29 / 69
第29話『風魔凪子』
しおりを挟む「俺のことをご存じで?」
「ああ、当然だ! 貴様の悪行は聞いている!」
「あ、悪行……!?」
初対面で悪人扱いされていた。
俺が何をやったって言うんだ!
「貴様は花園を倒して名を上げ、最近では鳥谷ケイティと組み、将棋ボクシング文芸部の部室を占領して好き勝手やっているそうではないか!」
「いや、占領してるわけでは……」
外部視点ではそういうふうに見られていたのか……。
「今も善良な女子生徒を強引に連れ去ろうとして! 彼女を一体どうするつもりだった!?」
部室に連れて行こうとしただけです。
そう言ったら余計に話がこじれそうだな。
「あの、あたしは将棋ボクシング文芸部に入ってるんで、ある意味、合意の上というか……」
さすがの結城優紗も、この場面では誤解を解こうとするくらいのフォローはするようだ。
でも、もうちょっとハッキリ違うって言ってくれるとありがたいな。
ある意味ってなんだよって。
「何? 君も部員だと……? なるほど……」
「そうだそうだ! そいつはうちの部員なんだ! 部員を部室に連れてって何が悪い!」
俺の背後に潜んでいた鳥谷先輩が肩口から顔を覗かせた。
おんぶのような体勢で俺にぶらさがってる。
威勢のいいこと言うなら、ちゃんと姿を現したほうがいいと思いますよ。
「鳥谷ケイティ……! そうか、わかったぞ! つまり、彼女はお前たちに脅されて無理やり入部させられたのだな! ますます捨て置けんッ!」
ずん! と大きく踏み込んで間合いを詰めてくる黒髪美人先輩。
違うんです! むしろ無理やり入部されたんです!
俺は声を高らかにして言いたかった。
でも、やめておいた。
この手の思い込みが強そうな人に下手な言い訳は逆効果だ。
「脅されてるとかじゃなくて、あたし、普通に部員で……」
結城優紗はしどろもどろ。
それをどう受け取ったのか、黒髪ポニテの先輩は柔和に微笑み、
「心配はいらない、ちゃんとわかっている。君のような一般の生徒が安心して学校生活を送れるようにするのが我々風紀委員の役目だ。恐れず、私に助けを求めてくれたまえ」
やっぱり、何も理解してない感じのことを言った。
「まあ、そうやって不良どもを叩きのめしていたせいで、不本意ながら私も四天王などという同じ括りにされてしまったが……」
え? 四天王……? まさか、この人も花園や鳥谷先輩と同系統の有名人なの?
「おい、風魔! 脅されてないって言ってるんだから、さっさとどっか行けよ!」
「鳥谷ケイティ、君は何度言っても男子の旧制服の着用をやめないな? それは校則違反だと毎回注意しているはずだが?」
鋭い視線が鳥谷先輩に向く。
敵意の対象が飛び火した。
「はんっ! 学ランはわたしのポリシーだ! 誰がやめるかってんだ! よく聞け、この旧制服の学ランはかつて――」
「言い訳無用ッ!」
「うひゃっ」
一喝され、鳥谷先輩は再び俺の背後に引っ込んだ。
鳥谷先輩はこの人のことが随分と苦手らしい。
性格的になんとなくわかる気もするけど。
「とにかく、その手を離すんだ」
そういえばまだ結城優紗の腕を握ったままだった。
黒髪ポニテ先輩は俺の手首を掴んで引き離しにくる。
「…………!? これは……貴様……は……!」
俺に触れた瞬間、彼女の様子が変わった。
俺の顔をまじまじ見て、目を大きく見開いている。
「仕方がない、この場は引き下がっておこう……。だが、馬飼学園での度を超した狼藉は風紀委員長である私、風魔凪子が許さんぞ!」
風魔凪子と名乗った先輩は艶のある黒髪を揺らし、くるっと身を翻して去って行った。
0
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる