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『全マシ。チートを貰った俺』編
第9話『ベルナデット』
しおりを挟む結局、俺は10歳の猫族の子を買った。何の捻りもないな。でも、あのもふもふの尻尾はかなり魅力的だったんだ。
奴隷の子を連れ、俺は店員に勧められた高級ホテルに泊まる。
この世界の宿屋は必ずしも風呂とシャワーがあるわけじゃない。
彼女の身体を洗うためには風呂とシャワーがある高級店を選ぶしかなかったのだ。
やっぱりちょっと薄汚れてて臭いが気になったんだよな。
値段は一泊3万ゴールド。この値段設定がどれくらい高いのかは知らん。
でも冒険者の客は珍しいみたいだからきっとすごく高いんだろう。
「とりあえずシャワー浴びて来いよ」
「ひぃん……」
部屋の隅でおどおどしていた奴隷の子は泣きそうな顔になった。
「汚いまんまじゃ困るだろ。遠慮しないで入ってこい」
「ふえぇん……」
彼女は悲壮感に満ちた声を上げて浴室に入っていった。
……そんなに風呂が嫌なのか?
そういえば猫って基本的に水浴びが嫌いな生き物だっけ。
うちのコタローは大嫌いだった。
俺の両親が子猫の頃に頭からシャワーを勢いよくぶっかけたのが原因だったけど。
――バシャバシャ……
「よく考えたら浄化魔法で綺麗にすればよかったんだ」
シャワー室から聞こえてくる水音を耳にして、ふと気が付く。
俺っていつも後から気付くよな。
でも緊張してたみたいだしシャワーはリラックスになるだろう。
そういうことにした。
「で、出ました……」
「なんでタオル? 服着ないの?」
濡れた髪から水を滴らせて出てきた猫幼女は裸にバスタオルを巻いただけのあられもない姿だった。
「へっ? 最初は着てたほうがよかったですか……?」
最初とか何言っとるんだ。意味わかんねー。
「ああ、そうか。あの服も汚かったよな。風呂上りに着るのは抵抗あるか。ちょっと持ってこいよ」
「は、はいっ!」
幼女はバタバタと慌ただしく浴室に服を取りに行った。
「持ってきました!」
「よし、貸してみろ」
浄化魔法をかける。シュワ~って音とかは特にしなかった。残念。
布のボロさは変わらなかったが表面の汚れや臭いはすっかり落ちた。
茶色い貫頭衣は漂白されて穢れなき純白の衣になった。
この服ってもとはこんな色だったのかよ……。
知りたくなかった。どれだけ汚れてたんだよ。
猫幼女も顔が引きつっていた。わたし、こんなの着てたの? みたいな。
まあ、過去は過去だ。気にしないで生きて……着ていけ。
「綺麗になったから平気だよな? 浴室で着てこい」
「は、はい……」
まだ緊張が抜けてねえな。
野良猫みたいなもんか。
慣れるまでに時間がかかるのだろう。
俺は楽観的にそう考えた。
「じゃ、そこ座って」
「は……はい!」
なぜか覚悟を決めた表情になった猫幼女をベッドの縁に座らせる。
猫幼女の長い髪を梳きながら温風にした風魔法を手の平からゆっくり放出した。
「どう? 熱くない? 風邪ひくと困るからな」
「は、はい……暖かいです」
お手製のドライヤーやで。ナイス俺の発想。天才の閃き。
しかし後日、この世界では割と当たり前な風魔法の使い方だと知る。
「尻尾も乾かさないと」
髪の毛が半乾きになってきたので尻尾にも風を当てていく。
髪の毛と同じこげ茶色の尻尾。
彼女の身体の半分もある大きな尻尾。
今は濡れてペッタリしているが、これが乾くと……。
楽しみが止まらんな。
「ぐふふ」
「ひぃっ……」
まだ何もしてないのに怯えられた。悲しい。
そういや、この子、名前なんだっけ。
「君、名前は?」
「……ベルナデットです」
「そっか、いい名前だね」
「ありがとうございます。よく言われます」
そうなんだwww
この世界の名前の良し悪しとか知らんけどwww
「よし、乾いた。じゃあ寝るか」
「はい……」
「いや、服は脱がなくていいから」
コイツいつまで勘違いしてんだ。
俺が用あるのはお前の尻尾だけなんだよ。
消灯して、ひとつのベッドに並んで横たわる。
俺は風呂に入らず浄化魔法で身体を清めた。
久々の水浴びは明日の朝に後回しだ。
ベルナデットに尻尾をこちらへ向けさせる。
ふさっとしたこげ茶色の尻尾が俺の前にきた。
顔を毛に埋めて匂いを嗅ぐ。
ちょっとシャンプーの匂いが目立つのが残念だが、数日ぶりのもふもふだ。
もふもふだぁ……。
「クンカクンカ。スゥーハァ……」
「ふえぇぇん……ママぁ……ぐすんぐんぐすん」
「…………」
お前がママになるんだよ! みたいなことをしてる気分になった。
果てしない罪悪感が身を襲った。
……仕方ない。
俺は彼女に背を向けて普通に寝ることにした。
くそう。高い金払ったのに。
これじゃもふれねえよ……。
こんなん気にしないでもふったら強姦と一緒だわ。
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