→💡誰かに話したくなる面白い雑学

ノアキ光

文字の大きさ
308 / 311
話のタネになる雑学

インターネットカフェが消えゆく(減っていく)納得の理由

しおりを挟む


 ネットカフェが消えていく──意外な理由と変わる時代の居場所

かつて深夜の都会で、光る看板とともに人々の“避難所”であり“遊び場”でもあったネットカフェ。パソコン、漫画、ドリンクバー、シャワー、そして個室。仕事帰りの仮眠や、終電を逃した人の一夜の宿として親しまれてきたその空間が、近年、静かに姿を消しつつある。

日本複合カフェ協会によると、2019年に約960店舗あった加盟店は、わずか5年で747店舗へと減少。全体としてはピーク時の4分の1規模にまで縮小したとする見方もある。コロ ナ禍の打撃だけでなく、社会の変化そのものが“ネカフェ離れ”を進めているのだ。

最大の理由は、スマートフォンの普及である。
かつてネットカフェは「外でネットを使う場所」だった。だが、今やスマホひとつで動画も漫画もゲームも完結する。ネットを使うために“場所を借りる”という発想自体が、若い世代にはピンと来ない。漫画も電子書籍の定額サービスが主流になり、店に足を運ぶ動機が薄れてしまった。

さらに、テレワークやリモート授業の定着も追い打ちをかけた。外でネットを使う理由が減り、逆に「家にいる方が落ち着く」という感覚が社会全体に広がった。かつて一時的な避難場所だったネットカフェが、むしろ“不要な外出先”になってしまったのである。

しかし、衰退の理由はそれだけではない。
多くの店舗は賃貸物件に入っており、更新時の家賃上昇や設備老朽化が大きな負担となっている。コロ ナ期の利用激減で資金繰りが悪化した中小店は、契約更新を断念するケースも多い。また、「ネットカフェ難民」「深夜滞在」などの社会イメージがネガティブに受け取られるようになったことも、利用者の心理に影を落としている。

一方で、大手チェーンは高品質なブースや清潔なシャワー、テレワーク対応席などを備え、“泊まれるワークスペース”へと進化を試みている。しかし、その設備投資を行えない中小店は競争から脱落する。こうして“二極化”が進み、街角から個性ある小規模ネカフェが消えていく。

さらに意外な要因もある。
高齢化が進み、若者中心だった利用層が縮小。防災・安全面の規制強化や、光熱費・清掃費の高騰も、運営を圧迫している。加えて、コワーキングスペースやホテルの長時間滞在プランといった“代替施設”が急増し、ネットカフェの独自性が薄まっているのだ。

今後、6G通信やクラウドゲーミングが一般化すれば、「高性能PCを外で借りる価値」も消えるかもしれない。つまり、ネットカフェは“技術の進化”によって自らの存在理由を失いつつあるのだ。

かつてネットカフェは、都市の孤独を包み込む柔らかなシェルターだった。だが、社会が個人化し、自宅が小さなメディア基地となった今、人は“どこでもネットに繋がれる”代わりに、“どこにも居場所がない”時代に向かっている。

ネットカフェの消滅は、単なる業界の衰退ではない。
それは、私たちが「現実の居場所」をどう求めるかという問いを、静かに突きつけているのかもしれない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...