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第二章
伯爵と対面5『待ってろよ、奴隷商人の協力者。』
しおりを挟むそして数日後。
王立魔道学園への編入手続きが済み、俺が学園に通う日がやって来た。
学園には寮があるというので俺はテックアート家を離れてそっちに滞在することになった。
奴隷商人を追いかけてるテックアート家に出入りしていたら協力者に警戒されるかもしれないからな。
「グレン、はやくー!」
学園に行くために用意してもらった馬車へ先に乗り込んだリュキアが俺を急かす。
俺は乗るより乗せたい派だが、王都の街は複雑で入り組んでいる。
迷わず行くために今回は好意に甘えさせてもらうことにしたのだ。
そもそも外の道じゃないと人がたくさんいて全力で走れないからそんなに面白くないし。
あと、リュキアは俺と一緒に学園に行くことになった。
生徒としてではなく、名目は俺の従者としてだが。
リュキア同行にはレグル嬢たちにまたもや尽力してもらった。
『リュキアはどうしようか。寮には一緒に住めるのかな? 無理ならこの屋敷に置いてあげて欲しいんだけど……』
『いえ! 建前として従者という扱いにすればリュキアさんも寮に住めます! こちらでなんとか承認をとるので連れて行って……じゃなくて、安心してください!』
レグル嬢に相談したところ、すごく真剣な口調で言われ、そのようになった。
何から何まで親身になってくれてありがたいな。
まるで自分の命に関わることのような必死さが伝わってくる一生懸命さだった。
そういえばこの数日中、テックアート家では横領や他家の間諜をやっていた疑いのある騎士や使用人が数名行方不明になったらしい。
何があったんだろ。物騒な話だよなぁ。
「グ、グレン様ぁ……ぐぬぬぅ……!」
見送りに来てくれていたゾフィーは涙目だった。
そしてゾフィーは馬車ではしゃぐリュキアを恨めしそうに見つめていた。
建前上とはいえ、従者として俺についていくリュキアに思うところがあるようだった
「まあ、ほら。修行が終わればすぐこっちにこいよ。お前ならすぐ一人前になれるさ」
「は、はい! すぐに追いつくぞ……なのだ!」
ニッコリ笑顔になるゾフィー。
ちょろ……じゃない、彼女には笑顔が似合うな!
「グレン様、くれぐれも他の貴族の子弟とは揉め事を起こさないようにお願いします。もちろん何かあれば当家が全力で後ろ盾になりますが……。何事も起こらないに越したことはありませんから」
同じく見送りに来たレグル嬢が不安そうに言ってきた。
続いてディオス氏も、
「伯爵以下の相手ならテックアート家の名前を出すといい。それだけで直接的に何かを言ってくる相手は減るはずだよ」
……そんなに面倒な連中が多いのか、王立魔道学園には。
話しかける相手には注意しないといけないな。
「ムカついたからって殴ったらダメだよ? グレンのパンチって強いんだから。貧弱な貴族の坊ちゃんが受けたらパーンってなっちゃうよ」
ジンジャーがもっともなことを言う。
そうだな、喧嘩腰の相手は全力でスルーしよう。
俺の走行力なら逃げることも容易い。
「任せとけ、俺のスピードなら簡単に撒けるぜ」
「へ? 何の話ですか……」
きょとんとするレグル嬢にサムズアップして、俺は悠々と馬車へ向かった。
エヴァンジェリンや隊長、デリック君は仕事でこれなかったが、また会う機会もあるだろう。
そのときはいいお土産を持ってこれるといいな。
待ってろよ、奴隷商人の協力者。
俺がすべてを白日の下に晒してやる。
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