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1章.妹君は少年伯と出会う
19.妹君は役に立ちたい①
ユリウスは混乱していた。
表面上はいつも通り澄まし顔の彼だったが、内心は恥ずかしさと動揺でどうにかなってしまいそうだった。
できることなら頭を抱えて拳を枕にでも叩きつけたいが、腕が動かないためそうもいかない。
(どうして私はあんなことを……っ)
幸い昼休憩から帰ってきたリーゼロッテが「少しお暇をいただけませんか?」と言ってきたため、夕食になるまで来ないことが分かっている。
顔を合わせずに済むと聞いて、ほっとするような残念なような気持ちになる自分が腹立たしい。
(た、たかが美しいと言っただけだ。感想を伝えただけ。手を握られただけ。大したことはしてないしされてない)
そう自分に言い聞かせるように頭の中で繰り返すのだが、気を抜くとやはり最初のように何かを叩きたくなる衝動に駆られる。
「…………」
ロルフが無言でこちらを見ているのがわかる。
母譲りの茶色の巻き毛なのに、デボラにも兄のザシャにも似ず無口な少年だ。
その少年が、部屋の隅にちょこんと座り、なにかものを言いたげに口をもごもごさせている。
「……どうした」
「…………………ユリウス様、不機嫌?」
小首を傾げるロルフに、ユリウスは同じように首を傾げた。
「…………………眉間、皺」
そう言ってロルフは自分の額あたりを人差し指で指した。
腕が上がらないので確認しようもないが、おそらく眉間に深い皺が刻まれており、その表情が不機嫌だと捉えられたのだろう。
「…………………リーゼ、不在。ユリウス様、不機嫌?」
もう一度聞いてきたロルフに、ユリウスは大丈夫だと首を振った。
彼の茶色の瞳が安堵するようにゆっくり瞬くと、「リーゼ、すぐ来る。安心」と呟いた彼は、再び部屋の隅で膝を抱えて口を噤んだ。
ユリウスには何故、彼がリーゼロッテの名を急に出したのか釈然としなかったが、そのおかげで先ほどまでの衝動を少しの間だけ忘れることができた。
表面上はいつも通り澄まし顔の彼だったが、内心は恥ずかしさと動揺でどうにかなってしまいそうだった。
できることなら頭を抱えて拳を枕にでも叩きつけたいが、腕が動かないためそうもいかない。
(どうして私はあんなことを……っ)
幸い昼休憩から帰ってきたリーゼロッテが「少しお暇をいただけませんか?」と言ってきたため、夕食になるまで来ないことが分かっている。
顔を合わせずに済むと聞いて、ほっとするような残念なような気持ちになる自分が腹立たしい。
(た、たかが美しいと言っただけだ。感想を伝えただけ。手を握られただけ。大したことはしてないしされてない)
そう自分に言い聞かせるように頭の中で繰り返すのだが、気を抜くとやはり最初のように何かを叩きたくなる衝動に駆られる。
「…………」
ロルフが無言でこちらを見ているのがわかる。
母譲りの茶色の巻き毛なのに、デボラにも兄のザシャにも似ず無口な少年だ。
その少年が、部屋の隅にちょこんと座り、なにかものを言いたげに口をもごもごさせている。
「……どうした」
「…………………ユリウス様、不機嫌?」
小首を傾げるロルフに、ユリウスは同じように首を傾げた。
「…………………眉間、皺」
そう言ってロルフは自分の額あたりを人差し指で指した。
腕が上がらないので確認しようもないが、おそらく眉間に深い皺が刻まれており、その表情が不機嫌だと捉えられたのだろう。
「…………………リーゼ、不在。ユリウス様、不機嫌?」
もう一度聞いてきたロルフに、ユリウスは大丈夫だと首を振った。
彼の茶色の瞳が安堵するようにゆっくり瞬くと、「リーゼ、すぐ来る。安心」と呟いた彼は、再び部屋の隅で膝を抱えて口を噤んだ。
ユリウスには何故、彼がリーゼロッテの名を急に出したのか釈然としなかったが、そのおかげで先ほどまでの衝動を少しの間だけ忘れることができた。
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