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第11章
(4)過去 〜九尾狐〜
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遠い昔、此の島国に稲作の技術が伝来していなかった時代・・・異国の地では既に多くの人は支配する者と支配される者に分類されており、支配する者の血族や養子縁組による世襲君主制の君主を頂点とする王朝による国の統治が行われていた。
強欲に満ちた者たちは君主の座を奪い合い、骨肉の争いを繰り広げる猛獣と化していた。
男を中心とした国家は権力を持つ者が女子を好きなように弄ぶばかりか、欲情に狂った男たちの穢れた想いと男たちに媚び諂い言葉巧みに誑かす貪欲な戯女の想いが空間を覆い尽くして深淵の大渦となって、紛擾が絶えず起こるようになる。
穢れが新たな災いを招く負の連鎖は空間を劣化させるが故に未成仏な霊たちの餌場となる。そんな穢れが集積した場に残留した数多くの未成仏霊は強大な悪霊となって魔獣化してゆく・・・
その猛者たちの中においても追従を許さない強烈な妖気を其の身に纏った九尾を持つ化物は、人から人へと憑依を繰り返しながら遊泳術に長けるばかりか目端が利くようになる。
人心を惑わせ掌握する邪智に長けた妖魔は、仲間を増殖させながら穢れの領域を拡大するために影響力のある人間に近づいて、欺瞞、誘惑、変化する術を用いて絡繰るのであった。
そんな折、欲情に駆られた幾つかの家系のひとつに狐のように怜悧な本能を携え、艶やかに微笑む見目好い娘が生まれ育てられていた。
端整な顔立ちに妖艶な雰囲気を漂わせた娘は、見るもの誰もがあまりの美しさに眩惑される女子へと成長した。
ところが乱世において権力争いに破れた娘の家系の主は、一族を討った相手に娘を献上することによって家系の断絶を回避する苦渋の選択をしたのであった。
「父上、嫌でございます! あのような男の下へは死んでも参りませぬ・・・」
年来の仇敵に嫁ぐのであるならば、いっそのこと自害させてくれと嗚咽しながら懇願する容姿端麗な生娘に強大な黒影が忍び寄る。
失意の憂愁に堪え兼ね、虚しい雨音が聞こえて来る屋外へ駆け出して半狂乱になる生娘の心の隙に乗じて大狐は微笑しながら憑依した。
生娘の双眸は禍々しい妖気と共に赤い閃光を放つ・・・男を蠱惑する眼差し、艶っぽい唇・・・魅惑する妖艶な振る舞いの妖姫へと変貌した生娘は、不適な笑みを浮かべながら仇敵に嫁いでゆく。
見目麗しい生娘に邪悪な気を纏った九尾狐が憑依していることを知る由もない鈍く穢れた君王は、忽ち九尾狐の甘い諂諛に騙され、魔力の餌食となって陶酔させられる。
猛獣と格闘出来るだけの武術を身に付け、文官たちを唸らせる知力を兼ね備えた名君でさえも妖姫の出現により色香に魅せられ暴君と化してしまう。
時の王に寵愛された妖姫は男心を弄び、意のままに操って大国を私物化させるばかりでなく、宮廷の女官たちに次々と子分たちを憑依させた。
男たちは色仕掛けと媚態に酔い痴れ、骨の髄まで牝狐たちに貪り尽くされるのである。
君主は賦税を厚くして銭を蓄え快楽に耽り、酒を注いで池とし、肉を懸けて林とし、朝夕を問わずに贅を極めた酒宴を催して遊女たちと戯れる日々を過ごした。
これまで続けて来た生贄の儀式を撤廃して神下ろしを理由に道楽に明け暮れることを正当化するのも無理はない。何故なら王宮内の人々は既に大狐たちの生贄となって穢れた妖気を放つ魑魅魍魎の囁きを神の声であると誤認させられていたからである。
時を経て、悪政を敷く暴君も他国から攻められ命を落とすことになり、王の側にいた姫たちも首を刎ねられるのであるが、牝狐たちが去った抜け殻である人体だけを始末したに過ぎないことを誰も知る由もない。
新たな生贄を求めて周遊する九尾狐は異国の地へ移っては罪悪を犯し、穢れし者たちが跳梁出来る群生地を拡大した・・・
強欲に満ちた者たちは君主の座を奪い合い、骨肉の争いを繰り広げる猛獣と化していた。
男を中心とした国家は権力を持つ者が女子を好きなように弄ぶばかりか、欲情に狂った男たちの穢れた想いと男たちに媚び諂い言葉巧みに誑かす貪欲な戯女の想いが空間を覆い尽くして深淵の大渦となって、紛擾が絶えず起こるようになる。
穢れが新たな災いを招く負の連鎖は空間を劣化させるが故に未成仏な霊たちの餌場となる。そんな穢れが集積した場に残留した数多くの未成仏霊は強大な悪霊となって魔獣化してゆく・・・
その猛者たちの中においても追従を許さない強烈な妖気を其の身に纏った九尾を持つ化物は、人から人へと憑依を繰り返しながら遊泳術に長けるばかりか目端が利くようになる。
人心を惑わせ掌握する邪智に長けた妖魔は、仲間を増殖させながら穢れの領域を拡大するために影響力のある人間に近づいて、欺瞞、誘惑、変化する術を用いて絡繰るのであった。
そんな折、欲情に駆られた幾つかの家系のひとつに狐のように怜悧な本能を携え、艶やかに微笑む見目好い娘が生まれ育てられていた。
端整な顔立ちに妖艶な雰囲気を漂わせた娘は、見るもの誰もがあまりの美しさに眩惑される女子へと成長した。
ところが乱世において権力争いに破れた娘の家系の主は、一族を討った相手に娘を献上することによって家系の断絶を回避する苦渋の選択をしたのであった。
「父上、嫌でございます! あのような男の下へは死んでも参りませぬ・・・」
年来の仇敵に嫁ぐのであるならば、いっそのこと自害させてくれと嗚咽しながら懇願する容姿端麗な生娘に強大な黒影が忍び寄る。
失意の憂愁に堪え兼ね、虚しい雨音が聞こえて来る屋外へ駆け出して半狂乱になる生娘の心の隙に乗じて大狐は微笑しながら憑依した。
生娘の双眸は禍々しい妖気と共に赤い閃光を放つ・・・男を蠱惑する眼差し、艶っぽい唇・・・魅惑する妖艶な振る舞いの妖姫へと変貌した生娘は、不適な笑みを浮かべながら仇敵に嫁いでゆく。
見目麗しい生娘に邪悪な気を纏った九尾狐が憑依していることを知る由もない鈍く穢れた君王は、忽ち九尾狐の甘い諂諛に騙され、魔力の餌食となって陶酔させられる。
猛獣と格闘出来るだけの武術を身に付け、文官たちを唸らせる知力を兼ね備えた名君でさえも妖姫の出現により色香に魅せられ暴君と化してしまう。
時の王に寵愛された妖姫は男心を弄び、意のままに操って大国を私物化させるばかりでなく、宮廷の女官たちに次々と子分たちを憑依させた。
男たちは色仕掛けと媚態に酔い痴れ、骨の髄まで牝狐たちに貪り尽くされるのである。
君主は賦税を厚くして銭を蓄え快楽に耽り、酒を注いで池とし、肉を懸けて林とし、朝夕を問わずに贅を極めた酒宴を催して遊女たちと戯れる日々を過ごした。
これまで続けて来た生贄の儀式を撤廃して神下ろしを理由に道楽に明け暮れることを正当化するのも無理はない。何故なら王宮内の人々は既に大狐たちの生贄となって穢れた妖気を放つ魑魅魍魎の囁きを神の声であると誤認させられていたからである。
時を経て、悪政を敷く暴君も他国から攻められ命を落とすことになり、王の側にいた姫たちも首を刎ねられるのであるが、牝狐たちが去った抜け殻である人体だけを始末したに過ぎないことを誰も知る由もない。
新たな生贄を求めて周遊する九尾狐は異国の地へ移っては罪悪を犯し、穢れし者たちが跳梁出来る群生地を拡大した・・・
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