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もう恋なんてしないなんて
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しおりを挟む今日も今日とてバイトです。
今日は類くんと優斗と一緒だったりします。
相変わらずこの2人は業務的な事も最低限しか話さないしとにかく仲は悪いけど、今日はそれは置いておきます。
「優斗、この後ちょっと付き合って」
「今度は何企んでんだよ」
バイト終わり間際。
私は優斗に事情を説明して一緒についてきて欲しいと伝える。
「…絶対余計なことしない方がいいと思うけど」
「わかってる。わかってるんだけどじっとしてるのは性に合わないもので」
はあ、と諦めたように優斗はため息をついた。
作戦はこうだ。
今日類くんはいつもより早い時間でバイトを上がる。
類くんは友達が少ないからそういう時は女と会ってる確率が高い。
故に今回は絶対あの麗華さんって人に会うに違いないとみた!
そんな感じで類くんが先にバイトを上がり、私と優斗もそれに続いてバイトを抜けて類くんの後をひっそり追って行く。
「おい、明子もっと隠れろ」
優斗がいなかったら私が類くんを尾行するなんて出来なかったと思う。
度々優斗に首根っこを掴まれて隠されてなんとか順調に追えていた。
見た感じ家に向かっているみたいだけど、こんな早く家に帰るくらいならバイトをしてるだろうし、まだまだ油断はならない。
電車を降りてそのまま家まで向かっているぽい類くんを尾けながら、そういえばと思い出した。
「ねえ、優斗さ、ななと何かあった?」
「何かって」
表情は特に変えず、そのまま歩いて行く優斗。
そう返されても、私も確信があるわけじゃないから明確なことは言えない。
「いや、キキがね。2人があんま喋ってないみたいだし空気がいつもと違うって言ってて、そう言われたらそうかも?とか思って」
「普段からななも明子やキキみたいに喋るキャラじゃないと思うけど」
そう言われちゃうとそれまでで。
何かはぐらかされている気も…と思いながら歩いていると、また優斗に止められてささっと物陰に隠れる。
類くんのマンションの前。
そこにはあの麗華さんが立って待っていた。
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