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第14話『将棋ボクシング文芸部』
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昇降口に到着した。
そういえば彼女の部活とは何なのだろう?
部室に案内してくれるとのことだったが、靴を履き替えて行くってことは運動部なのか?
でも、読書が好きかと問われて誘われたんだけど……。
いや、その前にもいくつか質問があったっけ?
あれらの意図はなんだったんだ?
「ねえ、丸出さんの部活ってなんなの?」
わからないから訊いてみた。
すると、
「将棋ボクシング文芸部だよ」
「え? なんだって?」
俺が聞き間違えたのか?
意味不明なワードが聞こえた気がした。
「将棋ボクシング文芸部だよ……」
丸出さんは恥ずかしそうに視線を地面に落として言った。
ああ、俺の空耳じゃなかったんだな。
「えーと、ごめん、なにをやる部活なのか全然わからないんだけど」
「うん、まあそうだよね……。変な名前だもんね……」
丸出さんが苦笑しながら頬を掻いた。
どうやら俺が都会の常識を知らないから理解できなかったわけではなく、一般的にも珍しい組織名であるらしい。
そういえば前に将棋とボクシングを同時にやるような競技があると聞いたことがある。
もしかしてそれなのか? そういうやつなのか!?
でも、文芸って最後についているんだよな……。
もしや、将棋ボクシング文学ってジャンルがあったりするのか?
難しいぞ……。
「えーと、新庄君? なんかいろいろ考えてるみたいだけど多分違うよ?」
なぬ?
答えは単純だった。
だが、なんじゃそりゃというものだった。
将棋ボクシング文芸部とは、将棋部と文芸部とボクシング部、部員が各一名ずつだった三つの部が廃部を免れるために寄り集まってできた合同の部らしい。
詳しい規則は知らんけど、とりあえず三人いればしばらく存続が許されるそうだ。
それぞれ全然関係ないものなのに許可が下りるんだね。
あ、そうか……丸出さんが最初に質問してきたのは三つの部活の要素どれかに興味があればということだったのか。
ようやく合致した。
「変な部活でしょ? でも新庄君は本が好きっていうし、悪くはないと思うんだけど……」
ぶっちゃけ、読書は『それもまあ好きかな?』程度なんだけどね。
だが、俺としては事故物件になった身柄を受け入れてくれるだけでありがたい。
俺がそのことを伝えようとすると――
「おーい! しんじょー君! 探したぞー! もう帰ったかと思ったぞー!」
元気な少女の声がした。
見ると、鳥谷先輩が階段をバタバタと下りてくる姿があった。
「ん? なんだそいつは? ひょっとして早速友達ができたのか!?」
俺の隣に丸出さんがいたため、鳥谷先輩が驚きの声を上げる。
「いえ、実は彼女の所属する部活に誘われまして。今から見学しに行くところなんです」
友達かどうかはまだ疑問なので俺は簡単に経緯だけを説明する。
「ふーん? 部活の見学かぁ。面白そうだな! わたしも着いてっていいか?」
「「えっ?」」
部活見学のお供がもう一人増えた。丸出さんに伝える言葉はお蔵入りした。まあ、いずれ機会があったら言おうと思う。
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