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第二章
学園と授業初日4『エンジンが囁いたのだ』
しおりを挟む「で、お前は何でこんなとこに来たんだ?」
「いや、魔法の学校なんだから魔法を勉強しに来たに決まってんだろ」
ルドルフのやつ、何を当たり前なことを訊いてくるんだ?
「はぁ? エルフのお前が人間の教える学校で今更何を勉強するってんだ? ……おっ、そうか、わかったぜ! そういう体で潜入して、腑抜けた教員どもに強力なエルフ魔法を見せつけて赤っ恥をかかせてやろうって企みだな?」
「そんな性格悪いことはしねえよ!」
誰もがお前みたいに他人を貶める嫌味な根性はしてないんだよ?
相変わらずだな、こいつは……。
学校でカツアゲとかしてねーだろうな。
「はぁ、ちげーのか。つまんねー。けど、だったらなおさらお前がこんなところで得るものは何もねーと思うぞ。貴族の坊ちゃん連中は特権意識の塊だからな、きっと不愉快な思いをするだけだぜ?」
うへぇと舌を出して辟易した顔をするルドルフ。こいつも苦労してるみたいだな。その反動でこんなふうにグレたのかね。
「でも俺って基本的な呪文とかをすっかり覚えてないんだよ。だからそこら辺をきちっと詰めたいと思ってたんだけど」
「……そんなもん、本でどうにでもなるだろ。ここはもっと突き詰めた学術的な魔法の研究を学ぶ場所だぜ? この学校に来るようなやつは元から才能を見込まれて、ガキの頃から家庭教師に基礎を叩きこまれてる連中ばっかりだからな」
「げ、マジで?」
そんなん聞いてねーんだけど。
俺、早速落ちこぼれかよ。
「ま、卒業資格と人脈目当てで自分に箔を付けるために通ってるやつらもいるし、気負うこともねーよ。それに基礎魔法をとことん反復する初心者向けの授業も一応あるしな」
「あ、それなら取ってるぞ。『基礎魔法』だろ?」
「選んでんのかよ……。お前レベルの使い手が選択するような授業じゃねえんだが……」
俺の取った授業のひとつ『基礎魔法』。
ルドルフの話で名前通りに基礎をやるわけではないのかと危惧したが、それはそのまま普通にやってくれるっぽい。
ふう、よかった。
それからリリンやその母マリサのことなどをルドルフに話していると、やがて始業のチャイムが鳴り、頭頂部に光沢のある薄毛の男性教師が入ってきた。
俺はルドルフの前の列にある席に座ることにした。
本日一発目の授業は『錬金術師学』。
かつて存在した錬金術師に対する考察や歴史的な変遷、思想、魔法との違いなどを研究する学問だ。
直接錬金術を学ぶわけではないが、ちょっと気になったんでな。
直感でこれを取れとエンジンが囁いたのだ。
「それでは本日の授業を始めマァス!」
男性にしては甲高い声で、教師は授業を開始した。
◇◇◇◇◇
俺は自分がエルフ里の学校では居眠りの常習犯だったことを思い出していた。
……夢の中で。
キーンコーンカーンコーン。
「はっ、しまった。眠っていたのか俺は……」
チャイムと同時に俺は目を覚ました。
机に突っ伏した姿勢から起き上がると、周囲は教室移動の喧噪に包まれていた。
「……お前、何しにここに来たんだ?」
ルドルフが冷ややかな目で俺を見ていた。
彼は不良かと思いきや、意外にも丁寧な字できちんとノートをとっていた。
ぐぬぬ……リリンに続き、こいつも実はそこそこ頭いい感じのキャラだったのか。
これでは俺が単体で馬鹿みたいじゃないか。
初めての授業で俺は言い知れぬ敗北感を味わう羽目になった。
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