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話のタネになる雑学
インターネットカフェが消えゆく(減っていく)納得の理由
しおりを挟むネットカフェが消えていく──意外な理由と変わる時代の居場所
かつて深夜の都会で、光る看板とともに人々の“避難所”であり“遊び場”でもあったネットカフェ。パソコン、漫画、ドリンクバー、シャワー、そして個室。仕事帰りの仮眠や、終電を逃した人の一夜の宿として親しまれてきたその空間が、近年、静かに姿を消しつつある。
日本複合カフェ協会によると、2019年に約960店舗あった加盟店は、わずか5年で747店舗へと減少。全体としてはピーク時の4分の1規模にまで縮小したとする見方もある。コロ ナ禍の打撃だけでなく、社会の変化そのものが“ネカフェ離れ”を進めているのだ。
最大の理由は、スマートフォンの普及である。
かつてネットカフェは「外でネットを使う場所」だった。だが、今やスマホひとつで動画も漫画もゲームも完結する。ネットを使うために“場所を借りる”という発想自体が、若い世代にはピンと来ない。漫画も電子書籍の定額サービスが主流になり、店に足を運ぶ動機が薄れてしまった。
さらに、テレワークやリモート授業の定着も追い打ちをかけた。外でネットを使う理由が減り、逆に「家にいる方が落ち着く」という感覚が社会全体に広がった。かつて一時的な避難場所だったネットカフェが、むしろ“不要な外出先”になってしまったのである。
しかし、衰退の理由はそれだけではない。
多くの店舗は賃貸物件に入っており、更新時の家賃上昇や設備老朽化が大きな負担となっている。コロ ナ期の利用激減で資金繰りが悪化した中小店は、契約更新を断念するケースも多い。また、「ネットカフェ難民」「深夜滞在」などの社会イメージがネガティブに受け取られるようになったことも、利用者の心理に影を落としている。
一方で、大手チェーンは高品質なブースや清潔なシャワー、テレワーク対応席などを備え、“泊まれるワークスペース”へと進化を試みている。しかし、その設備投資を行えない中小店は競争から脱落する。こうして“二極化”が進み、街角から個性ある小規模ネカフェが消えていく。
さらに意外な要因もある。
高齢化が進み、若者中心だった利用層が縮小。防災・安全面の規制強化や、光熱費・清掃費の高騰も、運営を圧迫している。加えて、コワーキングスペースやホテルの長時間滞在プランといった“代替施設”が急増し、ネットカフェの独自性が薄まっているのだ。
今後、6G通信やクラウドゲーミングが一般化すれば、「高性能PCを外で借りる価値」も消えるかもしれない。つまり、ネットカフェは“技術の進化”によって自らの存在理由を失いつつあるのだ。
かつてネットカフェは、都市の孤独を包み込む柔らかなシェルターだった。だが、社会が個人化し、自宅が小さなメディア基地となった今、人は“どこでもネットに繋がれる”代わりに、“どこにも居場所がない”時代に向かっている。
ネットカフェの消滅は、単なる業界の衰退ではない。
それは、私たちが「現実の居場所」をどう求めるかという問いを、静かに突きつけているのかもしれない。
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