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いつかの楽しみ
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しおりを挟む麗華さんは類くんに本気ではなかった。
だけど麗華さんにとって類くんは忘れられない大切な人なんだとは思えた。
そしてそれは類くんにとっても同じことで。
それでも過去は過去。
麗華さんと会って話すことができて、なんとなく類くんはまだ麗華さんを思ってるんじゃないかとか、心の端で思っていたのがすっきりできた気がする。
やっと一つ精算できたか…と、教室の窓から外をぼんやり眺めていると授業は終わっていて、キキがお弁当食べよーと机をくっつけてきた。
「そいえば明子、そろそろ誕生日じゃん?予定はあるの?」
「誕生日……、ああ。そういえば」
「えーめいちゃんリアクション薄いなあ。キキなんか毎回1ヶ月も前からめちゃめちゃアピールしてくるよ」
翔太も机をずらしながら笑う。
いや、普段はそこそこ覚えてるんだけど、なんか最近いろいろありすぎてすっかり忘れていたというか。
それに特に予定はないし、何なら類くんってば私の誕生日知らない説もあるかもしれない。
「今年の明子の誕生日は……、土曜日か!じゃあ当日は本命に取っておくにして、金曜日にうちらは祝おー!」
「おー!」
「いや本命って、何よ」
「またまたあ。一条さんに決まってるでしょ?」
ククク、とキキが笑いながら突く。
そこに購買部から戻ってきたななと優斗がこちらに来た。
「ねーねー、金曜日明子の誕生日会しようと思うんだけど、ケーキ誰が買ってくる?」
「本人目の前にいるけどいいの?キキ」
「大丈夫大丈夫ー!」
ななが買ってきたパンと飲み物を手に取り椅子を持ってきて座る。
優斗はもう焼きそばパンを食べていて、私から少し離れたところに腰掛けていた。
皆は私の誕生日をどう祝うかを話していて、優斗は静かにそれを見守っていて、普段からそんなに喋るタイプではないけど今はもっと遠くに感じてしまう。
するとパンを食べ終わった彼は私の横に来てぼそっとつぶやいた。
「ご飯食べたら、屋上に来て」
そう言うと優斗は教室を出て行く。
私はそれを目で追って、あと少しで食べ終わるお弁当箱を眺めた。
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