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第二章
感銘と約束3『その奥深さに心から感銘を受けたのだった』
しおりを挟む「もう辛抱ならん! 次はワシと戦ってくれい! ふんっ!」
バリィッ!
ニゴー子爵が筋肉を膨らませると上着が吹き飛び、上半身裸になった子爵が俺を土俵に誘ってきた。
「ちなみにワシの筋肉はどうじゃ?」
くまなく鍛え上げられた筋肉の鎧を見せつけながらニゴー子爵が訊ねてくる。
どうって……そんなん聞かれても……。
正直ついて行けないと思いながら、しかし鍛えたモノを見せられたからにはしっかり感想を言っておくのが礼儀だろうと思い俺は真面目にチェックする。
…………。
俺が注目したのは『びくんびくん!』と左右交互に脈動する厚く膨らんだ大胸筋だった。
「胸の筋肉がすごいと思います」
俺も運転手を抱える力をつけるため上半身を必死に鍛えてきた。
だからこそ、ニゴー子爵がこの大胸筋を育てるために費やしてきた努力、熱意、時間がどれほどのものかは想像がつく。
ぶっちゃけ尊敬できるレベルのものだ。
ん? ハッ! そうか……!
これが真摯に体を鍛えている者同士ならわかる本質というもの……?
ニゴー子爵がニコリと微笑みかけてくる。
ああ、子爵……。そうだったんですね……。
オカルトだなんて思った自分が恥ずかしい。
俺はニゴー子爵の言葉の意味を実感し、その奥深さに心から感銘を受けたのだった。
「フォフォフォ……しかし、見れば見るほどグレン君の下半身の強さとしなやかさは素晴らしいものじゃのう……」
「いえいえ、ニゴー子爵の大胸筋もさすがです」
「いやいや、なにを言う――」
「何で筋肉を鍛えてる人たちってお互いの筋肉を見せ合って褒め合うんだろうね」
ループに陥りかけていた俺たちを見て、エルーシャがどうでもよさげに呟いた。
◇◇◇◇◇
「ずるいぜ、俺だってモウスでドルジィをあそこまで圧倒したヤツと戦いたいですよ!」
「子爵! 我々にも彼とモウスをさせてください!」
「自分も、もう一回胸を借りたいっス!」
ジェロムを始めとする騎士たちが口々に騒ぎ出した。
理由はニゴー子爵が俺とモウスをすると言ったから。
「おいおい、なにがあったんだ?」
「ドルジィが馬車道を食らってエルフに負けたらしいぜ」
「なに!? あのドルジィがモウスでエルフに!?」
「一体、どんな怪物エルフなんだ……?」
やいのやいの。
ドヒョウ周辺にいた騎士だけでなく、外の鍛練場にいた騎士たちも集まってきて騒々しさは増していく。
「大将は最後というのが相場でしょう!」
「なにをいうか! ワシは昔から最前線に立って戦う主義じゃ!」
この後、彼らは揉めに揉めて順番を決め、俺はニゴー家のマッチョたちと何回もモウスするハメになった。
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