ドラゴンなのに飛べません！〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜

第一章

1-168 四人と一緒に素材探しと食料調達へ 13

　目の前に現れた大型の魔物。

私とブルーム兄さんの姿に気付いて相手も戦闘モードに入ったようだ。

突進されたら...かなりの大型なので下手したら今家に戻っている兄弟達にも影響が及ぶのは明白だった。

だから...。

"先手必勝！！"

私はそう思い手加減なく右手の拳にありったけの魔力を込めて魔物の下腹部に瞬間移動して上に向かって一気に拳を振りかざした。

すると...。

"まっ、まじかぁ～...。"

青ざめたブルーム兄さんの声と共に私が殴った大型の魔物は一瞬にして砕け散ったのだった。

砕け散ったと言うか...破裂したと言うか...。

とにかく原型をほとんど留めずに残ったのは魔物の頭部と尻尾だけで後は綺麗に周囲に花火の様に飛び散ってしまったのだ。

鈍い音をたてて地面に落ちる頭部と尻尾。

"あれ？おかしいなぁー。ちょっと上に打ち上げるつもりで殴ったのに...。"

私はかつて魔物がいた場所で首を傾げながら飛び散った魔物の残骸を魔法で回収しつつ、飛び散った血などを綺麗にしていった。

ブルーム兄さんは恐る恐るといった感じで私の元へとゆっくり歩いてきた。

"す、スノーちゃ～ん...。"

普段絶対言わない呼び方で私を呼ぶブルーム兄さん。

"どうしたの兄さん？暇なら手伝ってよ。"

"あ、うん。"

ブルーム兄さんも協力して飛び散っていった魔物の残骸を集めてくれた。

全て回収して周囲を綺麗にし終わった頃に、ラース兄さん達に報告を受けた保護者達が武装して私達の元へと到着したのだった。

私は満面の笑顔で。
ブルーム兄さんは...ひきった笑みを浮かべて保護者達に手を振るのだった。

綺麗な状態で転がっている魔物の頭部と尻尾の間に...とてもグロい(モザイクなしではお見せできない)残骸の山の側にピンピンしている私とブルーム兄さん。

なんとも言えない光景に保護者達は唖然とするしかなかったのだ。

「ちょっと。見間違いかしら...あれってS級～SS級クラスの大型魔物　ダークホライゾンパイプじゃないかしら？」

「あ、ああ。多分...そうだろうなぁ...。頭と尻尾しかないが...。」

「なんであんな姿なの？」

「知るか？！」

「ブルームの様子からして...。」

"スノーが一人でやったみたいね。"

"我が娘ながら...末恐ろしい...。下手したら嫁のもらい手ないかもしれないなぁ～。"

そんな保護者達の言葉なんかつゆと知らず私は満面の笑顔で両親達の元へ駆け寄って行った。

"見て見て！私少しは手加減したんだけど...こうなっちゃった。"

私の言葉にブルーム兄さんは首を横に振っていたのを見て保護者達は顔を引き攣りながら...。

「そ、そうなのか...。良くやった。」

「そ、そうね。でも...できたら...私達が来るまで待ってて欲しかったわね。」

「そうだな。」

「でも怪我がなくてよかっね。」

"スノー。手加減ってどう言うことかわかってる？"

"これで...手加減かぁー...。うん。もう少し手加減しないとなあ！"

思っていた答えと違った言葉が返ってきたので私は唇を少し尖らせてしまった。