240 / 241
#240 偶然という名の伝説級
卒業式の日、空はやけに青かった。
王立魔導学院の講堂には、若き魔導士たちが整列している。
その中で、俺――リオンはぼんやりと壇上を眺めていた。
転生して、もう十年になる。
前世の俺は、平凡な会社員だった。
ある春の日、通勤途中に倒れ、そのまま人生は終わった。
そして目覚めたら、この世界の赤ん坊から開始だった。
それからすくすく成長し……。
せっかくの異世界だ。
剣とか魔法とか、派手な人生を期待した。
だが現実は少し違った。
魔力は平均以下。
剣術も並。
成績も中の下。
結局、前世と同じく“目立たない人生”を歩んできた。
「卒業生代表、リオン・アルテイル」
呼ばれて、はっとする。
俺が代表?
そんなはずはない。
周囲もざわついていた。
だが壇上の校長は、穏やかにうなずいた。
「前へ」
戸惑いながら歩き出す。
壇上に立つと、講堂の全員の視線が集まった。
校長が静かに言う。
「リオン・アルテイル。君には特別功労賞を授与する」
ますます意味がわからない。
「……えっと、何かの間違いでは」
すると校長は、くすりと笑った。
「君は覚えていないだろうが」
そう言って、一枚の記録書を掲げた。
「入学して三日目。暴走した古代召喚陣を止めたのは君だ」
ざわめきが広がる。
そんな事件、学院の伝説だ。
失敗すれば都市ごと消えると言われていた。
「でも俺、そんな……」
記憶がない。
校長はうなずいた。
「君はただ、間違えて踏んだ」
講堂が静まり返る。
「魔法陣の“最後の一点”を」
沈黙のあと、誰かが吹き出した。
校長は続けた。
「英雄は、いつも英雄らしい顔で現れるわけではない」
賞状を差し出す。
「君はたまたま世界を救った」
俺は受け取りながら苦笑した。
前世でも今世でも、自分というヤツは特別な人間じゃないと思っていた。
でもどうやら――
世界は時々、特別じゃない人間に、こっそり栄誉を与えるらしい。
講堂の拍手の中、ふと思う。
もし前世の俺が見たら、きっと驚くだろう。
だって俺は今日、人生で初めて、最高の価値を示したのだから。
そして今度こそ胸を張って、俺はこの世界を生き抜く――
王立魔導学院の講堂には、若き魔導士たちが整列している。
その中で、俺――リオンはぼんやりと壇上を眺めていた。
転生して、もう十年になる。
前世の俺は、平凡な会社員だった。
ある春の日、通勤途中に倒れ、そのまま人生は終わった。
そして目覚めたら、この世界の赤ん坊から開始だった。
それからすくすく成長し……。
せっかくの異世界だ。
剣とか魔法とか、派手な人生を期待した。
だが現実は少し違った。
魔力は平均以下。
剣術も並。
成績も中の下。
結局、前世と同じく“目立たない人生”を歩んできた。
「卒業生代表、リオン・アルテイル」
呼ばれて、はっとする。
俺が代表?
そんなはずはない。
周囲もざわついていた。
だが壇上の校長は、穏やかにうなずいた。
「前へ」
戸惑いながら歩き出す。
壇上に立つと、講堂の全員の視線が集まった。
校長が静かに言う。
「リオン・アルテイル。君には特別功労賞を授与する」
ますます意味がわからない。
「……えっと、何かの間違いでは」
すると校長は、くすりと笑った。
「君は覚えていないだろうが」
そう言って、一枚の記録書を掲げた。
「入学して三日目。暴走した古代召喚陣を止めたのは君だ」
ざわめきが広がる。
そんな事件、学院の伝説だ。
失敗すれば都市ごと消えると言われていた。
「でも俺、そんな……」
記憶がない。
校長はうなずいた。
「君はただ、間違えて踏んだ」
講堂が静まり返る。
「魔法陣の“最後の一点”を」
沈黙のあと、誰かが吹き出した。
校長は続けた。
「英雄は、いつも英雄らしい顔で現れるわけではない」
賞状を差し出す。
「君はたまたま世界を救った」
俺は受け取りながら苦笑した。
前世でも今世でも、自分というヤツは特別な人間じゃないと思っていた。
でもどうやら――
世界は時々、特別じゃない人間に、こっそり栄誉を与えるらしい。
講堂の拍手の中、ふと思う。
もし前世の俺が見たら、きっと驚くだろう。
だって俺は今日、人生で初めて、最高の価値を示したのだから。
そして今度こそ胸を張って、俺はこの世界を生き抜く――
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界のんびり放浪記
立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。
冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。
よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。
小説家になろうにも投稿しています。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。
だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。凛人はその命令を、拒否する。
彼は、大地の女神により創造された星骸と呼ばれる伝説の六英雄の一人を従者とし、世界を知るため、そして残りの星骸を探すため旅に出る。
しかし一つ選択を誤れば世界が滅びる危うい存在……
女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。
これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。