転生したら王だった

如月はるな

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調査結果

転生したら王だった

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「それでは図書室の利用者の結果を報告いたします」
「うんうん」
 レナートが自分が調査した人数を発表する。
「私が一月見た限りでは五人です」
「五人・・・少ないね」
「はい。利用する方は少ない様です。利用する事が多いのはアリーシャでした。本当に本が好きみたいです。新刊のリクエストも多数預かっています」
「あ~、リクエストね」
「どうしますか。十冊以上ありますが・・・」
 俺はリクエストの書かれた紙を預かると、
「徐々にだね」と、答える。
「あと四人は・・・」
 先をうながす。
「アンナとハナ・・・アンナはちょっとした商家の生まれで、ハナは農家の出なのですが二人は仲良しで、読み書きが出来ないハナのためにアンナが本を読んだりして読み書きを教えてあげたりしてた様です。実に優しい子です」
「そう言う事に役立てて貰えると嬉しいな」
 皆んなが一斉に頷く。
「後の二人は?」
 次を促すとレナートは顔をしかめた。
「後の二人はステファンとアミアなのですが・・・」
「うんうん」
「この二人は図書室に人が居ない時を見計らって、何と相引きをしてたのです!」
「・・・あ、相引き?」
「そうです。実にけしからん! その場を取り押さえて説教してやりました」
 レナートの鼻息は荒く、語気が強い。
「そうか、それは大変だったね。ありがとう」
「いいえ、とんでもございません」
 そしてジーナさんに次の報告を手渡す。
「私の場合も同じで図書室を利用した六人でした。その中には今紹介されたアリーシャとアンナ、ハナが含まれて居ますので後は三人です」
「うん。どんな人かな」
 レナートの報告された人物の中には鳩に餌やりをする物は居なかった。
「気になったのはリゼットでした。図書室に入ると辺りを見渡し、人が居ないのを確かめると窓を開けてパン屑を撒くのです」
「ほぉ~」
 それは素晴らしい発見だ。俺達は顔を見合わせた。
「エサをやるだけなのですが、度々野菜を搬入しているターナとあっているのを見掛けました。ほんのすこし喋るだけなのですが・・・」
「えーと、リゼットって左利きだったっけ?」
「はい、作用でございます」
「そのターナとやらは良く出入りしているのか?」
「はい。野菜を搬入してますので、ほぼ毎日ですね」
「うん、なるほど。後一人は誰かな?」
「シュルツです」
「シュルツ?」
「庭仕事をしているのですが、これが怠け者で図書室に人が少ない事を良い事に寝ているのです」
「今度見かけたら私が叱っておこう」
 アンドルーが拳を机に叩きつけて言った。
「ほどほどにね」
 俺は二人に礼を言うと送り出した。

「図書室に出入る人物像です一番怪しいのはリゼットでしょうか」
「でも、リゼットは長年勤めていて信頼も厚い侍女だったのに・・・」
「何か訳でもあるのかな」
「ではリゼットを調べてみますか」
「それと良く合っていると言うターナもだな」

 リゼットは二十代だが、十代の若い時分から王宮で働いている。真面目で良く気がつく働き者だ。だから侍従長のレナートからも信頼されている侍女だ。父親が亡くなったので王宮で働く様になり、病弱の母親とまだ幼い兄妹を養っていると言う。

 昼休憩、俺は働き方改革の効果はどうかなと意見聞くフリをして休憩室にやってきた。
「どうかな、皆んなの意見は?」
「はい。凄く満足してます。交代で休めるのは良いですね」
「本当。以前はいつ休めるのか分からなかったから・・」
「うんうん。こうなったらもっと良いかなと言う意見も聞かせてね」
「はい」
 俺はそれとなくリゼットを見た。昼食のパンもあまり食べてないし、スープと野菜だけだ。顔色も悪いな。
 俺とオードリーは退室すると、リゼットが出て来るのを待った。
 リゼットはトレイを厨房に戻すと項垂れながら歩いて来る。本当に元気が無い。
「リゼット」
「!!」
 呼びかけるとハッと顔を上げた。
「へ、陛下!」
 驚いて頭を下げる。
「ちょっといいかな」
「は、はい」
 更に顔色が悪くなるのが分かる。
 図書室に案内する。図書室に誰も居ない事は確認済みだし、誰も入ってこない様にオードリーに見張りを頼む。
「座って」
「は、はい・・・」 
 大分緊張しているのが見てとれる。
「リゼットは鳥が好き?」
 その一言で分かったのか、リゼットの目から見る見るうちに涙が溢れて来る。
「も、申し訳ありません!」
 そう言うが早いから椅子から降り土下座をする。
「リ、リゼット?」
「王妃の首飾りを盗んだのは私です!」
「う、うん・・・」
 早い自白に俺の方が戸惑う。
「とんでもない事をしました。どうか、どうか、厳罰を・・・」
 俺は土下座をして泣きながら詫びるリゼットの傍に膝をつくと、その手を握りしめた。
「何か訳があるんだよね。話して欲しい」
 真面目なリゼットがこんな大罪を犯すのはリスクが大き過ぎる。きっと何か理由があるに違いないと思えるのだ。
「リゼット・・・」
 グスグスと鼻を啜りながら、涙にくれた顔を上げた。
「い、い・・・妹が・・・」
「妹・・・」
「妹が拐われて・・・」
「えっ!」
 リゼットの話によると、休暇が取れた日に実家に帰った時、家には見知らぬ男が二人いたと言う。家には病弱の母と腕に怪我を負った後ルロイだけが居た。妹は別の場所に連れてゆかれ行方が知れない。男二人は妹を無事に返して欲しかったら王妃の首飾りを盗めた命令してきた。
 どうやなリゼットが上から信用され、王妃の首飾りの確認役を任されていたのを調べた様だ。
(どうやら確信犯の様だな)
「ど、どうか、どうか、わ、私を罰して下さい!」
「えっ?」
「り、理由はどうあれ、わ、私は大事な王妃の首飾りを盗んだばかりか、分解までして・・・」
「分解した小さめの宝石を鳩で飛ばしたんだね」
「グス・・・は、はい。本当に盗んだか証明のために鳩の袋に入れろと・・・」
「そうか。でも、鍵は?」
「侍従長から預かった時に、ポケットに忍ばせておいた粘土に押しつけて型を取りました」
「なるほど。それでその型をターナに渡したのか」
「!! どうしてターナだと」
「うん、まぁ、いろいろとね。それより大元のダイヤはもう渡しちゃった?」
「い、いいえ、あまりにも恐れ多くて、ま、まだ渡せなくて・・」
「渡してないの?」
「は、はい。でも早く渡せとせっつかれてはいるのでが・・・家族の命の事を思うと渡すのが良いと思ったのですが、どうしても・・・出来なくて・・・」
「そうか。悩んだんだね」
 コクリとリゼットは頷いた。
「分かった。リゼット、後は任せて・・・」
 おいてと言いたかったが、その前に聞き覚えのある声が。
「話しは聞かせてもらったわ」
「! コ、コーデリアさん?」
 見張りを頼んでおいたオードリーが済まなそうに、ドアの外で手を合わせている。
 皇太后の出現にリゼットは顔を青くする。
「本物がまだこの城の中にあるのなら策はあるわ」
「え、えーと、コーデリアさん?」
 颯爽と登場したコーデリアさんに俺は戸惑いを隠さない。 

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