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第二章
幼女と出立4『役に立たないおっさんだ。』
しおりを挟む町に着くとリュキアは『わあーい!』と声を上げて一目散に走り去ってしまった。
ええ、そんなぁ……。
同行するのは町までという話だったから別に構わないんだが……。ちょっとだけ寂しい。
人混みに消えていく幼女の背中を静かに見送る。
彼女を見た町の通行人たちがなぜか次々悲鳴を上げているんだが、なんなんだろうな?
幼女を怖がるとかこの町の連中は少し変わっている。
そういえば、初めてリュキアと会った時も同じような反応をしていたっけ。
「……あたしたち、やばいのを町に連れ込んじゃったのかも」
「お前、さっきからちょっと変だぞ?」
挙動不審なリリンは置いといて、とりあえず先に領主のところに行こう。
冒険者ギルドに奴隷たちを連れてくわけにはいかん。
ささっと解放して、領主に保護してもらおう。
ちなみに保護と書いて、押し付けると読む。
ゆっくり馬車を引いて町を歩いていると、周囲の視線は俺たちに集まっていた。
「ねえ、お兄さん。なんかさっきから周りの人がこっちをちらちら見てるような気がするんだけど……」
リリンは俺の行動に慣れ始めてきてるから今の状況に違和感を抱いていないんだろうな。
ただ、町の住人たちはビギナーさんなわけですよ。
だから、
『まあ、なんて惨い……』
『非力なエルフにあんな大きな馬車を引かせて……』
『奴隷かしら? あの女の子、酷い扱いをするわね……』
「!?」
囁かれる声を聞き、リリンはようやく自分がどう見られているかに気付いたらしい。
「あ、あたし先に冒険者ギルドに行ってるから!」
テンパったリリンは居たたまれなくなって御者台から飛び降り、足早に退散していった。
なんか濡れ衣を着せちゃったみたいで申し訳ない。
まあ、こうなるのは予想できてて黙ってたんだけど。
「また後でな!」
俺の声はリリンの背中に届いたのか、否か。
あ、報酬はちゃんと受け取りに行くぞ。ネコババは許さん。
森で保護した奴隷たちは思った通り、奴隷商に無理やり捕まえられた非合法奴隷であった。
なぜあんなところに放置されていたのかは、やはり首輪のせいで記憶が曖昧になっていて確かなことは聞きだせなかった。
ただ、奴隷商人たちは何かに襲われていたらしい。
その正体は不明のままだが、やはりキメラだったのだろうか?
領主に訊くと、王立魔道学園ならキメラに詳しい者がいるだろうから訪ねてみるといいと言われた。
彼も一般常識以上のことは知らないらしい。
役に立たないおっさんだ。
奴隷たちについてだが、彼女らは一部を除いて領主のもとで一時的に食客待遇を受けて過ごすことになった。
一部を除いてと表現したのは二名ほどが解放直後に逃走したからだ。
逃げたのは鱗の尻尾を持った幼女と牛の角の少女の二人。
『妾を奴隷にしようとした連中は許しておけぬ! ぶち殺しにいくのじゃ!』
『あれ? 逃げてもいいの? よーし! 家に帰るぞー!』
彼女らは説得をする暇もなく屋根や窓を破壊して逃げていった。
まったくとんでもないやつらである。また捕まっても知らんぞ。
残ったエルフやダークエルフたちは領主と一緒に王都に行くと約束してくれた。
同じエルフである俺がいたのも大きいと思うが、すんなり同意してくれた。
ジンジャーたちと同じく、重要な証人となってもらおう。
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