トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~

のみかん

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第一章

チンピラと冒険者ギルド2『……やるなら運送業がいいな。』

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―――――


 昼飯を食べ終えた俺は立ち上がり、さて、これからどうしようか。

 御令嬢からは夕刻になったら領主の家に来てくれと言われたが、果たして言葉通り厄介になるべきだろうか。

 もしも奴隷商が大規模な組織なら対峙する際の後ろ盾として身分が高そうな彼女らと懇意になっておくのは十分にメリットのあることだと思う。

 しかしエルフの奴隷について人間の常識がどうなっているのかがわからない。

 連中がわざわざ網を張ってエルフを捕まえに来ているのはそれを買う輩がいるからだ。


『美形揃いのエルフはそっちの趣味がある貴族に高く売れるからな』とは輩どもの言葉である。


 つまり貴族にはエルフの奴隷を買う一定の層がいるのだ。

 しかも高く売れるという話だから恐らく高級品扱いをされている。

 そっちの趣味がある貴族限定で需要があるのかもしれないが、そこら辺はややこしくなるので今は考えないでおこう。

 もし拉致して強引に奴隷に貶める手段が世間的に黙認されているのなら御令嬢たちを信頼するのは難しい。

 命を助けて恩を売ったとはいえ、貴族の中でエルフが価値あるものなら己のステータスのために義理人情を捨て置いて騙し打ちで俺を捕えようとしてくるかもしれない。

 捕まってしまえば俺も晴れて奴隷の仲間入りだ。

 魔法が施された首輪をつけられて強制的に隷属させられてしまう。

 俺が捕まったらこれから里を出る同世代のエルフたちの保護もできず、負の連鎖を阻止することができなくなる。

 そうなることは一番避けたい事態であった。

 もちろん俺が穿った見方をしていて、御令嬢は純粋に感謝の気持ちで招いてくれたのかもしれない。

「……よし」

 俺はもう少し市勢を見てから御令嬢たちと関わるかを判断することにした。できることなら人のよさそうな彼女らを信じたいからな。

 とりあえず今は仕事を探すかね。一応、里を出る前に両親から路銀をいくらか手渡されているが無駄遣いはできない。

 金は使えば消えていくものだ。働いて稼がなくてはいずれ無一文になる。

 ……やるなら運送業がいいな。

 ただ、シルフィや後続のエルフたちを放っておくわけにもいかないので拠点はここに置くことになるだろうけど。

 あとは奴隷商のことも調べなくてはならない。情報取集も兼ねてまずはこの町にある冒険者ギルドに足を運んでみるとするか。

 仕事を探すなら最初にそこへ行けと両親からは言われてあった。

 そして、様々な人がいるから色んな話が聞けるだろうとも。



 歩きながら町の景色を眺める。石畳の道にレンガ造りの家。

 木造住宅ばかりが並ぶエルフ里よりは文明が進んでいるみたいだ。

 もちろん現代日本と比べれば月とスッポンだが。

 こうやって歩いている限りでは奴隷商らしき店は見当たらない。

 奴隷商らしさが何なのかはわからないが。

 連中は看板とかを出して堂々とアピールしているのだろうか。

 ひっそりと裏路地で経営されているとかだったら誰かに訊かないと見つけられないよなぁ……。

 こういう常識面をフォローしてくれる情報通の相方が欲しいものだ。

 そう考えると御令嬢たちとの繋がりを絶ってしまうのは惜しいことのように思える。

 ギルドでいい仲間と知り合えればいいのだが。

 俺は偶然目線があった町人A的な町娘に声をかけてギルドの場所を聞き出すと、適当に進めていた足先を明確な目標に定めて踏み出した。

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