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第二章
決闘と成果4『いや~快勝快勝。』
しおりを挟む『検証の結果、先ほどのフィーナ生徒の攻撃は有効と見做します』
魔法による拡声で会場内にアナウンスが流れる。
「あれが魔法だというのか! ただの暴力じゃないかッ!」
決定を聞いたラッセルは頭を掻き毟りながら悔しそうに地団太を踏んでいた。
審判の魔導士たち、探求心が上回ったな……。
否定したら研究対象にしにくくなるからね。
柔軟な発想の魔導士たちが審判でよかったわ。
ちらっと教員席を眺める。
「くそっくそっ!」
そこには苛立った様子で自分の膝を叩くゼブルス教諭がいた。
「…………」
「……はっ」
「…………」
「な、なかなか斬新なことを思いつくものですなぁ!? わははっ!」
隣に座るエルフ校長が無言で眺めていることに気が付き、彼は脂ぎった髪を撫でながら慌てて取り繕っていた。
ラッセルの抗議を退け、無事にフィーナの勝利は確定となった。
「フィーナ、よくやったのだよ?」
「はいなのですよ!」
「さすがね!」
「すごいよ……バナナ食べる?」
「僕たちも続かないと!」
「おめでとうだよぉ!」
俺たちは遅ればせながら勝利の喜びを分かち合う。
最初に勝てたことで自分たちはやれるという自信が皆に沸いてきた。
この調子でガンガンいきたいね。
「ところでラルキエリ、もうひとつの効果については説明しなくてよかったのか?」
「ああ、もし審判が納得しなければ開示もやむなしだったがね? そうするまでもなかったし、決闘が終わった後にでもゆっくり報告するのだよ? 勝負の最中にネタをすべて曝け出してやることはないだろう?」
「ふっ、それもそうだな……」
俺たちはニヤリと笑いあった。
何を隠そう、筋トレ受講者たちの魔力量と出力は密度ぎっしりトレーニングの結果、かなりすごいことになっていた。
魔力の操作が苦手なのは相変わらずなので、広範囲に展開したり遠距離に飛ばしたりする一般的な魔法の使い方はできない。
しかし、拳など身体から切り離さずに放つ魔力濃度は相当なもの。
ぶっちゃけ、凝縮された濃さだけならルドルフすら怯むレベル。
そんなものをダイレクトに叩き込んだらどうなるか?
上位の魔導士ならまだしも、ラッセルの腰巾着程度なら一時的な魔力中毒を起こして昏倒させるくらいわけはない必殺技になるのだ。
「フィーナの戦いで我輩は確信したのだよ? 連中が呪文を詠唱する前に距離を詰めることができれば我々が負けることはないと!」
「「「「「うぉー!」」」」」
ラルキエリの言葉で士気はさらに上がっていく。
貴族生徒たちが魔法を使ってきたらそれはやはり脅威だろう。
だが、発動前に懐まで入ってしまえば何も怖いことはない。
静かに待ってやる義理はどこにもないのだから。
身体を鍛えることを野蛮な行為と蔑むモヤシたちよ。
覚悟するがいい。
二戦目はポーンが出場した。相手は貴族の女子生徒。名前は忘れた。
「わたくしは平民ごときに絶対負けたりしませんわ! 華麗な魔術で粛清して差し上げます!」
「おりゃああ!」
ズダダダダッ!
「ひっ……!」
ポーンが目の前で手を振り上げただけで女子生徒は場に縫い付けられたように硬直した。
パチィーンッ!
バシャッ!
「へぶッ!?」
平手に水を纏わせたポーンのビンタで女子生徒はあっさり意識を失った。
いや~快勝快勝。
「あへぇ……あへぇ……」
負けた女子生徒はどことなく恍惚に満ちた表情で担架に乗せられていく。
なんか、禁断症状的なアレっぽい……。
濃い魔力の刺激が変なふうに響いちまったのか。
何かに目覚めないといいけど。
ポーンも若干引いた顔で叩いた手を握っていた。
三回戦はツインテ少女が出場だ。
相手はハムファイトとかいう貴族の男子生徒。
フィールドを挟んだ向かい側ではラッセルがハラハラした表情になっていた。
連敗で試合前の余裕が嘘みたいになっちまったな。
ざまぁない。
このまま三連勝で俺たちのストレート勝ちかね?
あらかじめオーダーは提出済みなのでラッセルは大将戦以外で出てくることはできない。
本当はあいつを完膚なきまで叩きのめしたほうが後腐れなく済むのだが……。
む……?
ツインテ少女と向き合った貴族の少年が歪んだ笑いを浮かべているような?
何やら不穏な気配がする……。
そして、三回戦が始まった。
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