1 / 17
第一話 転生
しおりを挟む「あ~あ・・何で今さら学校なんかに行かなきゃ行けないんだよ・・」
学校にはもう2ヶ月くらいは行ってないと思う。
というか、高校に入ってからは入学式くらいしか行ってないんじゃないか?
そんな俺に昨夜、担任を名乗る男から電話が来た。
『神崎大和(かんざきやまと)君だね?入学式のとき以来、学校に登校してこないから気になって電話したんだ。もし良ければ明日君の家に伺ってもいいかな?渡したい物も沢山あるし』
「すいません・・・明日から行くんでその時貰います・・」
『本当かい?それじゃあ明日待っているよ』
担任の言葉を最後に電話が終わる。
家に来られるなんてたまったもんじゃない。
「2ヶ月も放置して置いて今さらなんだよ・・」
そんな悪態をつきながら俺は再び暗い部屋に戻って行った・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「・・・暑い」
六月の終わり頃、学校では衣替えも終わっているだろう。
しかし、俺はそんな事知るはずもないのでブレザーを着て登校している。
「しばらく引きこもりをしていた俺には辛い・・今すぐにでも帰りたい・・・」
そんな俺の呟きも公園で遊ぶ子供たちにかき消される。
「よくこんな暑い中公園でボール遊びなんて出来るな・・」
元気よく遊ぶ子供たちに感心していると、
ボールが道路の方に転がって行った。
慌てて一人の子供がそのボールを追いかける
トラックが近づいていることに気付かずに・・・
「馬鹿野郎!!死ぬ気か!!」
俺は無意識のうちに子供の元に駆け出す
そして・・・
キキーーーーーー!
そこで俺の意識は途絶えた・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「・・・・・・・さん・・・・」
・・・・・何だ?
「・・・・・・・まと・・・さん・・」
呼ばれてる・・・?
「・・・ざきやまと・・・さん」
チッ、・・・いまいち頭が回らない。
そういえば俺は・・・・どうして寝ていたんだ・・・?
確か子供を助けようとして・・・
その後確か・・・・
「神崎大和さん!」
「ハッ!・・・あの子は!?」
「子供なら無事ですよ、貴方のおかげでね」
「そうか・・・なら良かった・・・」
本当に良かった、あそこであの子が死んでしまったらきっと・・・家族の方が悲しむはずだ。
「そういえばここは・・・一体どこだ?」
「ここは貴方達の世界で言う所の死後の世界とでも言うところでしょうか」
死後の世界・・・
そうか、やはり俺は死んだのか・・・
それはトラックに轢かれたんだ、生きているはずがない。
「貴方の名前は・・・?」
「名前ですか?そうですね、タイムとでもお呼びください」
「タイム・・・時の女神なんですか?」
「はい、私は時を司る女神です」
女神か・・・普段の俺なら鼻で笑って一蹴してる所だけど、実際こういう状況になると案外信じられるもんだな。
「これから先、俺はどうなるんですか?」
「はい、死んでしまった人間はここで今まで培ってきた人格や記憶を魂から消去し、真っ白な状態の魂にして、次の世界に送り出します」
「また、前世で悪行や、他の生物との縁が強い者は、他の生物として転生することもあります。」
なるほどな、よく異世界転生物の小説とか読んでたけど、本当にあるんだ、そんな事。
「そういえば、天国や地獄の様な所は無いのですか?」
「そうですね・・・確かに無いことは無いのですが、貴方たちの考えるそれとはおそらく違います」
「実際の天国と地獄は同じ場所で、そこに空間があるだけで時間の概念も無ければ、生物として存在する事のできない世界ならありますね」
「天国と地獄というのは人間の勝手な想像なんですよ」
「さて、あまり時間も残されてないので本題に入りますね」
本題というと転生のことかな?
俺としては自分の人生にはもううんざりしているから、今すぐにでも真っさらにして欲しいんだけど・・・
「貴方には他の人達とは違い、別の選択肢を与えましょう」
「え?」
「貴方の前世は余りにも悲惨すぎました」
「というのも、本来貴方の辿る運命はここまで悲惨なものではありません」
「悲惨じゃないって・・・一体どういうことですか?」
「私たちは世界に対するありとあらゆる情報を待っています。それはその世界に住んでいる生き物すべての生涯についても記載されています」
「しかし、どういう訳か貴方の情報は一切ないのです」
「これはあくまで私の推論ですが、おそらく管轄外の神による悪戯だと思われます」
「悪戯って・・・どうして・・・?」
「嫌がらせだと思います。私を世界の管理から外す為に」
そんな・・・馬鹿みたいな理由で俺は・・・あんな目にあったのか・・・?
ポロッ・・ポロ・・
「・・・クソッ・・・・」
涙が止まらない・・そんなつまらない理由であいつらは殺されたのか・・・
「この件については私の落ち度です」
「しかし、終わってしまった命はもう、どうすることもできません」
「なので私は貴方に今の状態のまま、別世界に転生する権利を与えます」
「転生する世界の名は【リベラル】貴方の住んでいた地球とは違い魔法の発展した世界です」
「そして、貴方がその世界で幸せに暮らせるよう私からギフトを一つ送りましょう」
「さあ!貴方は何を望みますか?」
異世界転生?
まさか俺がその立場になるとはな・・・
でも、俺はもう・・・今の記憶や人格・・そして何より人間として生きることがもう嫌なんだ・・・
だから・・・俺は・・・
「俺は・・・人間を辞めたい・・・」
俺はもう人にはなりたくない・・・
「そうですか・・・ならば仕方がありませんね・・・・貴方の願い聞き入れましょう」
「では、目を瞑り、リラックスして下さい」
俺は言われるがまま目を瞑る。
これでようやく終わるんだな・・・
あんな苦しい思い・・もう二度としなくて済む・・
「それでは、貴方の願いに祝福を・・・」
それじゃあな・・・俺の人生・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チュンチュン・・・
鳥が鳴いている・・
どうやらさっきの場所ではないみたいだ。
うん?
俺は一体何を言っている?
確か俺は転生したはずだ・・・人間ではない何かに・・・
なんで・・・?
俺は考えられているんだ?
いや、待てよ?
動物にも考えられる個体はいるはずだ。
まずは自分の体を調べるべきだろう。
とりあえず目を開けるか・・
「これは・・・すごいな・・・!」
目を開けるとそこには木々が広がっていた。
「これは森か?すごい量の木だ・・こんなの初めて見る」
しかし、今はそんな事よりも・・・
「やっぱり人間のままじゃないか・・」
何も変わってない。
地球の時と同じよく見慣れた人間の姿だった。
「クッソ!あの女神騙しやがって!」
俺は頭に来て近くの木を殴る
バキャ!
「おいおい・・マジかよ」
自分の身長を遥かに上回る木が真っ二つに折れた。
「もしかして人間を辞めたいってそういう風に捉えたのか?」
確かに俺は人間を辞めたいって言った。
でも、そうじゃねえだろ!
そんな実力的に辞めたいって訳じゃねえよ!!
「クソッ・・・・面倒なことになった・・・」
あの女神、もし次会うことがあったらただじゃおかねぇ!
「こんな所でキレてても仕方がない、とりあえず移動するか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「しっかし、全然景色が変わんねえな、いつまでも木ばっかりだ」
かれこれ一時間、ずっと歩き続けているのだが、
辺り一面見渡す限りの木々
いい加減嫌になってくる。
「それにしても随分と不思議な生き物ばっかりだな」
一時間も森を歩いているとたくさんの生き物に出会う。
それらは全て地球にいた物とは違いかなり凶暴なものばかりだった。
しかし、今の俺には並大抵の生き物ではダメージを与える事は出来ず、全て返り討ちにあっていた。
「今まであった生き物たちは手応えのない奴らばかりだけど、やっぱりボス的な奴はいんのかな?ドラゴンとか?」
そんなことを呟いた直後である。
ゴアァァァァ!!
今まで聞いたことないような、轟音が聞こえた
「すごいな!異世界のフラグ回収率は!」
俺は急いで声の方へと駆けて行った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私はギルドの依頼で【迷いの森】に来ていた。
薬に使われる木の実を取るために。
依頼はあまり難しいものではなかった筈だった、
そう、
あの時、早く帰っていればこんな事にはならなかった・・・
「ふぅ、木の実の回収終わりっと」
「あとは目印通り帰れば終わりだね」
私は木についているマーカーを頼りに街に帰ろうとしていた。
そこでふと、気になるものを見つけた。
「この足跡・・・ここら辺じゃ見かけない個体のだ」
迷いの森は比較的大きな生物は存在しない。
いたとしても精々人間よりも二回りくらい大きな奴だ、
しかしこの足跡は余りにも大き過ぎる
私は興味本位でその足跡を追ってしまった。
「ここは・・・巣かな?」
辿り着いた先には半径50mくらいの範囲で木が倒されていた。
「この規模の生き物が本当に住み着いたとしたら・・・今すぐギルドに報告しないと大変な事になる!!」
私がその場を立ち去ろうとした時、
背後から轟音が鳴り響いた。
ゴアァァァァ!!
私は覚悟を決め振り返った、するとそこには・・
巨大な龍が空に浮いていた
「そんな・・・」
私は龍と目が合う
龍は口を開き魔力を溜めていた。
殺される・・・
ゴアァ!!
龍の口からブレスが放たれる
私は諦め、静かに目を閉じた・・・・
「まだ諦めるには早いんじゃないの!?」
私はその言葉に驚き閉じていた目を見開く。
そこには、私と同じくらいの歳の男の人が立っていた。
「なんでここにきたんですか!!私を見捨てれば死なずに済んだのに!!」
「うるせぇ!まだ死ぬって決まった訳じゃないんだから、諦めるな!」
次第にブレスは近づいてくる・・・
私は膝から崩れ落ちた。
「もう・・ダメだ・・・」
ブレスは目前に迫っている。
しかし、
「だから!!諦めるのは早いって言ってんだろうがぁ!!」
そう言って彼は
ブレスを殴り飛ばした・・
0
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる