きのまま錬金!1から錬金術士めざします!

ワイムムワイ

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クエストを請ける

失敗/2人掛り/センニン

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「おーし!今日から本格的に錬成するぞ!」
「おー!(ノリ)」
「あの~。ウリリちゃんはぷちスライムのお世話ね?一応」

 毒の中和が出来た次の日。
 ついに、その成果を活かすべく地下室で錬成を開始した。

「まず、何を作りたいか具体的にイメージしながら錬成をする・・・・・・」

 トラジはエリィの言ってたことを反芻する。

「これは概念錬成でも必要な事なんだけどね。作りたいものが決まっているなら、とにかく具体的にイメージしながら錬成するさね。あとは、錬金棒からとにかく情報を引き出す事。錬金壷の中の状態は当然だけどね。何が出来ようとしてるか先の情報も引き出す事さね」
「先って・・・・・・。そんな未来視みたいなことできるのか?」
「あの~、そんな事出来るんですか?」
「できる。と言っても勘みたいなあやふやなもんだけどね。才能のないとことん勘を外すようなポンコツ錬金術士もいる。だけどね、一流の錬金術士は勘を外さないのさ。『使えない勘はドブにでも捨てろ、使えるなら最強の相棒にしろ。最強の相棒こそが一流の証だ』私の師だった人の言葉さね。懐かしいねぇ」
「その勘みたいなもんを引き出すコツはないのか?」
「え~と、その引き出すコツを教えて欲しいそうです」
「コツ?私の場合はなんとなくできちまうしねぇ。コツねぇ・・・・・・」

  クソォ!これだから天才は!!

「んー・・・・・・。うまく出来ないなら、より多く魔力込めてもらえばいいんじゃないかい?んで、何が出来ようとしてるか分かるようになったら、同じ要領で作りたい物のイメージには何が足りないかの情報を引き出すのさね。錬成に使った材料が正解に近ければ近いほど、ハッキリ分かるからそれもヒントにするさね」
「魔力か・・・・・・」
「が、がんばります~・・・・・・」



 トラジは言われた事を思い出しながらミィナの方を見やる。
 目を閉じて魔力のコントロールに集中していた。

  練習の甲斐あって鍋の中の魔力量もなんとなく分かるようになったから、ミィナが頑張ってくれている事が良く分かる。
  少しだが、昨日より鍋の中の魔力量が多い感じがする。
  まずは、イメージしながら何が出来ようとしてるか情報を引き出すんだ・・・・・・。

 錬金棒で掻き回し続けた結果、燃えカスのような物が出来た。
 もっとも、失敗することを考慮して値段の安い組み合わせで錬成している。

「ダメだ・・・・・・。まったく分からんまま錬成が終わってしまった」
「ご、ごめんなさい~・・・・・・」
「ミィナだけのせいじゃないからな。謝る必要はないぞ。しかし、このままだとまた材料を無駄に消費しそうだな・・・・・・」
「ですね~、お金も余裕がないですし・・・・・・」
「あ、いたーーー!!」

 地下室にやってきたのはウリリだった。

「どうしたウリリ?」
「なんていってるかわからないけど、とにかくくるのー!」
「え~と、ウリリちゃん何があったの?」
「げんかんで、ごんごんってするやつがきたー」

 うちにやって来たのはヤガタだった。
 なんでも、冒険者ギルドの方でスライムの新しい情報が出てたらしい。

「粉作りの資金調達の為に、また生息域調査の同行者のクエストを請けたんだけどさ。今日冒険者ギルドに行ったら、昨日スライムが町で見つかった情報があったんだよ」
「それは~、やっぱり紫の・・・・・・?」
「まさか討伐された!?」
「普通のスライム2匹を冒険者が倒したのと、裏路地の方で色は不明のでかいスライムが出たんだと。でも、逃げられたらしい」
「それは良かった。まだいるんだな」
「だけど・・・・・・、まだ町に居る可能性高いからって冒険者ギルドが町中にいるスライムの捜索を強化するようなんだ。もしかしたら数日中には倒されるかもしれない」
「マジで急がなきゃか・・・・・・。ヤガタ教えてくれてありがとうな」
「トラジさんが~、ヤガタくんありがとうって言ってます」
「礼はいいって。んじゃ、俺は粉作りの為の資金調達に戻るな!」

 ヤガタはそう言って帰って行った。

「しかし、どうしたもんかな。まだまだ出来そうにないぞ・・・・・・」
「わ、私が~、頑張らないと・・・・・・」
「ミィナは今でも頑張ってくれてる。それは俺が保障するから、あまり気負いすぎないようにな」
「は、はい~。でも私に任せてくださいって、言ってみたい自分もいるんですよね。・・・・・・私じゃ力不足で言えないですけど」
「力不足の前に、ミィナには似合わないセリフだしなぁ」
「え~と、やっぱり似合わないですか?」
「だな。むしろ俺に任せろ!って俺が言いたいところだな」
「あ~、確かに。ご主人様が言うとカッコイイですね」
「だが、ここは黒猫に頼みに行ってみよう」
「え~と、黒猫さんに何を頼むんですか?」
「魔力」
「はい~??」

 ミィナはどういう意味なのか分からなかったようで首を傾げていた。
 トラジとミィナは黒猫の所に向かった。

「というわけで魔力をお願い出来ないか?」
「どういう事か意味が分からないわ。魔力を込めるのは使い魔であるミィナさんの役目でしょう?」
「で、ですよね~・・・・・・」
「ミィナは当然頑張ってくれてる。それでも、魔力がまだ欲しい。だからミィナと黒猫の2人掛りで魔力を込めれないかと思ってな」
「正確には1人と1匹ね。でも正直すごい発想だわ。錬金術士1人に対して使い魔が1匹なのが普通だし、複数の使い魔で協力して錬成なんて聞いたこともないもの」
「やっぱ無理だったりするのか?」
「前例がないけど・・・・・・、出来ると思うわ。でもね?私だけじゃないけど、この時期の組合は忙しいの。時間的な余裕がないわね」
「そこを、なんとかお願いできないか?」

 黒猫は押し黙る。
 やがて、黒猫はあえて言うまいと思っていた事を言うことにした。

「言わないでおこうかとも思ったのだけど・・・・・・、言わせて貰うわね。あのウリリという子の依頼は諦めるべきよ。違うわね。もう辞めなさい」
「なんでそんな事言うんだ?」

 トラジはムッとした様子で黒猫に聞いた。

「あなた達も分かってるんじゃない?だから冒険者ギルドに働きかけたのでしょう?聞いたわ紫色のスライムはチェンジャードスライムだって話。失念してたけど、あなた達には危険すぎる相手よ。それに、依頼の難易度自体があなた達には高すぎるのもある。錬成の為の材料費・・・・・・、もう相当無理してるんじゃない?このままじゃ、あなた達の生活が苦しくなるだけだわ。だからもう――」
「断る!!冒険者達が倒したなら諦めるが、そうなるまでは続ける。そう決めたんだ。もしここで辞めたら、ウリリが危険な事をするかもしれない!ミィナよりも幼い子供をほうっておけってか!!」
「だとしてもあなた達には手に余る事は確かだわ。だからわ――」
「もういい!ミィナいくぞ!!」
「あっ、え~と。わ、分かりました・・・・・・」
「えっ・・・・・・」

 トラジとミィナは何か言いたげだった黒猫を残し組合を後にした。

「・・・・・・だから私がなんとかしてみるわ。・・・・・・そう言うつもりだったのに。何でよ、・・・・・・何で最後まで聞いてくれないのよ。・・・・・・ばか」

 黒猫は誰にも聞かれることない言葉を哀しげに続けた。

「ご主人様~、あんな風に言ってしまって良かったんですか?」
「悪い。つい頭にきてしまった。だが、ここで投げ出すつもりはないのは本気だ」
「私は~、ご主人様に付いて行くだけですけど、・・・・・・次はどうしましょうか?」
「ミィナ、ご主人様呼びになってるぞ」
「ご、ごめんなさい~」

 トラジはしばし考える。

  まずは状況整理だ。
  欲しいのは、時間的な余裕か圧倒的時短。それと、錬成の経験・・・・・・いや錬成できる回数だな。そのための材料か材料費。成功率を上げる為の魔力・・・・・・。
  いっそ採集で自力で集めるか?いやそんな時間的な余裕ないな。それに早鳴きトサカがコカトリスとかならやべーわ、どう倒せっつーんだ。
  錬成回数だけならもっと安い材料で作れる別のアイテムでもいいか?

「なるほどな」
「え~と、何か分かったんですか?」
「ちと、名案が浮かんだ。リーヤのとこに行ってくれ」
「了解です~」

 ミィナとトラジはリーヤの家を訪れた。

「どうしたの?ミィナちゃんにトラジちゃん」
「リーヤは今スライム避けの粉作ってるよな?その錬成を俺達にやらせてくれないか?あとリリの力も借りたい」
「えっと~スライム避けの粉の錬成をさせて欲しいのと、リーヤちゃんの使い魔のリリちゃんの力も借りたいってトラジさんが・・・・・・」
「いまいちよく分からないわ。もう少し説明してもらえる?」

 トラジとミィナは自分達の現状と今欲しい物をリーヤに伝えた。

「なるほどね。失敗しまくるとは聞いてたけど、本当大変そう。トーマスさんは兎に角依頼こなして経験を積むようにとしか言われてないけど、錬成の経験も大事ってことなのね」
「悪い・・・・・・。リーヤの経験奪うような事を頼んでしまって・・・・・・」
「ごめんなさい~。リーヤちゃんだって錬成の経験は必要なはずなのに、こんな事頼んでしまって・・・・・・」
「いいのいいの、気にしないで。錬成の経験も大事だろうけど、知らなかった事を教えて貰えたしその対価と思えば安いくらいよ。そういう事なら材料はあげる。でも、リリは無理ね。気分屋でなかなか起きてくれないし、やる気になってくれないから難しいと思う」
「だめか・・・・・・」
「ごめんね。でも、そういう事ならアメリーの使い魔のセンニンを頼ると良いかも」

  ん?仙人?

 トラジの脳裏でサングラスの白髭で杖もった爺さんがぱふぱふと言っていた。

「えっと~、そのセンニンさんってどういう子なんですか?」
「アメリーやリリから聞いた話だけど、かなり大人しい子みたい。言う事をよく聞いてくれるし、活動時間も長いみたいだから力になってくれると思う」
「ありがとうリーヤ。助かる」
「トラジさんが~、ありがとう助かるって言ってます」
「こっちこそ良い情報貰ったわ。がんばってね」

 トラジとミィナはアメリーの家に向かった。

「なるほど、なるほど。それで、センニンの力を借りたいと。友情!努力!勝利!ってやつね!燃えるわー!!・・・・・・じゅるり」
「だ、だめでしょうか~・・・・・・」
「センニンがいいなら私はいいかな。ついでに私の分の材料も渡すから、ちょっと待ってて」

 そう言って少し長めに待たされ、戻って来たと思ったらなぜか服まで変わっていた。
 浴衣姿だった。眼鏡のフレームカラーに合わせた紺色の浴衣だ。

「お待たせー。センニンもOKだって」
「えっと~、どうして着替えてきたんですか?」
「ふっふっふ。それは勿論!先出しになるけど、新しい服をみせ・・・・・・試してみたかったからよ!」

  それ、普通に見せたかったからでいいだろう。
  なぜ言い換えた・・・・・・。

「というわけで、ミィナちゃんここ持って」
「えっと~、持ちましたけど・・・・・・」
「そしたら、こう・・・・・・、グイッと引っ張ってみて」
「では~、引っ張りますね。えい!」
「あ~~~れ~~~~!お~~た~~す~ぐべっし!!」

  それがやりたかっただけかい!!
  試すってそういうことだったわけかよ!

 ミィナはアメリーの浴衣の帯を勢いよく引っ張ると、アメリーはコマのように回転しながら・・・・・・、壁に激突した。

「ご、ごめんなさい~!!だ、大丈夫ですか!」

 何がなんだか分からないミィナは、自分の所為かもと思い慌てた。

「あー大丈夫大丈夫。ネタにするには、もうちょっと短めの帯の方がよさそうね。なるほどなるほど」
「アメリー!あんた玄関で何バカな事してんの!ちょっとこっち来なさい!!」
「げ・・・・・・!!ミ、ミィナちゃんそ、そういう訳だからセンニン預けた!!」

 アメリーはセンニンを置いて母親と思われる声のした方へ小走りに走って行った。

  叱られるんだろうなぁ。

「え~と?」
「ミィナ・・・・・・、相手の恥を見ないようにするのもある意味武士の情けってやつだ。行こう!」
「そのぉ~、ぶしのなさけって何ですか?」
「グゥ、グゥ・・・・・・」
「な、なるほど~」

  亀って声だせるんかい!
  知らんかったが、まぁいいか。
  それよりだ。これなら久しぶりに俺は歩きで、センニンが抱っこで鞄は材料だな。

「さて、荷物一杯だし俺は歩きだな」
「え~・・・・・・」

 ミィナはあからさまに嫌そうにする。

「でも仕方ないだろう。荷物もあるし、センニンに歩いてもらうには距離があるし」
「グゥ、グゥ、グゥゥ」
「えっと~、いいんですか?」
「グゥ、グゥッ・・・・・・」
「ありがとうございます~。もちろん、用意しますね!」

 ミィナは鞄に材料を入れてその上にセンニンを置いた。
 入りきらない材料の上のセンニンがずり落ちそうで怖いが、鞄の端を咥えて落ちない姿勢を見せる。

「なぁ、センニンはなんて――」
「武士の情けです~。行きましょう!」

 トラジは結局ミィナに抱きかかえ上げられてしまった。

  うそーん!
  センニンのやつ何言ったか知らんが余計な事を~!

「結局こうなんのかよーーー!!」

 結局、いつも通りにトラジは抱っこされて帰ったのだった。
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