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第12章
(4)卒業
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苛烈な戦いを繰り広げた強者たちが汚穢と欲気に満ちた威武に屈することなく強大な魔獣たちを祓い清めた甲斐合って、平穏な日常を取り戻した栃◯の田舎町では緩やかに季節が変遷した。
魔物たちとの壮絶な戦いを終えた結子たちは、雪がちらつく中、何事もなく穏やかな新年を迎えることが出来た。
結子が主演を務める映画「愛しい人は、女神さま」は全国の映画館で公開されて、映画公開に伴う試写イベントも盛大に開催された。
「鬼は外!」「福は内!」「鬼は外!」「福は内!」
神社境内が美しい白銀の世界へと姿を変えた頃、頼光、高彦、夏子、結子、松島、町井は、鬼の面を被る鬼役の朋友を目掛けて節分の豆を投げつける熱いバトルを繰り広げていた。
「爺ちゃん、交代だ、ほら、鬼!」
大量の豆を打つけられた朋友は、顔から外した鬼の面を頼光に渡そうとする。
「馬鹿もん! 年寄りに鬼役をやらせようとは、不届きな奴じゃ・・・」
「いいじゃんか、固いこと言いっこ無しだよ、ほら・・・鬼は外! 福は内!」
頑に拒む頼光に鬼の面を手渡し、豆を巻き出して燥ぐ朋友たちがいる境内に鬼塚と角田が姿を見せた。
「鬼は外!」
掛声に合わせて朋友が投げつけた豆が角田の顔面に当る。
「お、お前な・・・」
「あっ、鬼だ!」
「その豆、俺に渡せ!」
「嫌~っだよ!」
「待て!」
「鬼は外!」
朋友は角田と豆を奪い合って境内を駆け回りながら子どものような笑顔で燥いでいた。
刻は流れ・・・
日◯連山の冬景色に降り注ぐ陽光が眩しい光を反射する季節となった。
母なる惑星の鼓動を明快に体感せしめる蒼穹の下、結子と朋友の学校では整然とした雰囲気の中で卒業式が始まり、合唱する生徒たちの歌声が体育館内に響き渡る。
沢山の想い出を胸に卒業式を迎えた生徒たち。仲間との別れに涙するもの、新たな旅立ちに胸を弾ませるもの、一生で一度きりの高校生活。その青春の1ページをひとりひとりが自らの心のアルバムに刻む・・・
無事に平静を取り戻した田村秀一と雨音艶香をはじめとして教師たちは巣立つひとりひとりの卒業生にエールを届け、門出を祝福しながら笑顔で見送っていた。
人が変わらなければ地球は汚れを増して劣化する。そして、其処で暮らしている人もまた汚れて腐敗することにより災害や人災が拡大する。ひとりひとりが未来を担うこどもたちのために、今、地球を綺麗な惑星へと変えることを考えて行動しなければ、多くの人が幸せを感じながら生きることは出来ない。そして、明るい未来が訪れることもない・・・
卒業式を無事に終え、卒業証書を手に校内で記念撮影する生徒たちや仲間たちと抱き合い笑顔で学校を後にするもの・・・校内の風景を目に焼き付けながら、そんな穏やかな日常を微笑ましく想う結子の名を呼び、結子のもとへ松島と町井が近づいて来た。
「結子ちゃん、卒業おめでとう!」
「ありがとう! 潤君とのぞみちゃんも卒業おめでとう!」
結子に見える未来の記憶・・・結子は自分に出来ることを精一杯、諦めずにやり続ける。それは決して結子本人のためではなく、結子以外のすべての人・・・大切な命のため、涙を笑顔に変えるため、明るい未来を創るため、そして、清らかな神さまたちのために行動するのである。
結子の清らかな双眸は、偏狭な世界に逗留することなく明るい未来を見据えていた・・・
夕刻
仲間たちと別れた結子と朋友は、渡良瀬川沿いに並んで座りながら夕焼け空を眺めていた。
「卒業だね・・・」
「あぁ・・・」
朋友の肩に凭れ掛かるように頭を置く結子は、朋友に質問した。
「ねぇ、朋友?」
「ん?」
「あの時・・・大狐が自ら命を断ったとき、なぜ避けなかったの?」
「あぁ、あれねぇ・・・」
「どうしてわかったの?」
「あれは、その・・・」
白無垢を身に纏い、結った美髪を綿帽子で覆った見目麗しい花嫁姿の結子が朋友に顔を近づけて囁(ささや)いた・・・
「大丈夫、狐は朋友を攻撃しないから・・・」
朋友は事故で昏睡状態のときに体験した不思議な出来事のことを想い返しながら、結子からの問いに優しく答えた。
「結子のおかげだよ!」
朋友の言葉を聞いた結子は、朋友の肩から頭を上げて頬に優しくキスをした。
結子の柔らかい唇が触れた頬の感触に意識を向けている朋友をじっと見つめる結子は、微笑みながら立ち上がった。
「ねぇ、何だかドキドキする」
胸に手を当てた結子を眺めながら、惹かれるように立ち上がる朋友。
「触りたい?」
「えっ?」
「触ってみる?」
不意を突く結子からの問い掛けに対して朋友は心臓の鼓動が激しさを増すばかりか動揺の気配が現れる。
そんな朋友を澄んだ眼差しで心を覗き込むように見つめて微笑む結子。
「何ドキドキしてんのよ!」
「な、何だよ、揶揄うんじゃねー、この女狐!」
「一生、揶揄いますよ~、コンコン、コンコン」
「待てって、待てってば・・・」
「嫌ですよ~」
満遍の笑みを浮かべながら逃げる結子を嬉しそうに追いかける朋友。そんなふたりを静観する夕月夜が優しく見守っていた。
豊かな自然が溢れる日◯連山。ふたりの未来を見据えた◯体山の山頂に聳え立つ清絶高妙な御神剣が耀きを増していた。
数日後
パソコンのキーボードを打つ音が静かに響く自室内でひとり椅子に腰を掛けて、パソコンの画面を見ながら文章を書いていた結子の手が止まる。
「よし!」
結子の眼差しの先にあるパソコンの画面には「PURIFICATION」朋友へ捧げる未来の記憶と記されている。
結子は未来の記憶を書き記したデータを保存する。そして、静かにパソコンの電源をOFFにした。
「貴方が未来を感じた、その時のために・・・」
PCの画面が消えるのに併せて玲瓏な女神の声と結子の美声が重なるように室内に響き渡り、時に刻まれた・・・
魔物たちとの壮絶な戦いを終えた結子たちは、雪がちらつく中、何事もなく穏やかな新年を迎えることが出来た。
結子が主演を務める映画「愛しい人は、女神さま」は全国の映画館で公開されて、映画公開に伴う試写イベントも盛大に開催された。
「鬼は外!」「福は内!」「鬼は外!」「福は内!」
神社境内が美しい白銀の世界へと姿を変えた頃、頼光、高彦、夏子、結子、松島、町井は、鬼の面を被る鬼役の朋友を目掛けて節分の豆を投げつける熱いバトルを繰り広げていた。
「爺ちゃん、交代だ、ほら、鬼!」
大量の豆を打つけられた朋友は、顔から外した鬼の面を頼光に渡そうとする。
「馬鹿もん! 年寄りに鬼役をやらせようとは、不届きな奴じゃ・・・」
「いいじゃんか、固いこと言いっこ無しだよ、ほら・・・鬼は外! 福は内!」
頑に拒む頼光に鬼の面を手渡し、豆を巻き出して燥ぐ朋友たちがいる境内に鬼塚と角田が姿を見せた。
「鬼は外!」
掛声に合わせて朋友が投げつけた豆が角田の顔面に当る。
「お、お前な・・・」
「あっ、鬼だ!」
「その豆、俺に渡せ!」
「嫌~っだよ!」
「待て!」
「鬼は外!」
朋友は角田と豆を奪い合って境内を駆け回りながら子どものような笑顔で燥いでいた。
刻は流れ・・・
日◯連山の冬景色に降り注ぐ陽光が眩しい光を反射する季節となった。
母なる惑星の鼓動を明快に体感せしめる蒼穹の下、結子と朋友の学校では整然とした雰囲気の中で卒業式が始まり、合唱する生徒たちの歌声が体育館内に響き渡る。
沢山の想い出を胸に卒業式を迎えた生徒たち。仲間との別れに涙するもの、新たな旅立ちに胸を弾ませるもの、一生で一度きりの高校生活。その青春の1ページをひとりひとりが自らの心のアルバムに刻む・・・
無事に平静を取り戻した田村秀一と雨音艶香をはじめとして教師たちは巣立つひとりひとりの卒業生にエールを届け、門出を祝福しながら笑顔で見送っていた。
人が変わらなければ地球は汚れを増して劣化する。そして、其処で暮らしている人もまた汚れて腐敗することにより災害や人災が拡大する。ひとりひとりが未来を担うこどもたちのために、今、地球を綺麗な惑星へと変えることを考えて行動しなければ、多くの人が幸せを感じながら生きることは出来ない。そして、明るい未来が訪れることもない・・・
卒業式を無事に終え、卒業証書を手に校内で記念撮影する生徒たちや仲間たちと抱き合い笑顔で学校を後にするもの・・・校内の風景を目に焼き付けながら、そんな穏やかな日常を微笑ましく想う結子の名を呼び、結子のもとへ松島と町井が近づいて来た。
「結子ちゃん、卒業おめでとう!」
「ありがとう! 潤君とのぞみちゃんも卒業おめでとう!」
結子に見える未来の記憶・・・結子は自分に出来ることを精一杯、諦めずにやり続ける。それは決して結子本人のためではなく、結子以外のすべての人・・・大切な命のため、涙を笑顔に変えるため、明るい未来を創るため、そして、清らかな神さまたちのために行動するのである。
結子の清らかな双眸は、偏狭な世界に逗留することなく明るい未来を見据えていた・・・
夕刻
仲間たちと別れた結子と朋友は、渡良瀬川沿いに並んで座りながら夕焼け空を眺めていた。
「卒業だね・・・」
「あぁ・・・」
朋友の肩に凭れ掛かるように頭を置く結子は、朋友に質問した。
「ねぇ、朋友?」
「ん?」
「あの時・・・大狐が自ら命を断ったとき、なぜ避けなかったの?」
「あぁ、あれねぇ・・・」
「どうしてわかったの?」
「あれは、その・・・」
白無垢を身に纏い、結った美髪を綿帽子で覆った見目麗しい花嫁姿の結子が朋友に顔を近づけて囁(ささや)いた・・・
「大丈夫、狐は朋友を攻撃しないから・・・」
朋友は事故で昏睡状態のときに体験した不思議な出来事のことを想い返しながら、結子からの問いに優しく答えた。
「結子のおかげだよ!」
朋友の言葉を聞いた結子は、朋友の肩から頭を上げて頬に優しくキスをした。
結子の柔らかい唇が触れた頬の感触に意識を向けている朋友をじっと見つめる結子は、微笑みながら立ち上がった。
「ねぇ、何だかドキドキする」
胸に手を当てた結子を眺めながら、惹かれるように立ち上がる朋友。
「触りたい?」
「えっ?」
「触ってみる?」
不意を突く結子からの問い掛けに対して朋友は心臓の鼓動が激しさを増すばかりか動揺の気配が現れる。
そんな朋友を澄んだ眼差しで心を覗き込むように見つめて微笑む結子。
「何ドキドキしてんのよ!」
「な、何だよ、揶揄うんじゃねー、この女狐!」
「一生、揶揄いますよ~、コンコン、コンコン」
「待てって、待てってば・・・」
「嫌ですよ~」
満遍の笑みを浮かべながら逃げる結子を嬉しそうに追いかける朋友。そんなふたりを静観する夕月夜が優しく見守っていた。
豊かな自然が溢れる日◯連山。ふたりの未来を見据えた◯体山の山頂に聳え立つ清絶高妙な御神剣が耀きを増していた。
数日後
パソコンのキーボードを打つ音が静かに響く自室内でひとり椅子に腰を掛けて、パソコンの画面を見ながら文章を書いていた結子の手が止まる。
「よし!」
結子の眼差しの先にあるパソコンの画面には「PURIFICATION」朋友へ捧げる未来の記憶と記されている。
結子は未来の記憶を書き記したデータを保存する。そして、静かにパソコンの電源をOFFにした。
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