬を肩にくっつけ告白をした。
「ケースケさんにしてもらう妄想して、一人でしてる」
いつどこでと聞けば、俺がいない時にこっそりだという。
気配すら感じられないものに気付くはずもない。
全く気付かなかったと返せば、雪は良かったと小さく笑った。
あの日のように口でさせることはしていない。
触りたいというから触らせてはいるけれど、最後まではしていない。
最後までして欲しいと毎度言う雪に、指だけの挿入を繰り返す。
寝転んだ俺の上にうつ伏せになる雪は、顔を俺の鎖骨や首にこすりつけ喘ぎを漏らす。
結構な頻度で行う行為によって、雪が気持ちよくなるところを直ぐに刺激してやることができるようになった。
雪をいかせた後に自己処理を行うのも、我慢してもしきれずに湿った下着を履き替えるのも何とも情けないが、最後までやるのは二十歳になってからというのはもう意地だった。
「早く誕生日がきたらいいのに」
呟く雪に、口には出さずに同意する。
口しないのはちょっとしたプライドでしかない。
再来年予定のそれはまだ先ではあるが、本腰入れて引っ越し先を考え始めなければならない。
寝返りできるようになったらしい依子さんの子供の相手をしながら、雪はバイトを続けた。
依子さんがいない分クリスマスは雪が外に立ち、一年前のようにケーキを売る。
一つ買ってきて、と予約を入れたケーキは最後の日にうちに持って帰られる予定。
「焼けたホットケーキみたいな匂いがするんです」
赤ちゃんの頭はなんだか甘くていい匂いがするらしい。
お店で馴染んだ焼き菓子の匂いが染みついたのかとも思ったがそうではなく、赤ちゃん独特のものなんだと雪は説明をした。
俺は美味そうだなという感想しか持たなかったが、雪にとってお菓子が平和と幸せの象徴のようなものであるならいいと思う。
新しく作った雪の図書館カード。
スマホで予約をして本を借りてくるという。
お菓子を作りたいのならオーブン機能があるほうがいい。
うちにあるやつも機能はついていた気がするが、使っていないのなら使えない理由があるということ。
新しく買うのもいいだろう。
引っ越しすると色々と必要になる。
給料は変わらないが幸い年二回ボーナスが出る。
少し待つくらいはしてもらおう。
まだ先の雪の誕生日。
変なものを選ぶより本人に聞いた方が早いと雪に聞く。
当たり前のように雪は要らないという。
こいつはそうだよなと思いながら、家の中を見回した。
無理に誕生日に合わせる必要はないのかもしれない。
誕生日だから買うんじゃなくて、いつだって欲しいと思うものをお金をためて買えばいい。
欲しい時に欲しいと言えるように。
あの日から雪に触れないようにした。
雪が二十歳を迎えるまで理性的でいようとその瞬間は確固たる意志で思ったのだが、一月もせずに破られた。
布団の中俺の腕を抱き枕のように使う雪は、頬を肩にくっつけ告白をした。
「ケースケさんにしてもらう妄想して、一人でしてる」
いつどこでと聞けば、俺がいない時にこっそりだという。
気配すら感じられないものに気付くはずもない。
全く気付かなかったと返せば、雪は良かったと小さく笑った。
あの日のように口でさせることはしていない。
触りたいというから触らせてはいるけれど、最後まではしていない。
最後までして欲しいと毎度言う雪に、指だけの挿入を繰り返す。
寝転んだ俺の上にうつ伏せになる雪は、顔を俺の鎖骨や首にこすりつけ喘ぎを漏らす。
結構な頻度で行う行為によって、雪が気持ちよくなるところを直ぐに刺激してやることができるようになった。
雪をいかせた後に自己処理を行うのも、我慢してもしきれずに湿った下着を履き替えるのも何とも情けないが、最後までやるのは二十歳になってからというのはもう意地だった。
「早く誕生日がきたらいいのに」
呟く雪に、口には出さずに同意する。
口しないのはちょっとしたプライドでしかない。
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