sleep in game [another story]

ツバサ

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一章〜ゲーマーと王女の育成RPG〜

序節〜夢と現実の境界線〜その1

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よし…相手がジャンプした…ここで仕掛ける!
Bコマンドからの上Aコンボでフィニッシュだ!
相手のHPがみるみる減っていき、遂に底を尽きる。画面には自分の勝利を示す文字が、中央にどデカく出ていた。

「…っぅ…シャァああ!!!!!」
思わず我を忘れて叫び声を上げる。
「よっしゃぁ…これでいける!勝つる!
よし、この調子で次も…」
その瞬間、背中に鈍い痛みを感じる。驚いて振り返ると、姉が怒りを微塵も隠さない表情で右脚を少し上げていた。
…このやろう、僕の背中を蹴ったな?
「うるせーぞ宇宙!今何時だと思ってんだ!」
いや、あんただって充分うるさいだろうが。
しかも何時って…まだそんなに遅くは…
「…あっ」


時計を見ると…
しっかりと『1時半』を指していた。


「えっと…あそうか、今は昼か」
「何馬鹿な事言ってんだ!ゲームのやり過ぎで頭狂ったか!?」
「いや冗談に決まってるやろ…
後玲香姉、そっちもうるさい」
「アタシは良いんだよ、アタシは」
何だその謎理論…

「それに宇宙、お前明日…ってか今日だけど、確かゲームの大会が有るんだろ?何だっけ…ソシャゲeスポーツ?
それの為にもちゃんと寝とけ。本番で自分の実力を発揮出来ないのはイヤだろ?」
「だからその為にこうして練習を…」
「それで睡眠時間削るのはただの馬鹿だろ」
ぐぬぅ、正論言いやがって…いつもはただの不良でチンピラな癖に!
それに玲香姉だって起きてる…って反論した所でもまたさっきみたいに謎理論出されるだけか…
しょうがない、本当はもうちょっと練習したかったんだけどな…

「んじゃ、おやすみ」
「…ああ」
姉が別れを告げ、自分の部屋に戻っていった。


僕は文月(ふみつき) 宇宙(そら)。今までの話の通りゲーマー。自分ではそれなりに上手い方だと自負している。
ゲームは物心ついた時からずっとやっており、将来はeスポーツ選手を目指している。明日の大会はその第一歩だ。
姉は文月 玲香(れいか)。僕は幼い頃から玲香姉(れいかねえ)と読んでいる。さっきは何か良いお姉ちゃん的雰囲気を出していたが、実際は気性が荒くて喧嘩っ早い不良だ。…まあ、2人暮らしになってかた少し丸くなったとは思う。
僕と玲香は2人だけで暮らしている。両親は共働きで、両方とも単身赴任している。最初はどちらかの場所で僕と玲香が一緒に暮らすという事になっていた。しかし、そろそろ自分たちだけでの暮らしに慣れておいた方が将来役立つだろうという事で、生活に困らない程度の仕送りと月一で両親と会う時以外、僕と玲香の2人だけで暮らす事になったのだった。


さて、そんなゲームでの説明文みたいな人物紹介は置いといて、そろそろ寝ないと…
「…って、宿題まだやってなかったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ヤバいやばいヤバイどうしよう!?!?
このままじゃまた玲香姉に馬鹿だアホだと罵られた挙句1週間の家事を全部押し付けられる…
「んじゃまあ、やるしかない訳で…」

問題集のページを開く。…ナンダコレ?
『2xy+3y』って…もう[2回xとyを同時押し、その後yを3回押す特殊コマンド]にしか見えない。うん。
ゲーマー脳と、遅れてやって来た睡魔の所為で碌に考えられない。もうダメだ。寝よう。

誘われるようにベッドにダイブ。ボフッという音と共に優しく僕を受け止めてくれる。
枕元には両親から2人暮らしのお祝いの一環として貰ったブレスレットが有る。どうやら安眠効果が有るらしい。…でも効果のほどはよう分からん。
まあいいや。もう眠気も限界。
電気付けたままだけど、ま、いっか。おやすみ~


「…アイツ、また宿題忘れてたな。しかも電気付けっぱだし。電気代かさむからやめろっての」
パチッという音が鳴り、宇宙の部屋の電気が消えた。





しばらくして、時計は3時過ぎを指している。
突然、宇宙の部屋に有るブレスレットが眩い光を放つ。しかしそれも一瞬の事。

光が収まると…

そこに宇宙の姿は無かった。
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