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17.呪いを解く(※18)
※R18 少しR18Gもあります。
媚薬のようなものを塗られ、何人にも犯されて簡単に達するようになった身体は何をされても反応してしまい、少し擦られる感覚だけでまた達してしまった。
「ふっ、ふふふ!はははは!失望しましたよ!こうして下賤な男たちに、犯されているというのに!レピド様の前で無様にも喘いで喘いで!最後は自分から男を快楽へ誘う、魔性のメスではありませんか!ハハ、邸宅に来たばかりだったというのに邪魔ばかりしやがって!!」
「うっ、ううっ」
豹変して強引に腰を掴んで中を打ち付けてくる。苦しくてつい呻いてしまった。
「お前のせいでレピド様と離れ離れにさせられてどれだけ苦しんだと思ってやがるんだ!ああ!?」
「いっ、ぅ!!」
「この性処理道具のゴミが!!お前がレピド様を泣かせた!お前がこんな場所に連れてきてしまったんだ!!」
「ごめ、ん、なさい、うぅっ、ひっ、ぅ」
この男の言う通りだった。何時間経っているのだろうか、ずっと男に犯され続け、快楽に負け、挙句レピから気をそらす為とはいえ使用人を誘惑した。この地獄を招いたのは自分だった。レピにこんな悍ましい世界を見せてしまったのは俺だった。いざ言葉にされると感情がめちゃくちゃなってしまい、隣で涙を流しているレピをみて自分も涙が流れた。その様子をみて興奮する男たちの奥で獣のようにフーッと息を吐くシナバーが見えた。その時――
「なっ!」
「どういうことですか!?なんで……!」
次々と男が血しぶきをあげて倒れていった。ここにはもう自分とレピと、シナバーしかいない。
シナバーがずっと息を荒らげている。
「フーーーーーッフーーーーッ……俺でなきゃ、俺でなきゃならない」
「し、シナバー」
「お前にこの顔をさせるのは、お前をめちゃくちゃに穢すのは」
彼が何を考えているのか分からない。
シナバーは血に塗れたナイフを俺の首に添えた。
「お前はもうあの男とあのガキの色に染まっている……死んで次の世界に行こう……まっさらなお前を、最初に見つけて、俺が……おれが……!」
「師匠!!」
あぁ、ここで終わりか。
「ジャスパー……レピ……」
目を閉じたその時、胸元に垂れていたペンダントが光ってシナバーを吹き飛ばした。紫の光は更に強まり、大きな人影を作る。光から現れたのはジャスパーだった。
彼は白濁に塗れている俺と涙をボロボロ流すレピを見て、吹き飛ばされて壁に寄りかかるシナバーに鬼神の如く重い一撃をぶつけた。シナバーはそれをナイフで受けるがあまりの重さにナイフに亀裂が入っていた。
「ジャスパー……!」
「ち、父上!!」
「2人とも遅くなってすまない」
後に聞いたが、彼が贈ってくれたあのネックレスに宿っている力とは、俺の命の危機に反抗して対象を弾き飛ばすと同時にネックレスの契約者を召喚するというものだった。
「さっきのが……貴様の本心か。貴様はシラーへの罰などとっくの昔に与え終わった。なのにお前自身が終われなかった」
「なんだよ」
シナバーは何を言われているのか分からないと言った顔をして敵意を剥き出しにしている。
「貴様は俺と同じだ……シラーに魅入られて、憎悪も恋情も、貴様のその全ての情でシラーを埋め尽くさないと気が済まなくなったんだろう」
シナバーは黙っている。昔から奴は図星を突かれると黙る癖があった。
「使徒が二人もいるなんて、最初は驚いたさ。神が座標を当てたその場で死ぬ使徒をこの世に顕現させるのが世の定まりだというのに……だが貴様は、シラーとほとんど同じようなタイミングに死んだのだろう」
「お前がシラーを殺し、その事実に耐えきれなくなったお前が、お前自身を殺めた」
「えっ……」
それは、俺を殺して俺のあとを追ったということだろうか。
「貴様を地獄に突き落としてやる」
ジャスパーがそう言い終えると同時に俺に接吻した。驚き半分に、心を占めたのは安心感だった。絶望が希望に変わるような瞬間で、俺が前の世界からずっと……何よりも待ち侘びていたものだった。
「やめろ、はああ、シラー、シラー!!」
安心しきった顔を見せる俺を見てシナバーはナイフで切りつけにかかってきたが、それをジャスパーが剣で封じる。そしてすぐ彼は首輪の鎖を切り落として言った。
「お前はこれから、幸せになるんだ」
幼い頃にヒーローなんて存在が自分を助けてくれないだろうかと願ったことがあった。そんな人はどこにもいなくて俺が牢獄で死ぬその時も現れなかった。俺は臆病だったから、どれだけ足掻いても届かなかった遠くて高い出口には梯子をかけてくれる人がどうしても必要だったのだ。
これから幸せになる。なんて力のある言葉なのだろう。やっと出口へと連れていってくれる。やっとだ。
ジャスパーがシナバーに斬りかかった。しかしシナバーも精鋭だ。決して弱いなんてことはない。ジャスパーの剣を避けて視線を右へと送る。しかしジャスパーはその視線誘導に釣られずシナバーのみに集中していた。シナバーは素早く動きジャスパーの背後に回ったが彼はその動きに追いついている。その動きを知っていると言わんばかりに迫るナイフを掴んだ手の元に剣を寄越した。
「あ、あ゛あ゛あぁ!!」
シナバーの手がナイフごと床に落ちた。利き手を奪われてやつの動きがみるみる鈍っていく。そしてついに出血過多でシナバーが膝をついた。
「シラー……シラアアア゛ア゛ア゛!!!」
ビリビリと部屋が共鳴する。
「お前も地獄に連れてってやる!!」
その悲痛とも言えるくらいの咆哮と同時にジャスパーが身につけていた装飾品が壊れた。
「なに!?アーティファクトが――」
「ジャスパー!?」
「くそ……貴様、この力でッ」
ジャスパーが剣を握り、こちらに向けてきた。
「にげ、ろ、シラー」
ジャスパーは剣を握る手に自らナイフを突き立てて俺に向ける剣を無理矢理落とした。
「ジャスパー!手が……!」
何か方法は無いかとシナバーの方を見ると赤い瞳が発光していた。彼が何か妙な力を使っているに違いない。そう思いシナバーに飛びかかって押し倒した。
「シラー、シラー!」
彷徨うように手を向けてくる様子は、まるで赤子のそれだ。彼の仲間を皆殺しにしてから彼はずっと1人だった。俺を何人もの男に犯させた時も、つるんではいるもののどこか孤独で虚ろで。暗闇を迷う幼い子どものような顔をして俺を求める姿を見て何故か涙が零れてしまった。
「お前を、あの時殺しておくべきだった……。こんなに俺で狂うなら俺の手で殺すべきだった……!あの世界で孤独に生きることがどれだけ苦痛なのか知ってたのに、生ぬるくお前だけを生かして地獄に連れてきてしまった!俺が……俺が…………!」
「お前のそのイカれた善性が……とんでもなく嫌いなのに……俺の部下を皆殺しにしておいて……善人ぶるお前が……俺に穢されたのに俺を赦そうとするお前が!!」
悪人にも善人にもなりきれない俺への罰だ。ずっとどっちつかずのまま生きてしまった。その分シナバーは徹底していた。そういった面で彼の方がよっぽど純粋だったのだ。
涙がシナバーの頬に落ちる。
「なのになんで、なんでそんなに綺麗なんだよ」
「っ!」
「あの時と同じ……いつも、いっつも!なんで女神みたいな泣き顔なんだよ……!どうして俺は!殺された部下よりお前のことを想っちまうんだ?クソ、クソ!!!」
狂っている。俺のせいでこんなに狂わせてしまった。
「ごめん……散々苦しめた……。もう、俺が終わらせてやる」
「あっ、が、ッ、シ、ラーッ」
シナバーの額に口付けて首にかけた手の力を更に強める。的確に首を圧迫し、シナバーの脈の動きを身に染み込ませた。シナバーの力が弱まるのが分かる。俺はこの方法しか知らなかった。
彼はどこか満たされたような顔をした。
「安心して眠れ、シナバー。お前はもう俺の呪縛から解放する。お前のことをずっと忘れない。この傷跡にずっと残す」
自分が生み出した憎悪を自分の手で眠らせた。動かなくなったシナバーを抱き抱えて瞼を手で下げた。
「おやすみ」
まるで嵐が去ったかのように部屋がしんと静まる。他に方法があったのだろうか。対話して分かりあって、和解できる未来はあったのだろうか。でも、怖くて仕方がなかった。判断が少しでも遅れてしまってジャスパーもレピも失うのが、あまりにも怖かったのだ。
媚薬のようなものを塗られ、何人にも犯されて簡単に達するようになった身体は何をされても反応してしまい、少し擦られる感覚だけでまた達してしまった。
「ふっ、ふふふ!はははは!失望しましたよ!こうして下賤な男たちに、犯されているというのに!レピド様の前で無様にも喘いで喘いで!最後は自分から男を快楽へ誘う、魔性のメスではありませんか!ハハ、邸宅に来たばかりだったというのに邪魔ばかりしやがって!!」
「うっ、ううっ」
豹変して強引に腰を掴んで中を打ち付けてくる。苦しくてつい呻いてしまった。
「お前のせいでレピド様と離れ離れにさせられてどれだけ苦しんだと思ってやがるんだ!ああ!?」
「いっ、ぅ!!」
「この性処理道具のゴミが!!お前がレピド様を泣かせた!お前がこんな場所に連れてきてしまったんだ!!」
「ごめ、ん、なさい、うぅっ、ひっ、ぅ」
この男の言う通りだった。何時間経っているのだろうか、ずっと男に犯され続け、快楽に負け、挙句レピから気をそらす為とはいえ使用人を誘惑した。この地獄を招いたのは自分だった。レピにこんな悍ましい世界を見せてしまったのは俺だった。いざ言葉にされると感情がめちゃくちゃなってしまい、隣で涙を流しているレピをみて自分も涙が流れた。その様子をみて興奮する男たちの奥で獣のようにフーッと息を吐くシナバーが見えた。その時――
「なっ!」
「どういうことですか!?なんで……!」
次々と男が血しぶきをあげて倒れていった。ここにはもう自分とレピと、シナバーしかいない。
シナバーがずっと息を荒らげている。
「フーーーーーッフーーーーッ……俺でなきゃ、俺でなきゃならない」
「し、シナバー」
「お前にこの顔をさせるのは、お前をめちゃくちゃに穢すのは」
彼が何を考えているのか分からない。
シナバーは血に塗れたナイフを俺の首に添えた。
「お前はもうあの男とあのガキの色に染まっている……死んで次の世界に行こう……まっさらなお前を、最初に見つけて、俺が……おれが……!」
「師匠!!」
あぁ、ここで終わりか。
「ジャスパー……レピ……」
目を閉じたその時、胸元に垂れていたペンダントが光ってシナバーを吹き飛ばした。紫の光は更に強まり、大きな人影を作る。光から現れたのはジャスパーだった。
彼は白濁に塗れている俺と涙をボロボロ流すレピを見て、吹き飛ばされて壁に寄りかかるシナバーに鬼神の如く重い一撃をぶつけた。シナバーはそれをナイフで受けるがあまりの重さにナイフに亀裂が入っていた。
「ジャスパー……!」
「ち、父上!!」
「2人とも遅くなってすまない」
後に聞いたが、彼が贈ってくれたあのネックレスに宿っている力とは、俺の命の危機に反抗して対象を弾き飛ばすと同時にネックレスの契約者を召喚するというものだった。
「さっきのが……貴様の本心か。貴様はシラーへの罰などとっくの昔に与え終わった。なのにお前自身が終われなかった」
「なんだよ」
シナバーは何を言われているのか分からないと言った顔をして敵意を剥き出しにしている。
「貴様は俺と同じだ……シラーに魅入られて、憎悪も恋情も、貴様のその全ての情でシラーを埋め尽くさないと気が済まなくなったんだろう」
シナバーは黙っている。昔から奴は図星を突かれると黙る癖があった。
「使徒が二人もいるなんて、最初は驚いたさ。神が座標を当てたその場で死ぬ使徒をこの世に顕現させるのが世の定まりだというのに……だが貴様は、シラーとほとんど同じようなタイミングに死んだのだろう」
「お前がシラーを殺し、その事実に耐えきれなくなったお前が、お前自身を殺めた」
「えっ……」
それは、俺を殺して俺のあとを追ったということだろうか。
「貴様を地獄に突き落としてやる」
ジャスパーがそう言い終えると同時に俺に接吻した。驚き半分に、心を占めたのは安心感だった。絶望が希望に変わるような瞬間で、俺が前の世界からずっと……何よりも待ち侘びていたものだった。
「やめろ、はああ、シラー、シラー!!」
安心しきった顔を見せる俺を見てシナバーはナイフで切りつけにかかってきたが、それをジャスパーが剣で封じる。そしてすぐ彼は首輪の鎖を切り落として言った。
「お前はこれから、幸せになるんだ」
幼い頃にヒーローなんて存在が自分を助けてくれないだろうかと願ったことがあった。そんな人はどこにもいなくて俺が牢獄で死ぬその時も現れなかった。俺は臆病だったから、どれだけ足掻いても届かなかった遠くて高い出口には梯子をかけてくれる人がどうしても必要だったのだ。
これから幸せになる。なんて力のある言葉なのだろう。やっと出口へと連れていってくれる。やっとだ。
ジャスパーがシナバーに斬りかかった。しかしシナバーも精鋭だ。決して弱いなんてことはない。ジャスパーの剣を避けて視線を右へと送る。しかしジャスパーはその視線誘導に釣られずシナバーのみに集中していた。シナバーは素早く動きジャスパーの背後に回ったが彼はその動きに追いついている。その動きを知っていると言わんばかりに迫るナイフを掴んだ手の元に剣を寄越した。
「あ、あ゛あ゛あぁ!!」
シナバーの手がナイフごと床に落ちた。利き手を奪われてやつの動きがみるみる鈍っていく。そしてついに出血過多でシナバーが膝をついた。
「シラー……シラアアア゛ア゛ア゛!!!」
ビリビリと部屋が共鳴する。
「お前も地獄に連れてってやる!!」
その悲痛とも言えるくらいの咆哮と同時にジャスパーが身につけていた装飾品が壊れた。
「なに!?アーティファクトが――」
「ジャスパー!?」
「くそ……貴様、この力でッ」
ジャスパーが剣を握り、こちらに向けてきた。
「にげ、ろ、シラー」
ジャスパーは剣を握る手に自らナイフを突き立てて俺に向ける剣を無理矢理落とした。
「ジャスパー!手が……!」
何か方法は無いかとシナバーの方を見ると赤い瞳が発光していた。彼が何か妙な力を使っているに違いない。そう思いシナバーに飛びかかって押し倒した。
「シラー、シラー!」
彷徨うように手を向けてくる様子は、まるで赤子のそれだ。彼の仲間を皆殺しにしてから彼はずっと1人だった。俺を何人もの男に犯させた時も、つるんではいるもののどこか孤独で虚ろで。暗闇を迷う幼い子どものような顔をして俺を求める姿を見て何故か涙が零れてしまった。
「お前を、あの時殺しておくべきだった……。こんなに俺で狂うなら俺の手で殺すべきだった……!あの世界で孤独に生きることがどれだけ苦痛なのか知ってたのに、生ぬるくお前だけを生かして地獄に連れてきてしまった!俺が……俺が…………!」
「お前のそのイカれた善性が……とんでもなく嫌いなのに……俺の部下を皆殺しにしておいて……善人ぶるお前が……俺に穢されたのに俺を赦そうとするお前が!!」
悪人にも善人にもなりきれない俺への罰だ。ずっとどっちつかずのまま生きてしまった。その分シナバーは徹底していた。そういった面で彼の方がよっぽど純粋だったのだ。
涙がシナバーの頬に落ちる。
「なのになんで、なんでそんなに綺麗なんだよ」
「っ!」
「あの時と同じ……いつも、いっつも!なんで女神みたいな泣き顔なんだよ……!どうして俺は!殺された部下よりお前のことを想っちまうんだ?クソ、クソ!!!」
狂っている。俺のせいでこんなに狂わせてしまった。
「ごめん……散々苦しめた……。もう、俺が終わらせてやる」
「あっ、が、ッ、シ、ラーッ」
シナバーの額に口付けて首にかけた手の力を更に強める。的確に首を圧迫し、シナバーの脈の動きを身に染み込ませた。シナバーの力が弱まるのが分かる。俺はこの方法しか知らなかった。
彼はどこか満たされたような顔をした。
「安心して眠れ、シナバー。お前はもう俺の呪縛から解放する。お前のことをずっと忘れない。この傷跡にずっと残す」
自分が生み出した憎悪を自分の手で眠らせた。動かなくなったシナバーを抱き抱えて瞼を手で下げた。
「おやすみ」
まるで嵐が去ったかのように部屋がしんと静まる。他に方法があったのだろうか。対話して分かりあって、和解できる未来はあったのだろうか。でも、怖くて仕方がなかった。判断が少しでも遅れてしまってジャスパーもレピも失うのが、あまりにも怖かったのだ。
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