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第10話『鳥谷ケイティ』
しおりを挟む「悪いね、道を通してくれよ! このままじゃ彼の顔が見えないんでな!」
不良たちがモーセの奇跡を彷彿とさせる感じで左右に広がっていく。
人垣が割れた向こうには背の小さい金髪碧眼の美少女が腕組みをして立っていた。
だ、誰だ……?
身長は150センチあるかどうかで最初は小学生かと思った。
だが、馬飼学園の制服スカートを履いているので彼女は高校生なのだろう。
髪の毛はミディアムくらいの長さ。
ブロンドの煌めきがその髪質のよさを物語っている。
目鼻立ちもすっきりと通っていて、総括するならまるで西洋人形のよう……。
彼女はそんな精緻で整った容姿をしていた。
しかし、彼女はなぜか学ランを着ているのだった。
頭の上には学帽も乗っている。
なんで学ラン? ウチの高校はブレザーなのに。
「君がしんじょー君だな? どうだ? この場を穏便に切り抜けたいか?」
小さな学ラン金髪美少女は俺に視線を送って訊いてきた。
碧色で猫を連想させる大きな瞳に思わずほうっとなる。
「どうしたんだ? わたしの顔に何かついてるのか?」
「あ、いや……」
彼女の意図はわからないが……。
切り抜けたいのはまあそうだ。
俺が困惑しながら頷くと、
「よしきた!」
「…………?」
「彼の身柄はわたしが預かる! お前たちは引っ込んでいてもらおうか!」
彼女は不良たちにそう宣告した。
背はちっこいのに自信に溢れた立ち振る舞い。
この少女の出現で不良たちは明らかに動揺している。
一体、彼女は何者だ……?
「おい鳥谷ィ! ぬぁに勝手なことほざいてやがんだぁ! オォ!?」
「こっちにもメンツってのがあんだよ! ハァン!?」
「大将が恥をかかされたまんまで黙ってられるか! ヨォ!?」
口々に反論する不良たち。
だが、彼らは恐怖を隠し、虚勢を張って喚いているだけに見えた。
「ふーん? じゃあ訊くが花園はこのことを知ってるのか? お前たち、あいつに無断で動いてるわけじゃないよな?」
金髪少女の眼光が不良たちを射貫く。
すると、
「くおっ……」
「ぬえっ……」
「うくっ……」
不良たちはあっという間に押し黙った。
いや、本当にどうなっている……?
「はっ! 不在の間にわたしと諍いを起こしたなんて花園が知ったらどう思うだろうな?」
金髪美少女はここぞとばかりに畳みかけて言った。
「鳥谷ィ! 花園さんが戻ってきたら覚悟しとけよ! オォ!?」
「そいつを庇うってことは花園さんとコトを構えるってことだからな! ハァン!?」
「そんときはその澄ました顔を泣きっ面に変えてやるぜ! ヨォ!?」
捨て台詞を吐いて去っていく不良たち。
マジで……? 帰ってくれるの? 危機は去った……のか?
やがて、すっかり不良たちの集団が見えなくなると――
「これで大丈夫だな! 怪我はないか? よーしよしだ!」
金髪の彼女は俺の頭を撫でて身を案じてくれた。
背伸びをしながら上目遣いで心配してくれる姿は……そう、まるで天使だ……。
金のエンゼルや……。思わずキュンときてしまった。
これがナデポってやつだろうか? バブみというやつだろうか? もっと甘えてよいのか?
「本当に助かりました。ところであなたは……?」
俺が訊ねると、金髪の少女は胸を大きく張って、
「わたしは鳥谷ケイティ! 馬飼学園の二年生だ! 他の生徒からは馬飼学園の四天王とか言われてたりもするな!」
「…………」
え、四天王……?
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