14 / 37
SS No.1 すべてのはじまり
現わし首謀者
しおりを挟む
その直後、トヨタマやタキリの二人を囲う形で風が発生した。
風は、初め、気にならない程度の弱いものであったが、次第に強さを増し、春一番並の風となった。
「きゃあ!? 城の方にいきたいけど、これじゃ無理だわ。」
非常に強い風の中、タキリは、身体を動かすことすら出来なくなり、思わず心が折れそうになった。
「姫様。ここで負けると、あなたは、汚れたヨモツの王妃にされ、すばる王朝の唯一無二の王位継承者という指導者としての権利を失います。私を含めたすばるの民のため、負けないでください。」
トヨタマは、強風の中でもそれに動じず、タキリのことを見つめながら言葉をかけた。
この言葉は、まさに、トヨタマとして、従姉の彼女を首謀者側に渡したくないという気持ちと激励の意味が込められていた。
「私は、国の王位継承者なんだ。こんなことでは、負けないわ。」
タキリは、いまにも折れそうな気持ちを忘れ去り、自分の出せる限りの力を振り絞り、上下左右に剣を振り回して風をはねのけた。
そのとき、彼女は、自らがすばるの指導者ということを自覚していた。
風をはねのけた彼女は、少し身体を動かし、トヨタマの元に赴いた。
「はっはっは。」
さて、そうしているなり、どこからともなく笑い声が付近に響いた。
その笑い声は、寒い海を漂う氷山のごとく冷たく、暗にタキリやトヨタマを罵倒にするかのように聞き取れた。
「あなたは、何者かしら? 愚弄しようものなら、すばるの王位継承者の私と従妹のトヨタマが許しません!!」
タキリは、不愉快そうに腹を立てて周囲を見まわし、声の持ち主に対して強い口調で呼びかけた。
すると、館山城の影から二人の天女が現れた。
そのうち、一人は、薄い茶色に灰色がかった着衣と羽衣などをまとい、顔を見せたくないのか、赤色の地で目の部分に縦の茶色いラインの入った仮面をかぶせていた。
その女の体つきは、親友の茜に似ていた。
二人目は、一人目と色違い、鳥のカナリヤの体と同じ色の着衣・羽衣・冠などを身にまとっていて、羽衣・冠・胸飾りの形状については、タキリ・トヨタマとも異なる円形のものをつけていた。
また、二人目は眉のあたりから目をへて口にいたる部分に黒色のものを塗っていて、瞳そのものに動きがなく、何者かに操られているようにも見えた。
一人目・二人目共に、胸元に明るく輝く翡翠の石で作られ、国章らしきものが刻まれた管・勾玉の胸飾りを身につけていた。
そして、
「あんたが、タキリなんやね。あめふりに寝返ったトヨタマと同じく、凛々しくて利口そうな奴ちゃな。」
一人目の天女は、護衛として二人目を従えてタキリたちに近付き、ふでぶてしく大阪語に似た言葉を発した。
続けて、
「うちは、クイーン。ヨモツの国王・ミタマの妃。ほんで、こいつは、下僕のナミや。」
クイーンと名乗る一人目の天女は、濃くて重いどろどろとした葛湯みたいな雰囲気を漂わせ、名前を名乗った。
「あなたが、思い出にあふれる故郷を掌握し、私や女の子のことを連れ去ろうとしたアコギな首謀者かしら?」
タキリは、首を右側に三〇度ほど傾げ、クイーンに対して尋ねかけた。
「やっぱ、利口なやっちやね。ミタマからあんたのことを拉致を頼まれたんやさかい。ついでに、この街をヨモツの拠点にしようとしたんやで。」
クイーンは、タキリのことを妖しく見つめ、思わずぞっとしたくなる口調にて語った。
「ゆるせない。あなた方のした行いは、人々を恐怖に陥れ、その上、人を拉致する非人道的なことです。私とトヨタマが成敗させてもらいます!!」
タキリは、胸の中でぐっとこらえていた怒りをその場で炸裂し、くろがねの剣に炎柱を纏わせ、トヨタマを率いてクイーンに攻撃を仕掛けようとした。
風は、初め、気にならない程度の弱いものであったが、次第に強さを増し、春一番並の風となった。
「きゃあ!? 城の方にいきたいけど、これじゃ無理だわ。」
非常に強い風の中、タキリは、身体を動かすことすら出来なくなり、思わず心が折れそうになった。
「姫様。ここで負けると、あなたは、汚れたヨモツの王妃にされ、すばる王朝の唯一無二の王位継承者という指導者としての権利を失います。私を含めたすばるの民のため、負けないでください。」
トヨタマは、強風の中でもそれに動じず、タキリのことを見つめながら言葉をかけた。
この言葉は、まさに、トヨタマとして、従姉の彼女を首謀者側に渡したくないという気持ちと激励の意味が込められていた。
「私は、国の王位継承者なんだ。こんなことでは、負けないわ。」
タキリは、いまにも折れそうな気持ちを忘れ去り、自分の出せる限りの力を振り絞り、上下左右に剣を振り回して風をはねのけた。
そのとき、彼女は、自らがすばるの指導者ということを自覚していた。
風をはねのけた彼女は、少し身体を動かし、トヨタマの元に赴いた。
「はっはっは。」
さて、そうしているなり、どこからともなく笑い声が付近に響いた。
その笑い声は、寒い海を漂う氷山のごとく冷たく、暗にタキリやトヨタマを罵倒にするかのように聞き取れた。
「あなたは、何者かしら? 愚弄しようものなら、すばるの王位継承者の私と従妹のトヨタマが許しません!!」
タキリは、不愉快そうに腹を立てて周囲を見まわし、声の持ち主に対して強い口調で呼びかけた。
すると、館山城の影から二人の天女が現れた。
そのうち、一人は、薄い茶色に灰色がかった着衣と羽衣などをまとい、顔を見せたくないのか、赤色の地で目の部分に縦の茶色いラインの入った仮面をかぶせていた。
その女の体つきは、親友の茜に似ていた。
二人目は、一人目と色違い、鳥のカナリヤの体と同じ色の着衣・羽衣・冠などを身にまとっていて、羽衣・冠・胸飾りの形状については、タキリ・トヨタマとも異なる円形のものをつけていた。
また、二人目は眉のあたりから目をへて口にいたる部分に黒色のものを塗っていて、瞳そのものに動きがなく、何者かに操られているようにも見えた。
一人目・二人目共に、胸元に明るく輝く翡翠の石で作られ、国章らしきものが刻まれた管・勾玉の胸飾りを身につけていた。
そして、
「あんたが、タキリなんやね。あめふりに寝返ったトヨタマと同じく、凛々しくて利口そうな奴ちゃな。」
一人目の天女は、護衛として二人目を従えてタキリたちに近付き、ふでぶてしく大阪語に似た言葉を発した。
続けて、
「うちは、クイーン。ヨモツの国王・ミタマの妃。ほんで、こいつは、下僕のナミや。」
クイーンと名乗る一人目の天女は、濃くて重いどろどろとした葛湯みたいな雰囲気を漂わせ、名前を名乗った。
「あなたが、思い出にあふれる故郷を掌握し、私や女の子のことを連れ去ろうとしたアコギな首謀者かしら?」
タキリは、首を右側に三〇度ほど傾げ、クイーンに対して尋ねかけた。
「やっぱ、利口なやっちやね。ミタマからあんたのことを拉致を頼まれたんやさかい。ついでに、この街をヨモツの拠点にしようとしたんやで。」
クイーンは、タキリのことを妖しく見つめ、思わずぞっとしたくなる口調にて語った。
「ゆるせない。あなた方のした行いは、人々を恐怖に陥れ、その上、人を拉致する非人道的なことです。私とトヨタマが成敗させてもらいます!!」
タキリは、胸の中でぐっとこらえていた怒りをその場で炸裂し、くろがねの剣に炎柱を纏わせ、トヨタマを率いてクイーンに攻撃を仕掛けようとした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる