異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、砂漠横断中&情勢の変化

 親父たちの馬車は地球で言う所のモニュメント・バレーを北東に向かって進んでいた。
 八本足で進む馬車は新種のモンスターそのものであったが……。
「教授。もう一週間も砂漠を進んでいるが、方向は大丈夫なのか?」
「うむ、大丈夫だよ。馬車に仕込んだコンパスは正確に北を指しているから、方向は間違っていない。それに星が見える夜に、軍曹に六分儀で調べて貰っているから間違いない」
「肯定であります。確実に北東に進んでいるであります」
「その通りだ村正。この砂漠を横断するのに最低でも半月はかかると考えたほうがいい」
「ブドウ殿は、地球で経験しているから説得力があるでござる」
 こうして親父たちが目的に向かって進んでいる間も状況は変化している。

変化1 
 親父たちの後を追うように二人のミイラが砂漠を歩いていた。
 マカロニの町で部下たちに袋叩きにされたジャック・マーヴィンとアーネスト・クリーフ。
 彼らの目は狂気に宿し、復讐に向かって歩いた行くのだったが、砂漠を踏破出来る可能性は恐ろしいほど低い。

変化2
 まだ街道に待機しいる騎士団。
「あのくそ親父共はまだ来ないのかぁーーー」
 騎士団長は一ヶ月近くこの場で待機しているストレスのあまり叫び声を上げていた。
 もしも親父たちは南東のマカロニの町にいると知ったら、発狂してしまうだろう。
 しかし、そうはならなかった。
「隊長。浮浪者らしき五人がこちらに向かっているのを確認しました」
 そう部下に告げられて、騎士団長はすぐさま行動を起こした。
「その浮浪者こそ、冒険者パーティーのドリフターだ。速攻で仲間のかたきを討つ。突撃」
 騎士団長の号令と共に馬に跨って、突撃する騎士達。
 結果だけ見れば、浮浪者たちは討たれた。
「これで騎士の面目がたった。王都に帰還するぞ」
 騎士団長の歓喜の声と共に騎士団は帰路に着いた。
 騎士団の全員が気づいていないかった。
 自分たちが討った浮浪者は親父たちではなく、スタートの街で強制労働させられ、逃げだした賭博師とその元締めであることを。
 その事を知った第三者がいたら彼ら騎士団の事をこう言うだろう。
“マヌケ騎士団”っと。

変化3
 丸い物体。
 街道を丸い物体が転がっている。
 丸い物体の正体はブドウの拳法で肉ダルマにされた全裸騎士。
 男の尊厳も騎士の名誉も失い、歩く事もままならなくなった彼の目には復讐の炎が宿っていた。
 彼がどこに向かっていくのかは、誰にもわからない。
 彼自身も。

変化4
 王国。
 王宮は混乱していた。
 原因はデストロイの街の崩壊に、続いてゲートが破壊され人や物資の流通が全てストップしたからだった。
 そこで王を中心に主だった重鎮が集まるって緊急会議が開かれた。
 その会議の場にはスタートの街で演説をしていたヒイロ司祭もいた。
「大臣よ。現在の状況を説明せよ」
「は、現在王国は魔王の攻撃によってゲートが破壊され、測りきれない損失を生み、加えてスタートの街に勇者のパレードを見に行った観光客及び行商人などが難民化しており、その被害は他のゲートが設置された場所でも同じような事が起こっています。ただ、伝書鳩や伝令による情報なので、多少の誤差があります」
「で、今後の対策は」
「ゲートの復旧作業を急がせておりますが、なにぶんロストテクノロジーで作られたものであるため、現場からも「時間がかかる」と言われております。王都の難民化した者達については豪商などに協力を仰ぎ、馬車などで帰還させています。ただ、他の場所については不明」 
 そうして会議は進んで行くのだったが、混迷をむかえるのだった。
「警備の騎士団は一体何をしていたんだ?」
「ただいま、決闘して負けた騎士団の仲間のかたきを取る為にスタートの街に繋がる街道で待機しています」
「ふん、そんなことより、ヒイロ司祭の責任問題は、勇者召喚の最高責任者でもあるにもかかわらず、スタートの街で演説だけして転移魔法で帰ってきたなど職務怠慢もいいところだろうが」
「そんなことよりもグレムリンキングを討ち果たした警吏を英雄に仕立てあげて、王都に引き抜きましょう」
「無理だスタートの街ですでに英雄として祭り上げられている。引き抜きなんてしたら、何を言われるか、わかったもんじゃない」
「Zzzzz」
 どっかの議会みたいに居眠りしている者もいるが、今後の対策を話し合いをする場なのに、議論と言う名の責任のなすり合いをする場と化していたのだった。

変化5
 魔王
 魔王城で魔王は部下から報告を聞いていた。
「ご報告いたします魔王様。グレムリンキングは倒されましたが、ゲートを破壊には成功しております」
「おい、グレムリンキングは本当にゲートを破壊したのか?」
「間違いございません。グレムリンキングを監視していた使い魔の報告です」
「では、なぜ勇者たちが最前線にいるのだ(怒)。わしは勇者たちがゲートを使う前に破壊しろと、言ったはずだ。それなのに、なぜ勇者たちがいる(怒)」
「使い魔の報告では、ゲートを破壊する前に人間の子供に変装してお菓子を食べていたそうです」
「変装と言っても帽子と服で身体を隠しているだけだろう。あんな格好したらすぐばれるだろうが、あのバカは自分の仕事もせずに何をやっているんだ」
「お祭りで忙しかったから意外とばれなかったようです」
「人間もバカしかいないのか?あきれはてて突っ込む気にもなれん」
「仰るとおりです」
「で、グレムリンキングを倒したのは、どこの誰だ?」
「表向きにはスタートの街の警吏が倒した事になっておりますが、実際にはポーターの五人です」
「警備していた騎士団ではなく、ポーターが?」
「間違いございません。とどめを刺したのが警吏なだけで、倒された原因の九分九厘は、五人のポーターでございます」
「何者なのだ。そいつらは?」
「使い魔の見た情報によりますと、グレムリンキングに罵詈雑言を放ち、棍棒で投擲して撲殺したそうです」
 説明を聞いた魔王は何かが違うと本能的に悟った。
「本当に人間か?そいつら」
「現時点では判断しかねます。グレムリンキングは魔王軍の中でも弱い方に分類されますが、それでも警備していた騎士団なら互角以上の戦いができる強さは持っております。それが戦闘力が遥かに劣る五人のポーターに倒されるのは、どう考えてもおかしな話であります」
「その五人のポーターは、まだスタートの街にいるのか?」
「いえ、いません」
「いない。それはどうゆう事だ。グレムリンキングを倒せるほどの者なら、スタートの街の戦力として重宝するべきでないのか?」
「仰るとおりです。しかし人間共はそう思ってはいないようです。グレムリンキングが襲来した時に何もしていなかった騎士団の一人が決闘をしかけました」
「バカか、その騎士は五人がかりとはいえグレムリンキングを倒すほどの猛者に決闘を挑むとは勇気と無謀をはきちがえているとしか、考えられない」
「仰るとおりです。結果だけ見れば、騎士は負けました。ただ負け方問題だったのです」
「負け方に問題?」
「騎士は肉ダルマになったのです」
 魔王は驚愕した。
「肉ダルマとはどうゆうことだ?」
「決闘した騎士は馬に乗りフル装備でポーターのブドウという者と決闘しましたが、そのブドウという者が騎士と馬に手刀による突きを連打を浴びせた事により、突如騎士の身体が膨れだして、鎧も服も引きちぎれて球体化したのです。命に別状はありませんが、素っ裸になった騎士は戦意喪失。スタートの街では全裸騎士とあだ名されています」
「なぜその騎士はその場を馬を使って、その場から立ち去らなかったのだ?」
「馬も同じように肥大化したそうです」
「にわかに信じがたいことではあるが、その五人のポーターが間違いなく化物だ。なんとしても探しだし、監視させよ。最前線にいる勇者たちに対しては後方にいる魔王軍と連携して挟撃する」
「そのように手配いたします」
 こうして、親父たちの知らない所で、親父たちを中心に物語は動き出す。
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