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第二章
突入・第一層
しおりを挟むダンジョンの内部は、床も壁も天井も土でできていて、まさに洞窟といった感じだった。
日光など届きようもないのに昼間のように明るい。
すげぇ...どうやってこんなのができるんだ...?
「───で、何でお前までついて来てんだよ」
前を歩くビューラーが顔だけ後ろに向けて言ってくる。
そう、ダメ元で同行させて欲しいと隊長に言ったら、何故だかOKされたのだ。なのでありがたく付いて行くことにした。
曲がり角から出て来たモンスターが、冒険者の魔法によって一瞬で魔石に変えられる。
優秀な彼らがモンスターたちをすんなり倒してしまうのでやることはないが、地下迷宮を歩いているだけでもワクワクする。
明け方にダンジョンに入る事が決まった後、俺はビューラーから色々と教えてもらった。
まずダンジョンは、その攻略難度によっていくつかのランクに分類されている。
下から、D、C、B、A。
魔物のランクの場合は、冒険者が一つ下のランクの魔物と戦えば一対一でも戦えるという指標になる。
相性が悪く勝ちきれなかったとしても、負けることはそうそうない。
しかしダンジョンの場合はそうではなく、冒険者にとって、そのランクは必ずしも当てになるわけではない。
魔物との戦闘と比べて、相性の要素がかなり大きいのだ。
ダンジョンには時に極端な特徴があり、単純な戦闘がメインのダンジョンもあれば、複雑な迷路や狡猾な罠が張り巡らされたものもある。
どれだけ強い冒険者でも、道に迷い続ければ食糧が尽きて倒れてしまう。
同様の理由で、そもそもランク分けも厳密ではない。
ただ一つ共通しているのは、どんなダンジョンであれ低級冒険者が足を踏み入れれば、そこはたちまち彼らの墓場と化すということらしい。
それでも、ダンジョンを攻略すれば箔がつくため、挑むものは数知れない。
そんな中でも難度が高いA級を踏破するということは、冒険者にとって最上の成功であり栄誉でありたちまち世界に名が売れるほどであるらしい。
過去も現在も多くの冒険者がそれを求め危険を冒しながらも地下へと潜る。
けれどそのD~Aというランクは所詮、攻略済みのダンジョンにつけられるものでしかない。
世界には未だ未踏破のダンジョンが幾つか存在し、それこそがAランクのさらに上、Sランク───災禍級ダンジョンである。
特徴はその凶悪なまでの難易度と、どういう原理かは不明だが、出現時にスタンピードを発生させるということらしい───。
けど、やばい感じは全然しないな...本当にこれがだれも攻略出来てない、災禍級とかいうやばいダンジョンの一種なのか...?
「今のところそれほどの強さではないが、一層でこれというのは先が思いやられるな」
「いや...魔物の種類が違う」
「違う?」
「ああ...こいつらは二層で出てくるモンスターだったはずなんだが...」
聞こえてくる会話が気になりながらも、モンスターを倒しつつ罠を解除しながら進む。
俺は後ろでついていってるだけだけど...。
しばらくして、先導する騎士隊長が後ろを振り返って言う。
「この先の階段を降りれば第二層だ」
案外すんなり進めたな。
「気を抜くなよ。本番は三層かららしいからな。それに、何か様子が変なようだしな」
「...ああ」
言われるまでもない。
そう思いながらも改めて気を張り直す。
「降りるぞ!」
「「おう!」」
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