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知られざるインターネットの歴史を一気にご紹介！

 インターネット初期（1990年代前半～中盤）

技術的進化
 インターネット初期には主に大学や研究機関を結ぶ学術ネットワークが形成されており、日本では1984年頃に東京大学などの大学間通信から始まりました。この時期、一般家庭での接続手段は電話回線を使ったダイヤルアップが主流で、その速度は初期には300bps程度と非常に低速でした。通信には主に商用のPC通信サービスが用いられ、音声通話との同時利用もできませんでした。1991年にはCERNで世界初のWebページが公開されましたが、当時のブラウザはテキスト中心で画像はほとんど表示できない簡素なものでした。このように初期インターネットでは、通信回線やPCの処理性能も限られ、技術面ではまだ大規模な変革期に入ったばかりでした。

社会的影響
 1990年代前半はインターネットの利用者も非常に限られており、社会的にはまだまだ新しい技術でした。メディアやビジネスの面ではインターネット関連の動きはほとんど目立たず、ニュースや広告は従来のテレビ・新聞が主流でした。教育面でも大学などで情報共有に利用され始めた段階で、小中学校や企業での本格導入は後の時期になります。一般ユーザーの認知度は低く、まだ「情報とコンピューター」の必修化など学校教育での情報化もこれからで、個人が日常的にネットを使う社会には至っていませんでした。

利用者層と利用目的
 この時期のインターネット利用者は研究者や技術者など限られた層にとどまり、主な目的は電子メールでの学術情報共有や大学間の資料交換などでした。企業や一般家庭でのオンライン活動は未整備で、商用プロバイダもまだ少数でした。利用者はリアルタイムのコミュニケーション（IRCや初期のチャットツール）よりもメールやフォーラムを使った非同期型の情報交換が中心で、娯楽目的の利用はほとんどありませんでした。

セキュリティ・プライバシー意識
 90年代前半のインターネットでは、セキュリティやプライバシーへの意識は極めて低いものでした。一般ユーザー向けのウイルス対策ソフトは未普及で、情報漏えいやハッキングのリスクについてもあまり認識されていませんでした。この頃はネット犯罪が社会問題化しておらず、個人情報保護やネット詐欺に対する法整備も未整備の状態でした。

 パソコンによるインターネット普及期（1990年代後半～2000年代初頭）

技術的進化
 1990年代後半になるとパソコンの性能向上・低価格化とともにブロードバンド回線が普及し、インターネット接続環境が飛躍的に改善されました。1996年以降、日本国内でADSLサービスの実証や商用展開が進み、既存の電話回線で1Mbps前後の高速通信が可能になりました。これにより常時接続が現実となり、大容量データや動画の送受信が容易になりました。同時期にはWindows 95/98やInternet Explorerの普及で家庭用PCが標準的にネット対応し、ユーザーの多くが簡単に接続できるようになりました。加えて、日本語対応の検索エンジン（Yahoo! JAPAN 1996年開始）やGoogle日本語版の登場でウェブ情報の探索性が向上し、Web 2.0を象徴するブログやWiki、SNSの基盤も整いつつありました。

社会的影響
 この時期、インターネットはビジネスや社会生活へ本格的に浸透し始めました。総務省の調査では1996～2000年に普及率が3.3％から37.1％に急増し、企業でもWebサイト開設やECサイト運営が盛んになりました。メディア業界ではニュースサイトや動画配信の先駆けが現れ、テレビや新聞とインターネットの融合が始まります。教育分野では学校へのネット回線導入が強化され、授業や研究にネットを活用する動きが出てきました。利用者層は学生や若年層から社会人、高齢者まで広がり、目的も情報検索やメールだけでなく、チャットやオンラインゲーム、ショッピングなど多様化しました。まさにパソコンとインターネットの関係が飛躍的に深まり、インターネットは私たちの生活基盤に近いインフラとなっていった時期です。

利用者層と利用目的
 2000年頃の日本では、20～30代を中心にパソコンを所有する世帯が急増しました。これに伴いSNS（2ちゃんねる、mixiなど）やブログが流行し、ユーザー同士のコミュニティ型サービスが広がりました。インターネットは単なる情報収集ツールから、コミュニケーションやエンタメの場へと役割を拡大し、学業・仕事のほかネットショッピングやネットバンクなど実生活での利用も一般化しました。結果として、職場や家庭での情報共有、デジタル化された学習コンテンツ閲覧など、利用シーンが多岐にわたるようになりました。

セキュリティ・プライバシー意識
 利用者が増えるに従い、ウイルスやワームによる被害も相次ぎました（例：2000年の「I LOVE YOU」ワームなど）。これを受けて企業や政府ではセキュリティ対策が重視され始め、ウイルス対策ソフトやファイアウォールが普及しました。また2003年には日本で個人情報保護法が施行され、個人データの扱いに法的基盤が設けられました。これにより利用者や企業のプライバシー保護意識が高まり、ショッピングサイトやSNSでもSSL暗号化やパスワード管理などの対策が広く導入されるようになっていきました。

 スマートフォン普及期（2010年代以降）

技術的進化
2010年代以降、スマートフォンの登場とモバイル回線の高速化により、インターネット環境はさらに変革しました。2007年にiPhone、2008年にAndroid端末が登場し、指先操作とアプリ中心のユーザー体験がスマホ時代を切り開きました。3GやLTE、さらには5Gの普及によって、どこでも高速通信が可能となり、モバイルインターネットの利用が当たり前になりました。クラウドサービスや動画・音楽ストリーミングなどもこの時期に急速に普及し、スマホ一台で動画視聴・SNS・オンライン決済・IoT機器操作など多様な機能を使いこなす社会が到来しました。

社会的影響
 スマホ時代のネット社会では、インターネットが生活のあらゆる場面に浸透しました。SNS（Facebook、Twitter、LINEなど）や動画共有（YouTube）へのアクセスは「いつでもどこでも」可能となり、コミュニケーションや情報共有の形態が大きく変わりました。企業はモバイル対応のウェブサイトやアプリを整備し、オンライン広告もスマホ向けに最適化されました。交通・飲食など日常生活のサービスもスマホアプリ経由で利用できるようになり、キャッシュレス決済やデジタルチケットなど利便性の高いサービスが急増しています。教育や医療、行政サービスもデジタル化が進み、遠隔学習やオンライン診療、マイナンバーカードによる行政手続きなど、社会インフラとしての役割が拡大しました。

利用者層と利用目的
 日本ではスマートフォンが急速に普及し、2010年時点で所有率わずか4％だったスマホは2015年には50％、2019年には80％、2021年には90％を超え、2024年には97％に達しました。特に若年層ではスマホ利用が当たり前となり、高齢者層でもスマホ所持率が90％を超えています。この結果、ネット利用は従来のパソコン中心からスマホ中心へと移行し、SNSや動画配信、地図・ナビ、健康管理アプリなど、モバイルならではのサービス利用が急増しました。家庭や通勤・通学の隙間時間にもネット接続できるため、インターネットの利用時間や回数が飛躍的に増加し、SNSでの情報発信やオンライン学習、リモートワークも広く定着しました。

セキュリティ・プライバシー意識
 スマホ時代のネット社会ではセキュリティとプライバシーがさらに重要視されるようになりました。スマホでは位置情報や写真など個人情報を大量に扱うため、紛失や不正アクセスの対策（画面ロック、端末暗号化、アプリ権限設定など）が普及しました。SNSやクラウドサービスでの情報漏洩、フィッシング詐欺、ネットいじめなど新たなリスクも顕在化し、二段階認証やセキュアパスワードの利用が一般化しました。また、個人データの取り扱いに対する国際規制（EUのGDPRなど）や日本版の個人情報保護法改正により、企業の情報管理体制が厳格化され、利用者のプライバシー意識も高まっています。これら一連の変化により、スマホ時代ではインターネットの利便性向上と引き換えに、セキュリティ対策やプライバシー保護が不可欠な要素となっています。