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だって君が大切だから
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しおりを挟む季節はやっと秋の片鱗を見せ始めている今日この頃。
それでもまだ生暖かい風を感じながら、今日はいつもよりも少し早めに家を出て学校に向かう。
そんな今日は学園祭の日だ。
「おはよー明子。皆ちゃんと時間通りに来るかな」
「おはよ、キキ。どうだろね。てかキキは翔太と校内回る約束してんの?」
「もちよー!14時から2人ともフリーだから、しっぽり学祭デートしてくるわ!」
こんな時学内で付き合ってるカップルはいいなあって、少し羨ましく思ってしまう。
去年の学祭の時はもう吉田さんとは別れていたし、ちょうど誰とも付き合っていなかったからななと優斗とクラスを回ったんだっけ。
今年はどうしようと思ってて特に誰とも約束はしていなかった。
教室に着くともう何人か来ていて教室の飾り付けを始めていた。
「あ、めいちゃんたちも手伝ってー。そこに置いてあるからさ」
「はーい」
いそいそと私たちも荷物を下ろして準備を始める。
にしてもクラスの中というか今年は特に、修学旅行でくっついたカップルが多いらしく、皆仲良さそうに準備をしていた。
「なんて言うかさ、皆楽しそうだよね」
「まあカップルにとっちゃ楽しいイベントだからねえ。明子はあれからどうなの?あのイケメンと」
キキは私に聞きながらダンボールで作られた装飾物に両面テープを貼っていく。
私はよくぞ聞いてくれました!と顔をにやつかせた。
「それがさぁー。いい感じなんだよねぇえ」
「だろうね。何か最近頭からお花咲いてるみたいにボケた顔してたし。わかりやすいもんね、明子」
えへへー、と私は身体をくねらす。
最近の類くんとはバイトの後にご飯を一緒に食べに行ったり、休日はカフェ巡りに連れて行ってくれたりと普通にデートもしてくれるようになった。
そして何より態度が優しい!
前よりも格段に優しくなって、何ならえっちする時だって私のペースに少し合わせようとしてくれるようになった!
「今までの涙ぐましいストーキングの賜物ですね……!」
「おそらく類くんもあまりのしつこさに諦めたんだな」
はいはいよかったねー、と聞き流されても私はもう怒ったりしない。
るんるんで私も準備を進めているとななと優斗、そして翔太も教室に入ってきた。
「なな、優斗。今年も一緒に学祭回ろー!何時が空いてる?」
「私は11時から13時まで空いてる」
「あ、俺も」
「えーうそ!私その時間ガッツリ模擬店の当番だー。じゃあ2人で今年は回ってよ」
残念、と私がつぶやくと2人は少し困った表情を一瞬見せて、それからわかった、と優斗が答えた。
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