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『領地経営』編
第59話『広岡二郎探検隊だ!』
しおりを挟む内通者を炙り出しただけじゃ一日は終わらない。
忙しいんだよ。
早く金を作らなきゃいけないんだからさ。
内通者の扱いはジャードに丸投げした。
罪人の取り扱いとかよくわからんし。
尋問もしないといけない。
一応、労働力がたくさん必要になるかもしれないから処刑はしないようにとは告げてある。
犯罪者なら扱き使ってもええからな。
簡単には死なさんでぇ……。
俺はベルナデットと騎士数名を引き連れて森の前にいた。
屋敷の倉庫にあったツルハシと縄を持ち出して、気分はズバリ探検隊である。
広岡二郎探検隊だ!
「領主様ぁ。森の前に来て何するつもりなんでさ?」
「ここは入っちゃいげねえって、オラたち子供の頃から口酸っぱく言われてるだよ」
地元出身の騎士たちが言ってくる。
そうか、入っては行かんのか……。
だが、俺は入る!
「とりあえず、森を切り開いて山までの道を開拓しようと思うんだ」
俺は魔境に高くそびえる山々を指さして言った。
「「「!?」」」
騎士たちは正気の沙汰じゃないと悲鳴を上げる。
大丈夫だよ、俺が魔法でズバズバやってくだけだから。
今日の目的はただ一つ……温泉を見つけることだ!
温泉は観光客を呼べる最強の武器になる! ……はず。
「だ、だめですぜ! 森に入ったらなんねえです!」
「魔物たちは森に入らない限りこっちにゃ来ねえですが、森を荒らしたとなれば一斉に襲いかかってきやす!」
「この森の魔物はすんげえおっかないんだぁよ! ばっちゃが言ってた! 領主様は余所者だから知らねえんだ!」
小さい頃からの刷り込みなのかな。
森の魔物への恐怖心が全員に植え付けられている。
森をじっと見やった。
ふむ……瘴気というかなんというか……。
確かに寒気がするオーラが全体に漂ってるかも。
だが、引くわけにはいかない。
この森の奥に眠ってるかもしれない資源が希望なのだ。
ここから掘り出さねば領地を大きく発展させることはできない。
大体、どうやったって最後には森を切り開いて他国との交易路を作る予定なんだ。
遅いか早いかだけの違いでしかない。
騎士たちの制止を振り切って俺は作業を開始した。
「おりゃおりゃおりゃ!」
シュビ! シュバ! シュビビッ!
風魔法を駆使して森の木々をバッサリやっていく。
どんどん開かれていく道。幅はそこそこ取っておきたいよな。
ザクッ、ザクッ、ザクッ。
後々のことを考えたら馬車が両側を通れるくらいがいい……。
「お、おお、すげえだ!」
「でも魔物が出たらどうすんだぁ」
「こわいっぺぇ……罰当たりこわいっぺぇ……」
あんまり不安がらないでよ。
こっちも伝染して心配になってくるじゃん。
「ジロー様、来ましたよ」
ベルナデットが冷静な声で伝えてくる。
何が? おや、魔物の群れか。いっぱいおるなぁ。
だが、知ったことか! ビュッビュッビュッだ!
おい、騎士ども、逃げんな!
倒した魔物を町に持ってってよ。
解体して素材を回収するんだ。
余った肉は領民に好きなように食わせとけ。
食えるのか知らんけど。
焼肉かステーキにして美味そうなら俺も頂こうかな。
「はえええ……こええだぁ……」
「領主様は人間じゃねえべ」
「なんであんな簡単に魔物を殺せるんだぁ……」
騎士たちが震え上がってる。
人間じゃないとは失敬な連中だ。
まあ、平和な田舎で育ってきたから仕方ないか。
ニコルコの領民は温和でのんびりしたやつが多い。
変にスレてないのはいいことなんだが、これから先が思いやられるな。
木を伐採し、途中で飛び出してきた魔物をぶち殺しながら山までの道を繋げていく。
魔物が出すぎて地元の騎士たちはすっかり縮み上がっていた。
魔王の森にいた魔物の強化版みたいなのがたくさん出てきて俺も少し驚いたよ。
もれなく瞬殺したけど。
この町には冒険者ギルドがないから金にならないんだよな~。
町が発展したら誘致とかできないもんかね?
「ふう、すっきりしたもんだ」
伐採完了をして背伸びをする。
一仕事しちゃったZE。
「やべえだぁ……森が……森が……」
「ばっちゃが言ってた祟りがしんぺえだぁよ」
「森のヌシ様が怒らないとええんだがなぁ」
祟りとかヌシとかいるのかよ。
ヌシはともかく祟りは怖いな。
それはチートじゃどうにもならなそうだ。
地面が露わになって出来上がった森の一本道。
これで山までの道は確保できた。細かい舗装はまた今度でいいだろう。
残りの整備は領民に給料出して任せるのもアリか?
なんでも俺のチートで片づけてしまうより、雇用の機会を与えて金を流したほうが結果的には景気の上昇につながる……?
「…………」
「ジロー様? 難しそうな顔でどうしたんですか?」
心配そうに見上げてきたベルナデットの猫耳をスリスリ撫でた。
「あふん……にゃん……」
「…………」
ダメだ。経済関係はよくわからん。
こういうことはジャードに任せよう。
そのためにあいつを残したんだからな。
キリキリ働いてもらわねば。
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