27 / 67
無能ジョブ「宝石使い」が実は最強ジョブでした ~強くてかわいい宝石娘に囲まれて幸せです~
第1話 僕が童顔で巨乳な美少女のマスターだって!?
しおりを挟む
「遅えぞシュムック! モタモタしないでついてこい! ったくホント使えねえなお前は」
「しゃあねえよ『宝石使い』なんだからよぉ。『人足』は雇うと高いから仕方なく使ってやってるだけでもありがたく思えよなぁ?」
「ハァ……ハァ……」
雇い主である勇者パーティの最後尾を僕は鈍い足取りで歩いていた。
「宝石使い」
それが僕、シュムックの職業だ。
宝石使いって言うからには「宝石を使って何かする」職業だろう。自分の職業で「だろう」が付くなんておかしくないか? と思うかもしれない。
なにせ僕はこの時まで宝石に触れたことも無いし、ましてや所有したことも無いからだ。
パーティリーダーの勇者がお守りとして持っていた「幸運のダイヤモンド」を見る機会があるだけ、とんでもなくラッキーな方だ。
何故なら宝石は王侯貴族のものとして完全に独占され、市場には一切出回らない。庶民に出回るのは質の悪い混ぜものだらけの金や銀などの貴金属がせいぜいだ。
貴族や王族では無い平民が宝石を持つことは「神から世界の統治の命を受けた王侯貴族に真っ向から背く」重罪で発見次第有無を言わさず死刑となる。
なので「宝石使い」という職業は希少でこそあれ歓迎される職業ではない。
何故なら宝石を見たことすらない宝石使いなんて「回復魔法を使えない僧侶」や「字の読めない学者」みたいなもので、端的に言えば「最弱職」であり「呪われた職業」だ。
一応は「荷物持ち」として働いているが「人足」の職業に就いている人間の方がはるかに良く働いてくれる。
そんな不遇職で誰からも疎まれ、役立たずの烙印を押され、生きることに向いてないとさえ言える職業。それが「宝石使い」という職業だった。
「!! お、おい! ミノタウロスがいるぞ!」
ダンジョンの最深部。そこにはフロアの主とでも言える屈強なミノタウロスがいた。パーティメンバーは戦おうとするが……
「ぐえっ!」
大斧で鉄の鎧ごと叩き斬られてメンバーの戦士が倒れる。
「オ、オイ! しっかりしろ!」
「マズい、重傷だ。いったん撤退しよう!」
その強さに圧倒され、逃げ出す。僕も彼らのついていこうとするが僕のみぞおちに一撃を入れる。
「シュムック! 俺たちが逃げるまでの時間を稼げ! 役立たずのクズが最後の最期で役に立てるんだぞ! ありがたく思え!」
「!! ま、待ってよ!」
勇者アルヌルフ率いるパーティでは落ちこぼれで、サンドバッグにされ、ゴミクズのように扱われた挙句、
今回パーティがダンジョン深部でミノタウロス相手に惨敗して撤退する際「捨て石」にされたのだ。僕の一生はここで終わると思っていた。
……勇者アルヌルフが落としたのだろう、祖国の姫君からお守りとして渡された「幸運のダイヤモンド」に触るまでは。
直感だった。あの時は直感でダイヤモンドに触らないと、と思った。
そして触れた瞬間、しなびた植物の芽が雨でうるおされみずみずしさを取り戻すかのように、本能に刻まれた宝石使いの能力が開花したのだ。
「具現化!!」
僕が本能の赴くままに使ったその技で、勇者が落としたのであろうダイヤモンドを核に宝石が光の粒子をまとい現れた少女が、
ミノタウロスの樹齢数百年はあろうかという木の幹のような胴体を一刀両断した。
何が起こったんだろう……? 気が付くと僕の前には少女が1人立っていた。
10歳前後に見えるほどの「若い」というよりは「幼い」といたほうが正しい銀の瞳が特徴の童顔に、それを飾る混じりけのない純白の長いストレートロングの髪。
その顔の割にはスラリと伸びた背に大きくたわわに実った胸。
胸が出ている分余計に目立つのであろう、大理石の彫刻みたいに見事なまでくびれたウエスト。
たるみが一切ない上がったヒップ。
水晶のような透明な素材で出来た彼女の細い腕の力からしたら両手ですら持てるかどうか怪しい程の大型の剣と盾。
その身体を覆う服は純白の布で出来ており、やたら肌の露出が多い。
そんな貴族でも平民でもない妙な恰好をした少女は口を開けるやいなやこう言った。
「マスター、お怪我はありませんか?」と
【次回予告】
なぜ王侯貴族は平民から宝石を取り上げたのか? なぜ宝石使いがそこまでの脅威になりうるのか? 全ては宝石本人から教えてもらいました。
第2話 「ダイヤモンドは純潔」
「しゃあねえよ『宝石使い』なんだからよぉ。『人足』は雇うと高いから仕方なく使ってやってるだけでもありがたく思えよなぁ?」
「ハァ……ハァ……」
雇い主である勇者パーティの最後尾を僕は鈍い足取りで歩いていた。
「宝石使い」
それが僕、シュムックの職業だ。
宝石使いって言うからには「宝石を使って何かする」職業だろう。自分の職業で「だろう」が付くなんておかしくないか? と思うかもしれない。
なにせ僕はこの時まで宝石に触れたことも無いし、ましてや所有したことも無いからだ。
パーティリーダーの勇者がお守りとして持っていた「幸運のダイヤモンド」を見る機会があるだけ、とんでもなくラッキーな方だ。
何故なら宝石は王侯貴族のものとして完全に独占され、市場には一切出回らない。庶民に出回るのは質の悪い混ぜものだらけの金や銀などの貴金属がせいぜいだ。
貴族や王族では無い平民が宝石を持つことは「神から世界の統治の命を受けた王侯貴族に真っ向から背く」重罪で発見次第有無を言わさず死刑となる。
なので「宝石使い」という職業は希少でこそあれ歓迎される職業ではない。
何故なら宝石を見たことすらない宝石使いなんて「回復魔法を使えない僧侶」や「字の読めない学者」みたいなもので、端的に言えば「最弱職」であり「呪われた職業」だ。
一応は「荷物持ち」として働いているが「人足」の職業に就いている人間の方がはるかに良く働いてくれる。
そんな不遇職で誰からも疎まれ、役立たずの烙印を押され、生きることに向いてないとさえ言える職業。それが「宝石使い」という職業だった。
「!! お、おい! ミノタウロスがいるぞ!」
ダンジョンの最深部。そこにはフロアの主とでも言える屈強なミノタウロスがいた。パーティメンバーは戦おうとするが……
「ぐえっ!」
大斧で鉄の鎧ごと叩き斬られてメンバーの戦士が倒れる。
「オ、オイ! しっかりしろ!」
「マズい、重傷だ。いったん撤退しよう!」
その強さに圧倒され、逃げ出す。僕も彼らのついていこうとするが僕のみぞおちに一撃を入れる。
「シュムック! 俺たちが逃げるまでの時間を稼げ! 役立たずのクズが最後の最期で役に立てるんだぞ! ありがたく思え!」
「!! ま、待ってよ!」
勇者アルヌルフ率いるパーティでは落ちこぼれで、サンドバッグにされ、ゴミクズのように扱われた挙句、
今回パーティがダンジョン深部でミノタウロス相手に惨敗して撤退する際「捨て石」にされたのだ。僕の一生はここで終わると思っていた。
……勇者アルヌルフが落としたのだろう、祖国の姫君からお守りとして渡された「幸運のダイヤモンド」に触るまでは。
直感だった。あの時は直感でダイヤモンドに触らないと、と思った。
そして触れた瞬間、しなびた植物の芽が雨でうるおされみずみずしさを取り戻すかのように、本能に刻まれた宝石使いの能力が開花したのだ。
「具現化!!」
僕が本能の赴くままに使ったその技で、勇者が落としたのであろうダイヤモンドを核に宝石が光の粒子をまとい現れた少女が、
ミノタウロスの樹齢数百年はあろうかという木の幹のような胴体を一刀両断した。
何が起こったんだろう……? 気が付くと僕の前には少女が1人立っていた。
10歳前後に見えるほどの「若い」というよりは「幼い」といたほうが正しい銀の瞳が特徴の童顔に、それを飾る混じりけのない純白の長いストレートロングの髪。
その顔の割にはスラリと伸びた背に大きくたわわに実った胸。
胸が出ている分余計に目立つのであろう、大理石の彫刻みたいに見事なまでくびれたウエスト。
たるみが一切ない上がったヒップ。
水晶のような透明な素材で出来た彼女の細い腕の力からしたら両手ですら持てるかどうか怪しい程の大型の剣と盾。
その身体を覆う服は純白の布で出来ており、やたら肌の露出が多い。
そんな貴族でも平民でもない妙な恰好をした少女は口を開けるやいなやこう言った。
「マスター、お怪我はありませんか?」と
【次回予告】
なぜ王侯貴族は平民から宝石を取り上げたのか? なぜ宝石使いがそこまでの脅威になりうるのか? 全ては宝石本人から教えてもらいました。
第2話 「ダイヤモンドは純潔」
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
家族の肖像~父親だからって、家族になれるわけではないの!
みっちぇる。
ファンタジー
クランベール男爵家の令嬢リコリスは、実家の経営手腕を欲した国の思惑により、名門ながら困窮するベルデ伯爵家の跡取りキールと政略結婚をする。しかし、キールは外面こそ良いものの、実家が男爵家の支援を受けていることを「恥」と断じ、リコリスを軽んじて愛人と遊び歩く不実な男だった 。
リコリスが命がけで双子のユフィーナとジストを出産した際も、キールは朝帰りをする始末。絶望的な夫婦関係の中で、リコリスは「天使」のように愛らしい我が子たちこそが自分の真の家族であると決意し、育児に没頭する 。
子どもたちが生後六か月を迎え、健やかな成長を祈る「祈健会」が開かれることになった。リコリスは、キールから「男爵家との結婚を恥じている」と聞かされていた義両親の来訪に胃を痛めるが、実際に会ったベルデ伯爵夫妻は―?
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる