全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-

のみかん

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『領地経営』編

第84話『イレーヌ』

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 前回までのあらすじ。

 猫耳の女騎士がベルナデットを姫とか言い出した。




「いえ、わたしは姫ではありませんが?」

 速攻否定するベルナデット。

 清々しいね。

「むむ……確かによく見るとブリュエット姫と瓜二つだが別人か……?」

 お、こっちも違うとすぐに理解したぞ。
 テンポがよくて助かるな。
 ここで誤解を解くためにアレコレやるのは怠いからね。

「よくわからんが、あんたが生贄にされてから数百年経ってるらしいぜ? その姫ってのはもう生きてないんじゃないか?」

「す、数百年!? どういうことだ! それに生贄だと……?」

「あんた、アレじゃないの? ブラックドラゴンの生贄にされたんでしょ?」

「うむ、実は前後の記憶が曖昧なのだ……。何か使命感に駆られて部隊の仲間たちと棺に入ったような気がするんだが……」

 頭を抱えて悩みだす猫耳女騎士。
 長期間眠っていた弊害ってやつかね?
 彼女はどうして自分が棺に入っていたか覚えていないらしい。

「本当に数百年の月日が流れているのか? 今は暦でいうと何年なのだ?」

 は? 俺はこっちの世界の暦なんか知らねーぞ。どうすんべ。

 あ、ベルナデットが答えてくれた。

「なんと……その年号が正しければ某は未来の世界に来てしまったということか……」

「つか、数百年も生きてられるってどうなってんだ? 棺に入ってる間は飯とか食べてないんだろ?」

「ああ、この棺には空間凍結の術式が施されているのだ。一万年くらい先まで内部の時間を停止したまま維持ができるらしい」

 ほう、空間凍結とは……。
 大した技術があったもんですね。
 異世界ファンタジーじゃなくてSFって感じだけど。

 冷凍食品を超越した食料保存ができそうじゃん。

「だが、この棺は王族の血を引く者にしか開くことができないはず。何か誤作動でも起きたのだろうか……?」

「それならここにいるベルナデットが触ったら開いたけど?」

「はい、わたしが触ったら開きました」

「なんと! それではやはり貴女がブリュエット姫!」

 だから違うって言ってるでしょ。




 とりあえず猫耳女騎士に自己紹介してもらうことにした。

「某はイレーヌという。エルブレッヘン皇国騎士団のケイモノリウス・ヴィルヴィール・ヴァレンティアン隊で部隊長を務めていた」

 は? ケイモノ……? ウラディミール・バレンティン? 長くて覚えられなかったよ。

 略して『けもの隊』とかでいいだろう。

「それで先ほども話したが、この棺は王族の血筋を引く者にしか開けることはできぬ。つまり、これを開くことができたベルナデット様は皇国王家に連なる人間ということだ」

 イレーヌの断言に俺は驚いた。
 マジっすか。
 ベルナデットってロイヤル獣人だったの!?

 けど、エルブレッヘン皇国?
 知らない国名ですね。
 前にエレンから聞いた主要国の説明にも入ってなかったはずだが。

 果たして今もある国なのだろうか?

 そんな疑問を頭によぎらせていると、

「ところで、ベルナデット様の首に奴隷の首輪がついているように見えるのですが……」

「はい、わたしはジロー様に買っていただいた奴隷ですので」

「皇国の偉大なる血を受け継ぐお方が奴隷に!? もしや継承権争いの陰謀で……!?」

 ああ、そうなんだよなぁ。
 もし、そのエルブレッヘン皇国とやらが今もあるならベルナデットを奴隷にしてるのってマズイと思うんだよ。
 ベルナデットとヒソヒソ話をする。

「ねえねえ、お前って王族の生まれだったの?」

「いえ、わたしは物心ついたときにはすでに奴隷商にいたので」

「左様ですかい……」

 ヘビーな返答きたな。

 でも、出自が不明ってことはどっちの可能性もありえるってことだ。

「ベルナデットはエルブレッヘン皇国って聞いたことある?」

「わたしは存じません」

「そうか、じゃあ、ちょっとエレンとかデルフィーヌに訊いてくるよ」

 転移でシュバッと屋敷に戻る。

 このスキルさん、マジで便利だわ。





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