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第二章
感銘と約束1『綺麗な馬車道』
しおりを挟む「んっ! おいしょっ! おっとっと……」
ぶつかってきたドルジィ君を俺はしっかり受け止めた。
合図と同時の速攻に反応が遅れて一方的に受ける形になってしまったせいもあるが、まさか俺が数ミリも押されてしまうとはやるな。
生身の人間にしては――だが。
ズリズリズリズリ……。
「なっ、なんスか、この馬力は……!」
俺が反撃で押し返していくと、その力強さに困惑するドルジィ君。
確か相手を輪っかの外に出せば勝ちだったよな?
俺とドルジィ君はしっかりと組み合ったまま正面からの押し合いに発展する。
ドルジィ君は顔を赤く歪めながら全力で俺を押し返そうとしていたが、いくら頑張っても人間がトラックと力比べで勝てるわけがない。
「ド、ドルジィが押されてるぅ!?」
「あいつ、正面からドルジィのぶちかましを耐えた上にコレかよ!」
「どうなってんだあのエルフは……!」
周囲から困惑の声がちらほら聞こえてくる。
自分、トラックっスから!
俺はエンジンを稼働させて真っ直ぐに進んでいく。
「ウオォォオォオォ! ま、負けないっスゥウゥゥウゥウゥゥ!」
ドルジィ君はドヒョウの上で咆哮し、精一杯の力を振り絞ってきた。
ドルジィ君の力強い下半身の証明として彼の足の裏の地面が抉れていく。
だが、
やがて――
必死に踏ん張った痕跡をドヒョウの上に残し、ドルジィ君の足は輪っかの外に出た。
「寄り切りじゃとォ!? それも綺麗な馬車道までできておる……!」
寄り切り? 馬車道? なにそれ?
ふんふん……?
どうやら組み合った状態でそのままドヒョウの外に押し出して勝つことを寄り切り、踏ん張った両足の跡が地面にまっすぐ続いて残ることを馬車道というらしい。
「まさかドルジィが……。我が子爵家でモウスが一番強いドルジィがあんなにあっさり負かされてしまうとは……! ワシの想像以上じゃ……!」
ニゴー子爵は驚愕に打ち震えていた。
「いや、完敗だったっス。差があり過ぎて悔しいとすら思えなかったっスよ……」
ドルジィ君がおずおずと話しかけてきた。
「勝負の前は魔法の力とか言って申し訳なかったっス。実際に戦ってわかったっス。あんたは本物っス! 追いつけるように自分も鍛練頑張るっス!」
柱を壊したのは俺が悪いのに謝罪をされてしまった。
てか、人間基準ならドルジィ君は十分に規格外なパワーのはずだけど。
トラックパワーを搭載した俺が人型をしているせいで、彼は人の限界値が俺くらいまであると思い込んでしまったらしい。
まあ、人間は常識を超えた存在が新しい常識を作って進化を続けてきたと聞くし。
高みを目指すのはいいことだろう。
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