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SS No.3 桜見のころ
IZA、花見
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まもなく、時計の針は、長い方で九、短い方は五を示した。
妙子宅にてお茶をしていた百合子は、芳夫・美香をともない、外に出かけた。
百合子たち広瀬一家は、アパートから見て右手方向に路地を進み、車で通ってきた道に出会った。
そこで、百合子たちは、右(北の方角)に進路を変え、しばらく道なりに歩みを進ませた。
その道中、
「お母さん。今日のお弁当、重たいけど、何が入っているの?」
右手に風呂敷でつつまれた弁当を持つ百合子は、美香を見つめて尋ねかけた。
「百合子。お弁当の中には、私が早起きしてうでによりをかけてつくった料理を詰めてきたわ。何が入っているかは、開けてからのお楽しみだよ。」
美香は、笑顔まじりに百合子に答えた。
その笑顔は、まさに自信にみちた料理人の道場鷹三郎や河越純一のように見えた。
「美香。まさか、いつもの職場で食べる弁当じゃないよね?」
和菓子類を手に持つ芳夫は、お弁当のことで美香に冗談を交えて尋ねた。
彼は、このとき、にやにやとした表情を浮かべて美香を見つめた。
「よっちゃん、そんなことないわ。今日のは、いつもとは違うメニューになっているよ。」
美香は、芳夫に苦言を呈した。
彼女は、ゆるくもしらけた笑いを浮かべていた。
「小金井公園のさくら、綺麗に咲いているかな?楽しみだわ。」
百合子は、顔という名前の肌色のキャンパスに表情を描き、言葉を発した。
彼女は、頭の中で昔見た小金井のさくらを思い返し、楽しみなのかにこにこと表情を浮かべていた。
時刻は、針が長い方で五、短い方は九と一〇の間を示した。
通りを歩く百合子たちの目の前に小金井橋が見え、とても綺麗な景色が広がっていた。
それは、橋の下にあり、はるか遠くの羽村に端を発し、江戸は四谷の大木戸までを結ぶ玉川上水の清水に土手の臙脂の色に染まった若葉と朱鷺の羽と同じ鮮やかな色の花を満々に咲かせる山桜という日本の春らしさをその場に表したかのような景色であった。
「よっちゃん。玉川上水のさくら、満開になっているわ。」
「この咲きぐあいなら、公園の方のさくらも期待できるね。」
美香・芳夫の二人は、上水の橋のたもとにて咲くさくらを眺めて言葉を交わした。
二人ともに、うっとりとした様子を顔に表し、さくらのうつくしさに心ひかれているようだった。
「染井吉野のさくらの花もいいけど、やっぱりさくらは昔ながらの山桜がいいわ。」
百合子は、さくらを見て足をとめ、まるで心が洗われたかのような表情を浮かべ、一言頭の中でつぶやいていた。
すると、
「百合子。何立ちどまっているの?早くしないと、置いていくわよ。」
橋を渡りおえた美香が目と鼻の先にいる百合子に声をかけた。
美香は、この時優しくも厳しい表情を顔の上に浮かべていた。
「お母さん、ごめんなさい。いま、行くわ。」
百合子は、美香に言葉を返した。
彼女は、顔にのような表情を描き、猫が歩くのと同じ速さで美香に歩み寄った。
妙子宅にてお茶をしていた百合子は、芳夫・美香をともない、外に出かけた。
百合子たち広瀬一家は、アパートから見て右手方向に路地を進み、車で通ってきた道に出会った。
そこで、百合子たちは、右(北の方角)に進路を変え、しばらく道なりに歩みを進ませた。
その道中、
「お母さん。今日のお弁当、重たいけど、何が入っているの?」
右手に風呂敷でつつまれた弁当を持つ百合子は、美香を見つめて尋ねかけた。
「百合子。お弁当の中には、私が早起きしてうでによりをかけてつくった料理を詰めてきたわ。何が入っているかは、開けてからのお楽しみだよ。」
美香は、笑顔まじりに百合子に答えた。
その笑顔は、まさに自信にみちた料理人の道場鷹三郎や河越純一のように見えた。
「美香。まさか、いつもの職場で食べる弁当じゃないよね?」
和菓子類を手に持つ芳夫は、お弁当のことで美香に冗談を交えて尋ねた。
彼は、このとき、にやにやとした表情を浮かべて美香を見つめた。
「よっちゃん、そんなことないわ。今日のは、いつもとは違うメニューになっているよ。」
美香は、芳夫に苦言を呈した。
彼女は、ゆるくもしらけた笑いを浮かべていた。
「小金井公園のさくら、綺麗に咲いているかな?楽しみだわ。」
百合子は、顔という名前の肌色のキャンパスに表情を描き、言葉を発した。
彼女は、頭の中で昔見た小金井のさくらを思い返し、楽しみなのかにこにこと表情を浮かべていた。
時刻は、針が長い方で五、短い方は九と一〇の間を示した。
通りを歩く百合子たちの目の前に小金井橋が見え、とても綺麗な景色が広がっていた。
それは、橋の下にあり、はるか遠くの羽村に端を発し、江戸は四谷の大木戸までを結ぶ玉川上水の清水に土手の臙脂の色に染まった若葉と朱鷺の羽と同じ鮮やかな色の花を満々に咲かせる山桜という日本の春らしさをその場に表したかのような景色であった。
「よっちゃん。玉川上水のさくら、満開になっているわ。」
「この咲きぐあいなら、公園の方のさくらも期待できるね。」
美香・芳夫の二人は、上水の橋のたもとにて咲くさくらを眺めて言葉を交わした。
二人ともに、うっとりとした様子を顔に表し、さくらのうつくしさに心ひかれているようだった。
「染井吉野のさくらの花もいいけど、やっぱりさくらは昔ながらの山桜がいいわ。」
百合子は、さくらを見て足をとめ、まるで心が洗われたかのような表情を浮かべ、一言頭の中でつぶやいていた。
すると、
「百合子。何立ちどまっているの?早くしないと、置いていくわよ。」
橋を渡りおえた美香が目と鼻の先にいる百合子に声をかけた。
美香は、この時優しくも厳しい表情を顔の上に浮かべていた。
「お母さん、ごめんなさい。いま、行くわ。」
百合子は、美香に言葉を返した。
彼女は、顔にのような表情を描き、猫が歩くのと同じ速さで美香に歩み寄った。
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