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6月26日以前と当日
Scene.5 願望成就
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「うぷっ! うぼえええ……」
新米刑事が凄惨を極める現場を見て嘔吐した。
「ったく、だらしねぇな。それでも刑事か?」
「うう……すいません……先輩……」
「まるで挽き肉だなこりゃ」
「一体どうすりゃこんな死体になるんだ……?」
彼の先輩である10年選手のベテラン刑事は昼食を全部吐き出した後輩から現場に視線を移す。
現場はまさに血の海。紅黒い血液が廊下にあふれるどころか、下の階にまで浸みるほどだった。2年1組の生徒31人と教師が変わり果てた無残な姿で倒れていた。
死体はどれもこれも骨が砕け肉と混ざり合っていたり丸太程の太さの穴が空いていた。腕や頭が引きちぎられたものもある。人間には到底出せない凄まじい力でも無い限り不可能な事だ。
「財布から現金が抜き取られていたがこりゃただの強盗殺人じゃないな。ガイシャをここまで徹底的に痛めつけたことから恨みを持っていた線が濃いな」
「殺害」したと言うよりは「破壊」したと表現したほうがしっくりくる圧倒的な暴力の爪痕。
そこには被害者全員を徹底的に憎んでいた、というよりは人として認識していない可能性すらあったという恐るべきありさまであった。
1時間後、街頭テレビを見るとどこも番組内容を変更してこの惨事を伝えていた。誰もが凄惨な事件におびえる中、一人だけニヤついている学生がいたが雑踏の中に紛れてそれに気づく者は一人もいなかった。
日が落ちた午後7時過ぎ、彼は宿敵共のいる自宅へと帰ってきた。
「ただいま」
なるべく平穏を装うよう気を付けながら醜い顔の青年は帰宅した。と同時に家全体を覆うように結界を張る。
「……生きてたのか」
「……生きてたのね」
父親と母親が一瞬、乃亜の元気な姿を見て同じようなセリフをつぶやき、同じタイミングで大変残念そうにため息をついて飯を食う。
「無事だったのか」という言葉の代わりに息子にぶつけたセリフが2人にとって乃亜がどんな存在かを雄弁に物語っていた。
「生きてた、か。テメーらは実の息子に対してそんな酷い事言うんだな。やらかすと思ってたけどな」
「何だと!?」
乃亜の一言にカチンときた父親が立ち上がりドカドカと足音を立てながら彼に近づく。
「オイ! 親に向かって何だそのセリフは! 俺達はテメーに仕方なく飯を食わしてやってんだぞ!? 勉強も出来ない! 運動も出来ない! 友達もいない! 何にもできない穀潰しのくせに偉そうな口を叩くな!」
「もう! パパったら! お兄ちゃんの事悪く言わないでよ。無事でよかったじゃない!」
「美歌。テメーにとってはどうせストレス解消のためのサンドバックがくたばらなくて良かったって意味なんだろ?」
「あぁ?」
何故か自信たっぷりな上に生意気なことを言って食って掛かる劣等生物に美歌は態度を一変させる。
「何だテメェ。ハーブでもキメてラリってんのか?」
昨日まで劣等生物だったそれは無言のまま右腕だけに≪超常者の怪力≫を発動させ、妹をありったけの力を込めてぶん殴った。
口の悪いクソアマは殴られた衝撃で肋骨が4本へし折れた上に吹き飛び壁に叩きつけられ、床に倒れた。あまりにも突拍子もない出来事に両親はぽかんと口を開けていた。
しばらくして……ようやく目の前で起こった出来事に対して脳みその処理が追いついたところで父親が乃亜の胸ぐらを捕まえて凄まじい剣幕で怒鳴り込む。
「の、乃亜! お前なんてことをするんだ!」
「汚い手で触るな」
そんな父親に息子はゲロを見るような目をしながらそう一言だけつぶやき右手をつかみ、人体構造上決して曲がらない方向に曲げた。
それを合図に乃亜は異形の怪物に変身し、長年の宿敵たちに対する復讐劇の幕を切って落とした。
まず見たのは母親。彼女は電話で助けを呼ぼうと固定電話の受話器を取るが乃亜は後ろから彼女の背中に鋭い一撃を叩き込む。
背骨がベキッ! と音を立ててへし折れ、その場に倒れ込んだ。
受話器に耳を当てまだどこにも電話をかけていないのを確認すると静かに受話器を戻し、母親を蹴り転がして仰向けにさせる。
「やめて……やめて! 私はアンタを産んだお母さんなんだよ!?」
「テメーはついさっき俺に向かって何て言ったんだ? 実の息子に「生きてたのね」とか言う母親なんて要らないね。こちらから願い下げだ」
怪物はためらいなく実の母親の頭を掴み、全壊させた。もちろん身体から出てきた魂もきっちり回収する。そして速やかに視線を次のターゲットに移す。
「や、止めろ! 止めろ乃亜! 俺はお前の父さんなんだぞ!」
「だから何だ? 止めれば俺に何かメリットでもあるのか?」
「メ、メリット? メリットだと!? 損得の問題じゃないだろ!? お前親に向かってそんな事言うのか!?」
「テメーもさっき俺に向かって「生きてたのか」なんて言ったよな? 実の息子にそんな事言う屑を父親だと思いたくないね」
そう言ってまず両足のつま先を破壊する。次に足首、さらにスネと致命傷を与えずにじわじわとなぶる。なるべく苦しむように。1秒でも長生き出来る様に。両手両足を潰したところで激痛に耐えながらそれは語りだした。
「止めろ……止めろ乃亜! お前は人の命を何だと思ってるんだ!?」
「お前の命なんてクソ以下だ。クソは肥料になるがお前は肥やしにすらならん」
それは慈悲も許しというものも理解できなかった。さらに肩を破壊され、出来うる限りの苦痛を味わった後ようやく彼は壊れた。
気のせいか彼の魂は今まで回収した他の魂と違い灰色ががっていたが気にせず回収し、最後に残った駆除対象物に目を向けた。
「殺す……! ぶっ殺す!」
美歌は肋骨が折れた痛みに耐えながら台所から持ってきた包丁を取り出し、化け物に切りかかる。が、怪物にはかすり傷一つつけるどころか透明な壁 -家を覆ったのとは別の防御用の結界- に遮られ触れる事すら出来なかった。
「畜生! 畜生! 何なんだよ! 何なんだよテメェ!」
目の前にいるゲームに出てくるモンスターのようなそれに対してヤケクソで包丁を振り回す。が、全く持って無駄な抵抗だった。
兄は妹の右腕を両手を使って全壊させた。
「ぐあああああああああ!!!」
美歌は破損個所から血を噴き出しながら床をのた打ち回った。
最高だ。
16年間虐げられ続けて溜まりに溜まった鬱憤を一気にぶちまけるカタルシス、
圧倒的力で完膚なきまでに叩き潰す爽快感、
どうやって殺すかを自分で思うがままに決められるという全能感、
それらがすべて混ざり合い脳みそに直接覚醒剤をぶち込んでキメたかのような究極の多幸感となって全身を駆け巡り、今までの人生の中で経験したこともない最高にハイな清々しい感覚に酔いしれる。
「ぜってー……ぜってーぶっ殺す! どんな手使ってでもテメーをぶっ殺してやるからな!」
「汚い口だな」
腕を全壊され、失血で意識がもうろうとしているがそれでも強気な姿勢を崩さない美歌を見下しつつ乃亜は彼女の顎を蹴り潰す。何か硬いものが砕ける鈍い音が部屋に響いた。
「ころひへひゃる……れっらい……れっらいころひへひゃる……」
「あの世でほざくんだな」
顎を砕かれたにも関わらずなお同じことをそれだけの単語しか登録されてないbotのようにリピート再生し続けるガキに付き合ってられんと言わんばかりに大きくため息をつき、とどめの一撃と言わんばかりに頭を破壊した。自宅に静寂が訪れた。
身体から出てきた美歌の魂を取り込もうと紅い霧が広がった瞬間、魂は逃げるように飛び去って行った。結界もすり抜けてそのまま夜の闇へと消えていった。
クラスメートや親の魂はただふわふわと浮いていただけなのに美歌の魂は意思があるかのように逃げて行った。
「どうなってんだ?」
「さぁ? 俺も初めて見たからよく分かんねぇ」
気を取り直してタンスや両親の財布から金を抜き取る。昨日が給料日だったためクラスメート共から奪い取った金の合計よりもずっと多い額だ。出来れば通帳やクレジットカードも欲しいとこだが足がつくのでやめておく。
「はー食った食った。34人か。大漁だな。特に父親のはジューシーだったな」
「金が入ったから今夜は俺もごちそうにするか」
復讐を遂げた乃亜はけろりとした表情で都心にある有名なラーメン屋へ向かって飛び立っていった。
新米刑事が凄惨を極める現場を見て嘔吐した。
「ったく、だらしねぇな。それでも刑事か?」
「うう……すいません……先輩……」
「まるで挽き肉だなこりゃ」
「一体どうすりゃこんな死体になるんだ……?」
彼の先輩である10年選手のベテラン刑事は昼食を全部吐き出した後輩から現場に視線を移す。
現場はまさに血の海。紅黒い血液が廊下にあふれるどころか、下の階にまで浸みるほどだった。2年1組の生徒31人と教師が変わり果てた無残な姿で倒れていた。
死体はどれもこれも骨が砕け肉と混ざり合っていたり丸太程の太さの穴が空いていた。腕や頭が引きちぎられたものもある。人間には到底出せない凄まじい力でも無い限り不可能な事だ。
「財布から現金が抜き取られていたがこりゃただの強盗殺人じゃないな。ガイシャをここまで徹底的に痛めつけたことから恨みを持っていた線が濃いな」
「殺害」したと言うよりは「破壊」したと表現したほうがしっくりくる圧倒的な暴力の爪痕。
そこには被害者全員を徹底的に憎んでいた、というよりは人として認識していない可能性すらあったという恐るべきありさまであった。
1時間後、街頭テレビを見るとどこも番組内容を変更してこの惨事を伝えていた。誰もが凄惨な事件におびえる中、一人だけニヤついている学生がいたが雑踏の中に紛れてそれに気づく者は一人もいなかった。
日が落ちた午後7時過ぎ、彼は宿敵共のいる自宅へと帰ってきた。
「ただいま」
なるべく平穏を装うよう気を付けながら醜い顔の青年は帰宅した。と同時に家全体を覆うように結界を張る。
「……生きてたのか」
「……生きてたのね」
父親と母親が一瞬、乃亜の元気な姿を見て同じようなセリフをつぶやき、同じタイミングで大変残念そうにため息をついて飯を食う。
「無事だったのか」という言葉の代わりに息子にぶつけたセリフが2人にとって乃亜がどんな存在かを雄弁に物語っていた。
「生きてた、か。テメーらは実の息子に対してそんな酷い事言うんだな。やらかすと思ってたけどな」
「何だと!?」
乃亜の一言にカチンときた父親が立ち上がりドカドカと足音を立てながら彼に近づく。
「オイ! 親に向かって何だそのセリフは! 俺達はテメーに仕方なく飯を食わしてやってんだぞ!? 勉強も出来ない! 運動も出来ない! 友達もいない! 何にもできない穀潰しのくせに偉そうな口を叩くな!」
「もう! パパったら! お兄ちゃんの事悪く言わないでよ。無事でよかったじゃない!」
「美歌。テメーにとってはどうせストレス解消のためのサンドバックがくたばらなくて良かったって意味なんだろ?」
「あぁ?」
何故か自信たっぷりな上に生意気なことを言って食って掛かる劣等生物に美歌は態度を一変させる。
「何だテメェ。ハーブでもキメてラリってんのか?」
昨日まで劣等生物だったそれは無言のまま右腕だけに≪超常者の怪力≫を発動させ、妹をありったけの力を込めてぶん殴った。
口の悪いクソアマは殴られた衝撃で肋骨が4本へし折れた上に吹き飛び壁に叩きつけられ、床に倒れた。あまりにも突拍子もない出来事に両親はぽかんと口を開けていた。
しばらくして……ようやく目の前で起こった出来事に対して脳みその処理が追いついたところで父親が乃亜の胸ぐらを捕まえて凄まじい剣幕で怒鳴り込む。
「の、乃亜! お前なんてことをするんだ!」
「汚い手で触るな」
そんな父親に息子はゲロを見るような目をしながらそう一言だけつぶやき右手をつかみ、人体構造上決して曲がらない方向に曲げた。
それを合図に乃亜は異形の怪物に変身し、長年の宿敵たちに対する復讐劇の幕を切って落とした。
まず見たのは母親。彼女は電話で助けを呼ぼうと固定電話の受話器を取るが乃亜は後ろから彼女の背中に鋭い一撃を叩き込む。
背骨がベキッ! と音を立ててへし折れ、その場に倒れ込んだ。
受話器に耳を当てまだどこにも電話をかけていないのを確認すると静かに受話器を戻し、母親を蹴り転がして仰向けにさせる。
「やめて……やめて! 私はアンタを産んだお母さんなんだよ!?」
「テメーはついさっき俺に向かって何て言ったんだ? 実の息子に「生きてたのね」とか言う母親なんて要らないね。こちらから願い下げだ」
怪物はためらいなく実の母親の頭を掴み、全壊させた。もちろん身体から出てきた魂もきっちり回収する。そして速やかに視線を次のターゲットに移す。
「や、止めろ! 止めろ乃亜! 俺はお前の父さんなんだぞ!」
「だから何だ? 止めれば俺に何かメリットでもあるのか?」
「メ、メリット? メリットだと!? 損得の問題じゃないだろ!? お前親に向かってそんな事言うのか!?」
「テメーもさっき俺に向かって「生きてたのか」なんて言ったよな? 実の息子にそんな事言う屑を父親だと思いたくないね」
そう言ってまず両足のつま先を破壊する。次に足首、さらにスネと致命傷を与えずにじわじわとなぶる。なるべく苦しむように。1秒でも長生き出来る様に。両手両足を潰したところで激痛に耐えながらそれは語りだした。
「止めろ……止めろ乃亜! お前は人の命を何だと思ってるんだ!?」
「お前の命なんてクソ以下だ。クソは肥料になるがお前は肥やしにすらならん」
それは慈悲も許しというものも理解できなかった。さらに肩を破壊され、出来うる限りの苦痛を味わった後ようやく彼は壊れた。
気のせいか彼の魂は今まで回収した他の魂と違い灰色ががっていたが気にせず回収し、最後に残った駆除対象物に目を向けた。
「殺す……! ぶっ殺す!」
美歌は肋骨が折れた痛みに耐えながら台所から持ってきた包丁を取り出し、化け物に切りかかる。が、怪物にはかすり傷一つつけるどころか透明な壁 -家を覆ったのとは別の防御用の結界- に遮られ触れる事すら出来なかった。
「畜生! 畜生! 何なんだよ! 何なんだよテメェ!」
目の前にいるゲームに出てくるモンスターのようなそれに対してヤケクソで包丁を振り回す。が、全く持って無駄な抵抗だった。
兄は妹の右腕を両手を使って全壊させた。
「ぐあああああああああ!!!」
美歌は破損個所から血を噴き出しながら床をのた打ち回った。
最高だ。
16年間虐げられ続けて溜まりに溜まった鬱憤を一気にぶちまけるカタルシス、
圧倒的力で完膚なきまでに叩き潰す爽快感、
どうやって殺すかを自分で思うがままに決められるという全能感、
それらがすべて混ざり合い脳みそに直接覚醒剤をぶち込んでキメたかのような究極の多幸感となって全身を駆け巡り、今までの人生の中で経験したこともない最高にハイな清々しい感覚に酔いしれる。
「ぜってー……ぜってーぶっ殺す! どんな手使ってでもテメーをぶっ殺してやるからな!」
「汚い口だな」
腕を全壊され、失血で意識がもうろうとしているがそれでも強気な姿勢を崩さない美歌を見下しつつ乃亜は彼女の顎を蹴り潰す。何か硬いものが砕ける鈍い音が部屋に響いた。
「ころひへひゃる……れっらい……れっらいころひへひゃる……」
「あの世でほざくんだな」
顎を砕かれたにも関わらずなお同じことをそれだけの単語しか登録されてないbotのようにリピート再生し続けるガキに付き合ってられんと言わんばかりに大きくため息をつき、とどめの一撃と言わんばかりに頭を破壊した。自宅に静寂が訪れた。
身体から出てきた美歌の魂を取り込もうと紅い霧が広がった瞬間、魂は逃げるように飛び去って行った。結界もすり抜けてそのまま夜の闇へと消えていった。
クラスメートや親の魂はただふわふわと浮いていただけなのに美歌の魂は意思があるかのように逃げて行った。
「どうなってんだ?」
「さぁ? 俺も初めて見たからよく分かんねぇ」
気を取り直してタンスや両親の財布から金を抜き取る。昨日が給料日だったためクラスメート共から奪い取った金の合計よりもずっと多い額だ。出来れば通帳やクレジットカードも欲しいとこだが足がつくのでやめておく。
「はー食った食った。34人か。大漁だな。特に父親のはジューシーだったな」
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