転生したら王だった。

如月はるな

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転生したら王だった。

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   俺は目を開けた。どうやら部屋の中らしい。地獄では無いらしい。良かった・・・ちょっと一安心。
「お気がつかれましたか」
   俺に声を掛けてきたのは白い服を着た見知らぬ老人だった。白い服を着てるという事は医者なのかな?
「陛下、リューク陛下、大丈夫ですか」
   今度は横から若い男が声を掛けて来た。茶色の髪にやはり茶色の目をした美青年。
(えっ?  外人?)
  でも言葉分かるし・・・リュークって俺の事?
  それに彼は甲冑らしきものを着ていた。
(中世?)
   生き返ったは良いけど日本では無いらしい事はわかった。 
「お熱を拝見」
   医者らしきものを額に手をやり熱をはかり、手を取り脈を測る。
「大丈夫ですね。ではお怪我を拝見します」
   頭に巻かれた包帯を取り傷を見ると、再び巻き直した。
「怪我も大した事なく大丈夫でしょう」
「そうですか。ありがとうケチャット医師」
   美青年は俺を見つめ顔を近づけて来た。
「陛下、ご気分は如何ですか」
「ご気分は大丈夫だけど・・・」
「だけど・・・何でしょう?」
「あ・・あの、誰?」
   二人は顔を見合わせた。それはそうなるよな。
「これはどういう事なのでしょうか」
「頭を打った事による記憶障害かもしれませんね」
   まあ、そうなるよな。そう言う事にしておこう。
「しばらくすれば治ると思います」
「そうですか」
「私は傷薬と飲み薬を用意して参ります。あと、陛下が目を覚ました事を知らせて参ります」
   そう言うと医者は部屋を出て行った。
   美青年は俺を見つめて尋ねてきた。
「私の事分かりませんか?」
「ごめん。誰だっけ」
   美青年は深くため息を吐くと、
「アンドルーです」と、答えた。
   その時、部屋の中はドヤドヤと大勢の女性たちが入ってきた。
(おおー、美女軍団だ)
   アンドルーを押しのけ、ベッドの周りを囲んだ。
「陛下、お気がつかれましたか」
「陛下、看病は私にお任せください」
「いいえ、私が致します」
「何を、私です」
   美女達が周りで言い争っていると、後ろから凛とした声が聞こえて来た。
「何を騒いでいるのですか」
   その声に美女達は我に返ると、サッと二手に分かれた。モーゼか。
   背後には目を見張る程の美女が立っていた。彼女は静々と側に来た。
「気分はどうですか」
   俺はアンドルーを見る。
「皇太后のコーデリア様です」
   皇太后って・・・亡くなった王の奥さんの事だよね。と、言う事はオレのお母さん⁈
「ケチャット医師が言った事は本当にみたいなですね」
「本当に記憶が無いのですか」
   皇太后の後ろから、俺好みの可愛い子が顔を出した。 よほど惚けた顔していたのか、皇太后が厳しい目をして俺を見た。
「妹のフィオナです」
  妹なのか。残念。 
「まあ、気が付いたなら安心ですね。看病は然るべき者がしますので、皆さんはお帰りを」
   鶴の一声。美女達は不満を漏らしながらも、部屋を出て行った。それを見て、皇太后もフィオナちゃんを伴って出て行く。騒がしかった部屋が静かになる。
「あの美女達は何者?」
   俺はアンドルーに尋ねて見る。
「陛下のお妃様達です」
「へっ?」
   お妃って王の奥さんって事?
「この国って一夫多妻なの?」
   何を言っているのだとばかりに、アンドルーはため息をつくと説明し始めた。
「お妃と言っても妾妃と言うのが本当で、俗に言う愛人の事です」
「えっー、二十人位いたよね?」
「以上です」
(オレってどんだけ絶倫なんだよ!)
「と、言う事は正式な奥さんは居ないっと事?」
「王妃様はいらっしゃいます」
「居るんだ・・・」
   どんな女性かなと想像してたら、アンドルーがトドメの一言を放った。
「男性ですが」
(ドッヒャアーー!!)
   ここにオレが居たら言いたい。どれだけいい加減なんだよーーー!

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