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ノアキ光

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話のタネになる雑学

水中を進む光の速度が低下する理由

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 1. 光の基本的な性質と真空中の速度

光は、電磁波の一種であり、私たちが見ることができる光や、赤外線、紫外線など幅広い波長を持っています。
特に重要なのは、真空中では光が常に一定の速度、約30万キロメートル毎秒(秒速約299,792km)で進むという事実です。これは、アルベルト・アインシュタインの相対性理論の基礎にある原理で、「光速度不変の原理」と呼ばれ、どの観測者から見ても同じ速度で測定されるとされています。

 2. 物質中での光の速度低下

しかし、光が真空ではなく物質中、たとえば水やガラスの中を進むとき、光の進む速さは真空中よりも遅くなります。これは、物質が持つ特定の物理的性質―主に誘電率と透磁率によって決まります。  
誘電率は、物質が電場にどのように反応するかを示す性質であり、光が持つ電場成分が物質中の電荷(主に電子)に影響を与えます。  
透磁率は、磁場に対する物質の反応の度合いを示します。

真空中ではこれらは一定ですが、物質中では分子の存在により値が変わり、結果として光の伝播速度が下がります。簡単に言えば、物質中では光が進むたびにその場にある微小な粒子とのやり取りが発生し、その都度少しずつ遅れが生じるのです。

 3. 光と物質中の分子との相互作用

光が水などの透明な物質を通過する際、次のようなプロセスが進行します

分極現象
  光の電場成分は、水分子の電子を一時的に揺らし、分極を引き起こします。分極とは、分子内で正負の電荷が一時的に分離する現象です。
分極した分子は新たな電場を生み出し、元の光の波と干渉します。この干渉の結果、光の波が一時的に停止または減速する効果が生じ、実際の伝播が遅くなるのです。

エネルギーの吸収と再放出
  光子(光の粒子)自体が、水中の分子にエネルギーを一時的に渡し、分子がそのエネルギーを元の光として再び放出する過程が起こります。この過程は非常に短い時間の中で何度も繰り返されるため、光が実際に「進む」過程が段階的に遅延する結果、全体として見かけの速度が低下します。

これらの現象は、実は「光そのものの速さが変わる」のではなく、物質内部での相互作用によって光のエネルギーの伝達プロセスに遅れが生じるため、結果的に「見かけ上」の伝播速度が低下することを示しています。

 4. 屈折と分散という現象での理解

物質中で光の速さが変わると、光の進む方向にも変化が生じます。  
屈折現象
  空気と水、またはガラスなど異なる物質間で光が進むとき、各物質での光の速度が違うため、光は進む方向を変えます。たとえば、水の中に入ったストローが「曲がって」見えるのは、光が空気から水に入る際に速度が変わるため、光の進む方向が変わり、目に届く位置が実際のストローの位置と異なって映るからです。

分散現象
  さらに、光は波長によって少しずつ速さが異なる場合があり、この現象を「分散」といいます。
虹ができる理由も、太陽光が空気と水滴の間で屈折する際、各波長ごとに異なる角度で屈折することにあります。短い波長(青や紫)は、長い波長(赤)のときよりも屈折する角度が大きくなるため、太陽光が分かれて虹のような色の帯になって現れるのです。

 5. 日常の例と実際の観察

この現象は、私たちの身近なところで確認することができます。たとえば、プールや水槽の中では、光が水の分子との相互作用で変化するため、背景がぼやけたり、遠くにあるものが歪んで見えることがあります。
また、海中における光の減衰(暗くなる現象)は、光と水分子の相互作用の結果であり、深い海では太陽光がほとんど届かないのも、同様の理由に起因しています。

光通信の技術においても、この原理は非常に重要です。光ファイバーでは、光がガラスやプラスチックのような物質を伝わる際に、速度が低下することや屈折の効果を考慮して設計されます。このため、通信の速度や品質の向上のために、どのような素材が最適かが研究されています。


 6. まとめと理解のポイント

ここまでの説明を簡単にまとめると、次のポイントに集約されます

真空中の一定速度
光は真空中では常に一定速度で進むが、これは相対性理論の基本的な原理の一つです。  
物質中での相互作用
水などの物質中では、光が内部の分子と干渉やエネルギーの吸収・再放出を繰り返すため、見かけ上の速度が低下する。  
屈折と分散
物質ごとに光の進む速度が異なるため、光は屈折し、その結果日常生活で観察される現象(ストローが曲がって見える、虹ができるなど)につながる。  

このように、光が水中で遅く見える理由は、単に光の「速さ」が変わっているわけではなく、物質との相互作用が原因であり、そのプロセスが段階的な遅れを生むためです。
物理現象としてのこの仕組みは、私たちが身近に感じる現象や、最新の技術にも深く関係しており、光の基本的な性質と物質の持つ特性が相まって起こる現象といえます。


以上の説明により、光が水中で進む際に速度が低下する理由が、基本的な電磁波の性質と物質中での分子とのやり取りによるものだということが理解しやすくなるかと思います。
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