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『全マシ。チートを貰った俺』編
第47話『褒賞』
しおりを挟む「叙勲と領地の話、受けさせていただきます」
ここで突っぱねたら俺をすぐさま罪人としてひっ捕らえにきそうだからな。
とりあえずは大人しく従うフリをしておいたほうがいい。
エレンたちの立場を考えると表立って逆らうのは得策とは言えん。
「ふふ、そうかそうか。よい答えじゃ!」
俺の言葉に王は満足そうにヒゲを撫でる。
むかつくおっさんだ。
いつかそのヒゲをそり落としてやるぞ。
「ところで陛下、報酬にはデルフィーヌの処遇を考え直すことも加えて頂きたいのですが」
むしろ俺にとってはこっちが本命だ。
さあ、どう出てくる?
「ほう? デルフィーヌの処遇とな?」
王は興味深そうに身を乗り出してきた。
あれ? 意外と乗り気?
これは交渉の余地ありなのか。
今までの態度からすると違和感しか覚えんぞ……。
「よし、暫し待て!」
国王は周りの重鎮たちとヒソヒソと密談を始めた。
「ジ、ジロー……?」
デルフィーヌが不安げに俺を見つめている。
そんな心配そうにすんなよ。
お前の身の安全は何としても死守するからさ。
相談を終え、王が口を開く。
「ヒョロイカよ、こちらとて一度決めた裁断をそう簡単に覆すわけにはいかぬ。じゃが、デルフィーヌに課せられた賠償金の100億ゴールドをそちが代わりに支払うというのなら……その者の扱いをそちに一任することを考えなくもない」
100億……100億か。
まったく、どれだけ頭の悪い数字なんだか。
10000000000だぜ。
でも、俺って異世界に来てから一か月で10億以上稼いだしなぁ……。
ぶっちゃけ、なんとかなるんじゃね?
……そんな気がする。
金銭感覚がバグってきてるだけかもしれないけど。
どちらにせよ、こちらに断る権利はない。
ゴネて提案そのものを引っ込められたら困るからな。
つーわけで、
「承知いたしました」
俺は粛々と答えるのだった。
いかんせん不本意だが、デルフィーヌの立場を守るためには止むを得ないことだ。
「は? そち、今、なんと申した?」
王が間の抜けた声が聞こえた。
……あれ、なんだこの反応?
「……? 承知した、と言いましたが?」
「は……?」
ざわざわ。
家臣たちも含めて騒然としてる。
王は隣の宰相と顔を見合わせた後、
「そうか! う、うむ、よい覚悟じゃ! ならば認めてやろう!」
「…………」
あっ……。
もしかして値切ってくるのを想定して吹っ掛けてた?
許容範囲内だったからオーケーしちゃったじゃねーかよ。
判断ミスったわ。
「せめてもの恩情じゃ。そちが治める領地からはデルフィーヌの賠償金以外、永劫に税を課さぬと約束してやろう」
王はドヤ顔で言ってきた。
このヤロー絶対返せないと思ってるから余裕ぶりやがって。
◇◇◇◇◇
んなわけで。
「ジロー・ヒョロイカよ、そちへの褒賞はドランスフィールド元魔法貴族家令嬢の身柄、辺境伯号、それからニコルコの地じゃ!」
無駄に通る声で王が宣言して謁見は終わった。
正式な叙勲は後日だってさ。
「そちの偉大な武勲を讃えて一足飛びに上級貴族である辺境伯の地位を与えるのじゃ。ありがたく思うのだぞ?」
何がありがたく思えじゃい。
話が済んだら邪魔者のようにあしらわれ、退室を促される。
なんなの、この扱い……。
俺はせめてもの仕返しで魔王の死体をバッグからごそっと取り出した。
ズズズズ……
おら! 俺が倒した証拠じゃ! いらねーからくれてやるよ!
入れ替わりで魔法陣を回収する。
「ひいっ!」
「ぬわっ!」
「ぎゃあああっ!?」
何も言わずに取り出したので部屋にいた家臣たちの大半は驚いて腰を抜かした。
この魔王、死んでるのになぜか未だに禍々しいオーラをビリビリ発してるからな。
ふはは、ここにいる小物連中の精神力では耐え切れまい。
冒険者ギルドの女も足元に水溜まりを作って涙目になっとるw
へっ、くだらねえことチクるからじゃ!
国王は動じてない――いや、気絶してるだけか。
あれ? なんか座高が少し高くなって……。
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