たいらにひとしい。

ぴーなっつ

文字の大きさ
上 下
1 / 3

僕のお話。

しおりを挟む
 明日。明日。あした。明日。
ずぅっとあしたのくりかえし。

 僕が生きてる世界では、毎日同じことのくり返し。
僕達は日が昇るのと一緒に起きて、日が沈むのと同時に寝る。日中はずっと同じをして、同じ時間に水を飲んで、同じ人と同じ会話をするんだ。とてもつまらないだろう?でも僕らには以外は必要ないんだ。違う人と話す必要も、指定の時間外に水を飲む必要も。全て無駄だから。そう教えられたから。でもね、毎日同じ人と同じ会話をするって言っても内容は少し違う。その日の仕入れの状況とか、作業の進み具合とか、でも文面はいつも一緒で違うのは極わずか。君の世界で言う社交辞令…?なにか違うな、挨拶?的な何かは一切ないんだよ。他人に干渉する意味 無いからね。でも僕はみんなともっと話したいって思っちゃったんだよね。こんな世の中に飽き飽きして、死んだ顔してるみんなに飽き飽きして、そんな世界で君はいきていける?ここには友達っていう概念がないんだ。みんな他人。僕を産んでくれた人だって他人。産まれてしまえばそこに愛情なんてものは一切ない。
 こんな世界でも0歳から体力のつく10歳までは一応自由なんだよ。本も読む時間があるし、友達らしき人たちと遊ぶ事もできる。ただし、怒る人も居なければ褒める人も居ない。最初は悪さだってしたさ、でも誰も僕らに興味を持つ人は居なかった。子供ってのは構って貰えないと次第に興味を示さなくなるものなんだ。1度それを知ってしまったら、次にやる人は居なかったさ。それからの期間は長かったよ。どれほど暇だったか、君に想像出来るかい?
毎日同じ時間に寝て、毎日同じ時間きっかりに起きる。同じ時間にお風呂に入って、同じ時間に水を飲む。それ以外は本を読む。君の世界の話は本で読んだんだよ。
君も驚いただろう?こんな世界でこれ程まで知識があるのか。ってね。する事がないんだ、本なんてあるだけ読んださ。なくても思い出して感傷に浸れる位にはね。周りの人らも本は読んでいたけど途中から興味なんて薄れて、ただ毎日毎日同じ事の繰り返しを続けていたよ。興味を持ち続けられたのはきっと僕ぐらいだよ。
 そういえば、君の世界では遅刻、ってものがあるのだろう?仕事に遅れる。学校に遅れる。あぁ、そうか、ここには学校もないや。文字がなぜ読めるかって?交渉に必要だからさ。小さい時にもう読める、書けるようにさせられたよ。みんなほんの数ヶ月で言葉の読み書きは出来るようになったさ。なんせ、それ以外に僕らのやることはなかったから。起きて、覚えて、食べて、覚えて、寝る。みたいな生活だったから。その中で僕は遅い方だったけど、その分長く、多く覚えられたからきっと役に立つと思ってたんだけどね。そんなこと無かったね、残念だ。僕もこの世界に染まってきてる。ずっと単調のこの作業には飽き飽きするし、かと言ってその他に与えられる作業はない。意識が…、とおのく。
しおりを挟む

処理中です...