天つ乙女と毛獣

あわ☆さくら

文字の大きさ
1 / 37
SS No.1 すべてのはじまり

懐かしきメモリー

しおりを挟む
ちょうど、桜が満開となる季節。
 潮風香り、海向かいに横浜のランドマークタワーや海ほたるが見える木更津市の浜辺ぞい。
 二〇代くらいの女性が犬を連れて散歩していた。
 犬を連れていた女性の名前は、広瀬百合子。
 見た目はおとなしく、特筆すべき点としては、ゆるやかに肩の後ろへ伸びた色の濃い髪、二重のまぶたがくっきりとしているくらいである。
 体格は小柄で、胸の膨らみだけは普通の人よりも大きかった。
 「さくら、少し休もう。」
 百合子は、ニコニコとした表情で言葉を発した。
 犬も、彼女につかれたと顔に意思を示して百合子に近寄ってきた。
 百合子は近くにベンチを見つけて座り、犬の頭をやさしく撫でてあげた。
 そのとき、百合子の表情は、まるでやさしげに微笑む母親のようであった。
すると、母親に連れられた姫カットの黒髪、きらきらとした瞳の一二才くらいの少女がベンチのそばを通りかかり、犬の目前で足をとめた。
 「可愛いわんちゃんだわ。お姉ちゃん、名前を教えてくれる?」
 少女は、しばらく犬のことをあやしたあと、百合子に尋ねた。
 「この子は、さくらっていうの。桜の花が咲くころに生まれたのにちなんで付けたの。」
 百合子は、やさしそうな眼差しで少女を見つめて答えた。
 「お姉ちゃん、そうなの。」
 少女は、好奇心溢れた表情を見せ、百合子にいった。
 「ねぇ、おねえちゃん。この子と遊んでもいいかな?」
 少女は、目をきらきらと輝かせ、百合子に尋ね掛けた。
 「いいわ。心ゆくまであそんであげてね。」
 百合子は、少女に気さくな語り口で答えた。
 「ありがとう、お姉ちゃん。」
 少女は、百合子に喜びの気持ちを交え、言葉を返した。
 続けて、少女は体を屈伸させ、師弟関係があるかのように犬と仲良く遊びはじめた。
 「なんだか、この子のことを見ていると、中学生のころのことを思い出す。あのころは楽しかったわ。」
 百合子は、少女が犬と遊ぶ無邪気な様子を見て、心の中に閉じ込めていた懐かしき思い出をうかべはじめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...