ドラゴンなのに飛べません！〜しかし他のドラゴンの500倍の強さ♪規格外ですが、愛されてます♪〜

第二章

2-73 昔の自分達の姿が...

　彼らの話を聞いていると...まるで私達と両親の姿を見ている気分になった。

火龍の父親は私達の両親に...。
そして目の前のクソガキがあの日の自分達の姿にダブって見えた。

それは...私だけでなかったようだ。
側にいる兄達も同じ気持ちの様だった。
彼らの姿を照れ臭そうに見ていたから...。

火龍の父親の言葉に母親も付け足す様に
息子に対して声をかける。

『父さんと同じで、母さんも一緒よ。お前は今までの兄弟とは少し違っているからね。でも、それはいい意味でよ。
なんでも素直に親の言う事を鵜呑みにするのではなく、自分の目で、身体で見て、感じて学習する子だったからね。
　今までよくあの世界で我慢していたと逆に感心してたのよ。』

そう言って今度は私達の方を向きながら続きの言葉を話し出した。

『ここに...ドラゴンだから、あの里でずっと生活しなくてはいけないっていう概念を覆してくれた存在がいるから、私達は心強いわ。
　まぁ～、ここにいる人達はお前よりもっと幼い頃からこの人間界でせいかつしているからかなり大変だったと思うわ。
でも...経験者が側に、それも同じドラゴン族でいてくれることが、離れて暮らす私達夫婦にとっては...かなり心強いわ。
だから、あとはお前の気持ち一つよ。』

火龍の夫婦の言葉に続く様に他の夫婦も我が子に自分達の思いを伝えていた。

どこの親も似た様な内容を話していたのには思わず笑いそうになったが...グッと我慢した。

私達はひたすら親が子供達に話をして彼らからの返事を聞くのを待つことにしたが...一人だけ話したくても話せないのがいたので、仕方なしに解放して両親と話をできるようにした。

チラッと私達の方を見たがあえて無視をした。

火龍の息子は両親達に向き合って自分の気持ちを伝える。

『俺は...昔っからドラゴンだからって...あの世界に閉じ込められている感があって嫌だったんだ。
　もっと他にも大きな世界があるはずなのにって...。
そしたらよ...同じドラゴンなのに、俺とは違う世界を見ている奴らが居るって知った時は...かなり悔しかった。』

そう言ってまた私達の方をチラリ見てまた自分の両親へ向き直す。

私達は彼らの話をしっかり聞いて...大体の予測がついた頃、彼らの話し合いはしっかり終わったようで、全員が改めて私達の方を向いた。

そして...
全員が一斉に私達の方を向いて無言で頭を下げたのだ。

やっぱりなぁーと思いながら私は兄弟や両親を見つめると...

(お前の判断に任せる)と皆んなの視線がそう言っていたのだった。

私はハーっと息を吐き、彼らに向かって返事を返した。

その返事はと言うと....。