転生したら王だった

如月はるな

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転生したら王だった

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   俺の名前は北原陸人、二十歳。某大学に通っていた。真面目で正義感が強いと言われる。その性格が
災いしたか、俺は死んだ。車にはねられそうになった少女を助けて。病院の霊安室に横たわる俺の姿を俺は見ていた。母は信じられないと泣き、弟はきつく拳を握りしめ、妹は呆然としていた。
   俺は焼かれ骨になり、親父の横に並べられた。四十九日も過ぎようとする頃、俺の身体は自然に天へと昇って行く。
   もうお別れの時が来た様だ。海人、彩香、母さんを頼むな。母さん、孝行出来なくてごめん。だんだんと小さくなる我が家に俺はお別れを言う。
   上は行くと天へ向かう人・・・いや、この場合は霊なんだろうな。じょじょに増えた来た。色んな格好の霊がいる。ここに来るのは何も現代社会の人間だけでは無いらしい。
   天への入り口の門に近づいて来ると、何やら言い争いの声が聞こえてきた。
「ですから貴方はまだ死者では無いのです」
「いいや、俺は死んだ」
「強情な方ですね。ここは死の証明書を持参していなければ通す事は叶いません」
   俺は手を見た。いつのまにか証明書を持っている。
男は納得出来ないのか、後ろを振り向くと俺と目があった。
(なんだろう、よく似てるかも)
   と、思ったら彼もそう思ったのか、俺に近づいて来ると、いきなり俺から証明書を、奪うと脱兎のごとく走り、門番の制止を振り払い奥へと消えて行った。
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