43 / 69
第43話『巨漢デブ、モヒカン、リーゼント』
しおりを挟むそこそこ奮闘した体育祭も終わって、今は六月の下旬。
俺は放課後に何となく繁華街を散策していた。
本屋を覗いたり服屋を見たり、一人で当てもなくブラブラする。
あとちょっとで期末テストだし、勉強にも気合いを入れていかないとな……。
「おい、絶対に逃がすんじゃねえぞ!」
「待てコラ!」
「観念しろや!」
背後から男たちの野太い怒声が響いてきた。
振り返ってみると、派手な髪色や奇抜な髪型の高校生たちがまたさらに別のガラの悪そうな少年たちに追いかけられてこっちに向かってきていた。
うわっ、なんだ? 不良同士の喧嘩か……? 関わり合いたくないなぁ。
こういうのはさっさと通り過ぎてもらうに限る。
俺はサッと目を逸らして道の端に避けた。
すると、
「うわあっ!」
追いかけられていたうちの一人が足をもつれさせて転んだ。
「た、鷹栖ぅ! 早く立てぇ!」
「足を挫いちまった……抜田、虎井! オレに構わず先に行けぇ!」
「そんなことできるかよ!」
「そうだぜ! 仲間を置いていくわけねえだろ!」
なんか不良の熱い友情シーンが始まった。
「へへっ、やっと追いついたぞ!」
「年貢の納め時だぜ……」
「うへへ」
「ひゃはは」
「がはは」
追いかけられていた不良は三人。
それに比べて彼らを追いかけていたのは十人くらいの集団。
数の差は歴然だった。
これは喧嘩というよりリンチだな……。
恐ろしいねえ。
不良の世界はバイオレンスで大変そうだ。
俺が完全に他人事としながらも僅かに同情を滲ませていると、
「あっ! てめぇ新庄怜央じゃねえかあッ!」
「なに、新庄怜央だと!?」
「ああっ! こいつよくもヌケヌケと!」
追いかけられていた側の不良たちが俺の名を呼んできた。
はぁ? こいつら誰だよ? 俺のことを知っているみたいだが……。
この態度は鳥谷先輩のところの不良さんたちじゃないよな。
顔に見覚えもないし。
「おいおい、そいつが新庄怜央ってマジかぁ?」
追いかけていたほうの不良たちがニタニタと笑いながら俺に視線を送ってくる。
うわぁ、俺まで目を付けられてしまったぞ!
こっちに火の粉を飛ばしてくんじゃねえよ……。
「まさか噂のスーパールーキーとこんなところでばったり出くわすとはなぁ」
「へえ、こいつが花園を病院送りにした一年生かよ?」
「ちょうどいいぜ、花園の連中とまとめてやっちまおうぜ!」
不穏な会話をしておられる。
というか、花園の連中……?
あ、そうか。
この追いかけられていたやつら、花園一派の連中だったか。
巨漢デブ、モヒカン、リーゼント……。
確かに入学式の日にいたような気がする。
「やっちまうって、段田君を呼ばなくていいのか? 新庄は段田君が仕留めるって話だろ?」
「勝手なことしたら怒られるんじゃ……」
「あの花園を病院送りにしたやつだぜ? オレらじゃキツくね?」
「バッカ、病院送りにしたっていっても不意打ちして車で撥ねただけだろ。こいつ自身が強いわけじゃねえから平気だって。これは名を上げるチャンスだぞ? 上手くいけばもっと上のポジションに引き立ててもらえるかもしんねえ」
あの……車で撥ねたってなに……?
もしかして現場を見てない人たちにはそれが事実として広まってるの?
花園の一件はそういう認識されてるの?
いやいや、ただの喧嘩でカーアタックかますヤツとか頭おかしすぎだろ。
俺はそんなぶっ飛んだヤローじゃないよ……。
まあ、うっかり空高く投げ飛ばして車の上に落下させちゃったりはしたけどさ。
これが噂に尾ひれ背びれがつくってやつか。
くう、とんでもない名誉毀損。
というか、名を上げるってどういうこと?
俺をリンチして得られる名声があるというのか?
わけがわからん。
「ヘッヘッへ……覚悟しろよぉ……?」
パキッパキッと拳を鳴らしながら近づいてくる十人くらいの不良軍団。
その音を鳴らすやつ、関節が太くなって変形性関節症になる危険があるらしいからやめたほうがいいよ。
0
あなたにおすすめの小説
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる