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魔女を嬲った男
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「青伯爵、これはいったいなんの騒ぎですか!」
院のなかから現れたのは、この間赴任してきたばかりの神父、ジュダであった。
黒髪、短髪で、目の色は思慮深さを思わせる紫。神の寵愛を一心に受けたのだろうと察して目を伏せるほどの美丈夫だ。
すらりとした長身を覆うように、真っ黒の修道服を着こんでおり、そこには一切の隙がない。
人を寄せ付けない美貌のように、性格も極めて気難しく人嫌いな節さえある。
彼がやってきて、弾けんばかりに盛り上がっていた見習い達が一気に静まりかえった。
「ロズウェル様!? あなた、どうして賢人会のお一人を鞭で叩いていらっしゃるのですか?!」
「ああ、俺に嫌な思いをさせたものだからね。仕置きだよ、仕置き」
「機嫌を損ねたからといって鞭で叩けるお人では……! ああ、ロズウェル様、大丈夫でございますか?」
老僧――ロズウェルを助け出しながら、ジュダはきっとジルを睨みつけた。
感情のない人形のような顔に赤みが差し、生気が宿っている。
ドロシーはジュダのそんな人間らしい姿を初めて見た。
「おや、竜の一族たる俺に、そのような不遜な物言い。流石は聖堂教会の神父だけはある」
「青伯爵……! 貴方がいかに高貴な身分で、聖なる竜の血をひく方だとしても、これは王家に弓引く行為。決して看過できぬ事態です」
「聖下に使えるべき神の僕が、王家の威信を振りかざすとはおかしなこと。それとも、神父とは王家の僕であったのかな?」
「馬鹿なことを! 私の信仰は疑いようもないもの。たが、貴方はこの国の政を決める賢人会のお一人を打擲している。ならば、王国に住むものとして、王の名を出し諫めることが悪いとおっしゃるのか」
壮絶な舌戦に、ドロシーは震え上がった。
孤児が投げつける汚い言葉ではない。知性に裏打ちされた鋭さが、声の中に潜んでいる。
「だが、悪辣非道な老害は一度、仕置きを受けるのが好ましいのではないかな。ロズウェル卿、貴方はどのようにお考えかな?」
ジュダの腕の中でぜいぜいと息を吐いていたロズウェルは、ジルに見つめられると惚けたような瞳で泣き出した。
「も、もうじわげございまぜっ……お許しくだざいぃぃぃい!」
「ほら、ロズウェル卿もこう言って悔いていらっしゃるようだ。自分が行った不遜に恥じて、自分が持つ全財産を、多くの人々へ施しを与えるために寄付して下さるそうだよ」
「は、はいぃぃい。青伯爵のおっしゃるとおりにいたしますっ!」
完全に言わせていると思ったのはドロシーだなけではないようで、ジュダは眉を吊り上げた。
「寄付とは恐怖心によって行うものではありません! 青伯爵、善意の心ではない行いは、禍根を生み、性根を歪ませるものです」
「頭でっかちだなあ、君は。金に色はつかないだろう。どんな悪党が垂れ流した金だとて、金は金だ」
「貴方は俗物ゆえ分からぬだけです。救いの手を差し出すのは清らかな手でなければならないもの」
ロズウェルはジュダの意見に同調するように震える唇をぱくぱくと動かした。
「おや、ロズウェル卿は一度吐いた唾を飲み込まれるおつもりかな。そうだとしたら情けない。ねえ、そう、思うだろう?」
「ええ、ええ、情のうございますわ!」
「賢人会のお一人が、まさか金の亡者だなんて! 幻滅もいいところです」
「やはり俗物なのね。恵まれない子供達が可哀想……」
ジルの言葉を受けて、令嬢達が我先にと声を荒らげる。ロズウェルは震え上がり、助けてくれぇと掠れた声で訴えた。
「では、仕方がない。ロズウェル卿が、幼い魔女を嬲り殺しにしたことでも賢人会に訴えに行くか」
「なっ!」
ジュダが白眼をむいて驚いた。
魔女というのは、聖女が倒したとされる魔王の配下達ことだ。魔女や魔法使いは魔王の復活を望み、日々暗躍している。
彼女達は災厄を撒くことを好み、人間が慌てふためく姿を見ることを愉悦としている。
聖堂教会は聖騎士団を有し、その悪徳の使者達に対抗していた。
とはいえ、ドロシーが住むこの西の町は王都から遠く、騎士団は地元の自警団が小遣い稼ぎのために兼任している程度で、本物の騎士様というのは見たことがない。
そんなものだから、本物の魔女に実際、会ったこともない。
だからだろうか、魔女という言葉が出てきても、どこか童話のような、ふにゃふにゃとした実態のないものに思えてならない。
誰しもその存在に怯えている。
ドロシーもその一人だった。孤児院にいる子供、誰もが怯える存在だ。魔法を使って人を惑わせる。悪徳に溺れさせ、廃人にしてしまう。亡霊のように、背筋を凍らせる存在。
「彼の信頼は地に堕ち、議会に提案した教会に対する優遇措置も紙屑のように捨てられるだろうけれど、構わないよね?」
「本当のことなのですか、ロズウェル卿。あらゆる強欲の中でも最も罪深い! 魔女と関わりを持つなどと、涜神ではありませんか!」
「儂は、儂はあ……っ! あやつらを罰していただけだあ!」
「罰するために交わるのとは奇異なこと。魔女の肌はどのような味がしたのですか?」
苛めるような甘い声を出して、ジルがロズウェルに問いかける。
「交わるだって……?」
ドロシーは首を傾げた。何のことだろう。言葉の意味がわからなかった。
「ロズウェル卿! 本当なのか、貴方は魔女と荒淫に耽っていたのか!? 貴方のような、高貴なる方が、魔女に屈したのか!」
今にも掴みかかりそうなジェダに怯えたように頭を腕で隠して蹲ってしまう。
ジェダは苛立ちをぶつけるようにジルににじり寄った。
「どういうことか、説明いただきたい!」
「俺が知っているのはロズウェル卿が魔女を捕まえ、嬲りものにしたあと殺したということだけだ」
ドロシーは魔女も魔法使いも見たことがない。恐ろしい存在だと教え込まれているので、会いたいとも思わない。
けれど、魔女も魔法使いも人の姿をしているという。
人の姿をしているものを殺せるのか。ドロシーは恐怖で顔が引きつった。
この町で殺人が起こらないわけではない。
けれど、起こってもすぐに犯人は見つかる。ほとんどが自首してくる。罪の重さに耐えきれずに。高貴な人間には罪悪感すらわかないのか。虫を潰すように、人の姿をしたものを殺めるのか。
「ドロシー、そう怯えないで。魔女という言葉が怖いのか? 大丈夫、俺が守ってあげる。それに、その子は悪い魔女ではなかったんだよ。人に紛れて、平穏を日々過ごしていた」
「え……?」
「好戦的ではない魔女もいるものなんだよ。悪徳を好まず、清貧を好み、平穏を愛するような、純朴なものもね。――けれど、そんな彼女をロズウェル卿は罠にはめて捕まえた。散々恥辱をあたえ、最後は豚の餌にしてしまったんだ」
「……ほ、本当に?」
「もちろん。俺は君に嘘なんかつかないよ。真実だけを口にする。ロズウェル卿はこんな老いた体だというのに、底無しの女好きでね。もはや何かの病気ではないかと疑うぐらいだよ。魔女の肌も味わってみたいと考えてもおかしくはないだろう。――なあ、お綺麗な聖職者。そんな男を庇うのかな」
ジュダはきっと目を吊り上げて、口を大きく開けた。
「魔女と姦淫をしたというのならば、大罪だ。貴方を異端審問にかける必要がある。賢人会のお一人。高貴なる身が操られでもしていたらこの国はどうなってしまうのか!」
「……はあ、やれやれ。論点が少しずれているとは思うが。それにしても異端審問、か」
ドロシーには何のことだがさっぱりだ。異端審問。何だか嫌な響きの言葉だけど、聞いたことがない。
「いいことだ。かけてみるといい。この男の罪は、じわじわと責苦を与えるべきものだからね」
「だが、青公爵、貴方にも話を聞かなくてはならない。ロズウェル卿とともに一度院の中で話をしたい」
「そうか。まあ、仕方のないことだね。……ドロシー」
「は、はい!」
名前を呼ばれてぴんと背筋を伸ばすと、驚いたようにジルは硬直した。
「威圧的だった? 君を脅しつけたつもりはないんだよ。ただ、名前を呼んだだけ。ドロシーと」
「は、はあ……」
「話が終わったら顔を出すよ。それまでしばらく待っていてくれ」
顔を出す? 待っていてくれ?
不思議な言葉を投げかけられ、それがどういう意味かも聞けないまま、ジルはジュダに案内されて院へと入っていった。
ドロシーはやけに刺々しい視線を向ける見習い達から逃げるように、畑へと走った。
院のなかから現れたのは、この間赴任してきたばかりの神父、ジュダであった。
黒髪、短髪で、目の色は思慮深さを思わせる紫。神の寵愛を一心に受けたのだろうと察して目を伏せるほどの美丈夫だ。
すらりとした長身を覆うように、真っ黒の修道服を着こんでおり、そこには一切の隙がない。
人を寄せ付けない美貌のように、性格も極めて気難しく人嫌いな節さえある。
彼がやってきて、弾けんばかりに盛り上がっていた見習い達が一気に静まりかえった。
「ロズウェル様!? あなた、どうして賢人会のお一人を鞭で叩いていらっしゃるのですか?!」
「ああ、俺に嫌な思いをさせたものだからね。仕置きだよ、仕置き」
「機嫌を損ねたからといって鞭で叩けるお人では……! ああ、ロズウェル様、大丈夫でございますか?」
老僧――ロズウェルを助け出しながら、ジュダはきっとジルを睨みつけた。
感情のない人形のような顔に赤みが差し、生気が宿っている。
ドロシーはジュダのそんな人間らしい姿を初めて見た。
「おや、竜の一族たる俺に、そのような不遜な物言い。流石は聖堂教会の神父だけはある」
「青伯爵……! 貴方がいかに高貴な身分で、聖なる竜の血をひく方だとしても、これは王家に弓引く行為。決して看過できぬ事態です」
「聖下に使えるべき神の僕が、王家の威信を振りかざすとはおかしなこと。それとも、神父とは王家の僕であったのかな?」
「馬鹿なことを! 私の信仰は疑いようもないもの。たが、貴方はこの国の政を決める賢人会のお一人を打擲している。ならば、王国に住むものとして、王の名を出し諫めることが悪いとおっしゃるのか」
壮絶な舌戦に、ドロシーは震え上がった。
孤児が投げつける汚い言葉ではない。知性に裏打ちされた鋭さが、声の中に潜んでいる。
「だが、悪辣非道な老害は一度、仕置きを受けるのが好ましいのではないかな。ロズウェル卿、貴方はどのようにお考えかな?」
ジュダの腕の中でぜいぜいと息を吐いていたロズウェルは、ジルに見つめられると惚けたような瞳で泣き出した。
「も、もうじわげございまぜっ……お許しくだざいぃぃぃい!」
「ほら、ロズウェル卿もこう言って悔いていらっしゃるようだ。自分が行った不遜に恥じて、自分が持つ全財産を、多くの人々へ施しを与えるために寄付して下さるそうだよ」
「は、はいぃぃい。青伯爵のおっしゃるとおりにいたしますっ!」
完全に言わせていると思ったのはドロシーだなけではないようで、ジュダは眉を吊り上げた。
「寄付とは恐怖心によって行うものではありません! 青伯爵、善意の心ではない行いは、禍根を生み、性根を歪ませるものです」
「頭でっかちだなあ、君は。金に色はつかないだろう。どんな悪党が垂れ流した金だとて、金は金だ」
「貴方は俗物ゆえ分からぬだけです。救いの手を差し出すのは清らかな手でなければならないもの」
ロズウェルはジュダの意見に同調するように震える唇をぱくぱくと動かした。
「おや、ロズウェル卿は一度吐いた唾を飲み込まれるおつもりかな。そうだとしたら情けない。ねえ、そう、思うだろう?」
「ええ、ええ、情のうございますわ!」
「賢人会のお一人が、まさか金の亡者だなんて! 幻滅もいいところです」
「やはり俗物なのね。恵まれない子供達が可哀想……」
ジルの言葉を受けて、令嬢達が我先にと声を荒らげる。ロズウェルは震え上がり、助けてくれぇと掠れた声で訴えた。
「では、仕方がない。ロズウェル卿が、幼い魔女を嬲り殺しにしたことでも賢人会に訴えに行くか」
「なっ!」
ジュダが白眼をむいて驚いた。
魔女というのは、聖女が倒したとされる魔王の配下達ことだ。魔女や魔法使いは魔王の復活を望み、日々暗躍している。
彼女達は災厄を撒くことを好み、人間が慌てふためく姿を見ることを愉悦としている。
聖堂教会は聖騎士団を有し、その悪徳の使者達に対抗していた。
とはいえ、ドロシーが住むこの西の町は王都から遠く、騎士団は地元の自警団が小遣い稼ぎのために兼任している程度で、本物の騎士様というのは見たことがない。
そんなものだから、本物の魔女に実際、会ったこともない。
だからだろうか、魔女という言葉が出てきても、どこか童話のような、ふにゃふにゃとした実態のないものに思えてならない。
誰しもその存在に怯えている。
ドロシーもその一人だった。孤児院にいる子供、誰もが怯える存在だ。魔法を使って人を惑わせる。悪徳に溺れさせ、廃人にしてしまう。亡霊のように、背筋を凍らせる存在。
「彼の信頼は地に堕ち、議会に提案した教会に対する優遇措置も紙屑のように捨てられるだろうけれど、構わないよね?」
「本当のことなのですか、ロズウェル卿。あらゆる強欲の中でも最も罪深い! 魔女と関わりを持つなどと、涜神ではありませんか!」
「儂は、儂はあ……っ! あやつらを罰していただけだあ!」
「罰するために交わるのとは奇異なこと。魔女の肌はどのような味がしたのですか?」
苛めるような甘い声を出して、ジルがロズウェルに問いかける。
「交わるだって……?」
ドロシーは首を傾げた。何のことだろう。言葉の意味がわからなかった。
「ロズウェル卿! 本当なのか、貴方は魔女と荒淫に耽っていたのか!? 貴方のような、高貴なる方が、魔女に屈したのか!」
今にも掴みかかりそうなジェダに怯えたように頭を腕で隠して蹲ってしまう。
ジェダは苛立ちをぶつけるようにジルににじり寄った。
「どういうことか、説明いただきたい!」
「俺が知っているのはロズウェル卿が魔女を捕まえ、嬲りものにしたあと殺したということだけだ」
ドロシーは魔女も魔法使いも見たことがない。恐ろしい存在だと教え込まれているので、会いたいとも思わない。
けれど、魔女も魔法使いも人の姿をしているという。
人の姿をしているものを殺せるのか。ドロシーは恐怖で顔が引きつった。
この町で殺人が起こらないわけではない。
けれど、起こってもすぐに犯人は見つかる。ほとんどが自首してくる。罪の重さに耐えきれずに。高貴な人間には罪悪感すらわかないのか。虫を潰すように、人の姿をしたものを殺めるのか。
「ドロシー、そう怯えないで。魔女という言葉が怖いのか? 大丈夫、俺が守ってあげる。それに、その子は悪い魔女ではなかったんだよ。人に紛れて、平穏を日々過ごしていた」
「え……?」
「好戦的ではない魔女もいるものなんだよ。悪徳を好まず、清貧を好み、平穏を愛するような、純朴なものもね。――けれど、そんな彼女をロズウェル卿は罠にはめて捕まえた。散々恥辱をあたえ、最後は豚の餌にしてしまったんだ」
「……ほ、本当に?」
「もちろん。俺は君に嘘なんかつかないよ。真実だけを口にする。ロズウェル卿はこんな老いた体だというのに、底無しの女好きでね。もはや何かの病気ではないかと疑うぐらいだよ。魔女の肌も味わってみたいと考えてもおかしくはないだろう。――なあ、お綺麗な聖職者。そんな男を庇うのかな」
ジュダはきっと目を吊り上げて、口を大きく開けた。
「魔女と姦淫をしたというのならば、大罪だ。貴方を異端審問にかける必要がある。賢人会のお一人。高貴なる身が操られでもしていたらこの国はどうなってしまうのか!」
「……はあ、やれやれ。論点が少しずれているとは思うが。それにしても異端審問、か」
ドロシーには何のことだがさっぱりだ。異端審問。何だか嫌な響きの言葉だけど、聞いたことがない。
「いいことだ。かけてみるといい。この男の罪は、じわじわと責苦を与えるべきものだからね」
「だが、青公爵、貴方にも話を聞かなくてはならない。ロズウェル卿とともに一度院の中で話をしたい」
「そうか。まあ、仕方のないことだね。……ドロシー」
「は、はい!」
名前を呼ばれてぴんと背筋を伸ばすと、驚いたようにジルは硬直した。
「威圧的だった? 君を脅しつけたつもりはないんだよ。ただ、名前を呼んだだけ。ドロシーと」
「は、はあ……」
「話が終わったら顔を出すよ。それまでしばらく待っていてくれ」
顔を出す? 待っていてくれ?
不思議な言葉を投げかけられ、それがどういう意味かも聞けないまま、ジルはジュダに案内されて院へと入っていった。
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