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クエストを請ける
逃げちゃいます?/足りないもの/準備
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錬金棒に全神経を集中する。
漠然と探すのではなく、手探りで一つ一つ可能性を頭に思い浮かべ探っていく。
足りない物の、色、形、匂い、大きさ、数・・・・・・etc。
何度も、何度も。繰り返し確かめていく。
「ダメだ・・・・・・。なんだろ、黒いような白いような何かな気がするがそれ以外はっきり分からない。いや、こんなんじゃ何も分からないのと変わらない・・・・・・」
「ご主人様~・・・・・・」
「心配そうな顔するな。大丈夫だ必ず完成させる」
と、言ったもののどうすればいい?
このまま俺の力量が上がるまで、強引にやり続けるか?
それは無理か。俺の体力も持たないだろうし、材料の消費量がどれほどになるか想像が付かない。
魔力だってミィナとセンニンに頑張って貰っている状態だ、正直十分な量を込めてもらえてるはずだ。魔力を増やすメリットは薄いかもしれない。
「ミィナ、センニン疲れてるだろ?一度休憩してからにしよう」
そう言うと、トラジは地下室を出て行った。
「は、は~い。センニンさん休憩だそうです」
「グゥ、グゥ」
「はい~、すぐ用意しますね」
「グゥ、グゥ、グゥグヮ、ググゥ」
「なるほど~、ご主人様に伝えておきますね」
「グゥ」
トラジが地下室を出るとぷちスライムの観察をしてたウリリと鉢合わせた。
「ねこちゃん。だいじょうぶ?」
ウリリには元気がなさそうに見えたのだろう。
心配をするように顔を覗き込み、手でトラジの頭を撫でた。
「ああ。大丈夫だ。あと少しで完成させるからな!」
トラジは元気よさそうにそう答えてみたが、言ってから気付く。
「そうか、そういや言葉が通じないんだったな・・・・・・。やっぱ思った以上に俺は疲れてんのかもな・・・・・・」
「にゃーにゃーでわからないけど。ごめんね。でもいそいでね、おねがい!」
「おう!」
そう答えてみるも、何か名案がある訳でもない。
トラジは近くの窓を器用に開けて外に出て、外の空気を吸い風に当って気分を紛らわせていた。
「ご主人様~、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思うが、休憩がてらちょっと無心で風に当りたくてな。というか、よく外にいるって分かったな?」
「それはですね~、ご主人様の匂いがしたので」
ミィナは笑って答えた。
「・・・・・・は?」
ナニそれ怖い!
「冗談ですよ~、実はウリリちゃんが教えてくれたんです」
「な、なんだビックリした・・・・・・」
「あの~、もう一度聞きますが大丈夫ですか?」
「ああ、大じょ――」
「ご主人様~、辛いならこのまま私と一緒に逃げちゃいませんか?」
「ぶっ!!!お、おま、いったい何を言って・・・・・・。それに、今逃げたら・・・・・・。あれだけみんなの世話になってここまで来たんだぞ?そんな事したら、うおっ!」
ミィナはトラジをいつものように抱きかかえた。
「わかってます~。この町を出て暮らした方がいいかもしれないですよね?」
「分かっててなんで・・・・・・」
「だって~、今の私にとってご主人様が一番大事で大好きですから。ご主人様がつらくて苦しい思いするくらいなら、すべて捨てて逃げてでも私は一緒について行きます」
なんだろな。
なんか暖かいな。
ミィナの体温だけじゃない。心の奥がなんかあったかくなるな。
つっても、そんな事できるわけないがな。
ウリリのためにも、そしてミィナのためにもだ。
「おいおい。それじゃまるで俺が失敗だけして終わるやつじゃないか。もっと俺を信じろって」
「信じてますよ~。でも辛そうだったように見えたので、言ってみちゃいました」
軽く舌を出しつつまるで冗談だったかのようにとぼけたミィナだった。
だが、先ほど言った事はミィナの本心で言ったものだ。
もし、トラジが逃げるような事を言おうものなら即実行に移したことだろう。
「大丈夫だって。ここまで来たらウリリの為だけじゃない。ミィナのためにも完成させてやるさ!」
「それでこそいつものご主人様です~。あ、それとセンニンさんからの伝言ですけど、地下室の魔力が薄くなってきてるので続きは外でやった方がいいかもとの事です」
「分かった。なら続きは日が落ちてからだな。明かりの準備と飯を済ませて、夜になるまで休憩にしよう。ミィナは先に戻ってウリリやセンニンに話しておいてくれ。俺はもう少し風に当ってから戻る」
「了解です~」
ミィナは玄関のドアの向こうに行きドアが閉まった。
「ありがとなミィナ。ちょっとばかし元気になれたわ」
恥ずかしくて直接言えなかった言葉を玄関に向かって言った。
トラジは太陽が落ち始めた空をしばし眺めから家に入り休んだ。
果報は寝て待て。
日が落ちるまで寝て、気力体力を万全にしてやってやろうじゃないか!
そしてウリリは帰り、日は落ちて月と星がそらに舞う時間となった頃。玄関の前に明かりを付けた。家の中にあった3つのランプに松明が一つ。どちらも魔力を使わない普通の明かりだ。
それらが辺りを明るくした。
「夜中にこういうのは~、初めてですけどお祭りみたいで楽しくなってきますね」
「楽しいのは最初だけで、こっからまた失敗しながらの手探りだからな。どうだ?肝試しみたいに怖くなってきたろ」
冗談と分かりやすい口調でトラジは言ってみた。
冗談で場の空気を和ませようとしたのだが、ミィナによってその目論見は失敗する。
「肝試しは~、知らないですけど。楽しいのは最初だけなのはよく知ってますよ?初めて行ったお祭りでは両親とはぐれまして、泣きながら両親を探して歩き回り足を痛めましたし。次の年のお祭りでは、屋台で買って貰って食べてたお菓子を男の子に持ってかれて泣いたりしたので」
いい思い出ではないはずだが、ミィナ自身はあまり気にしてなさそうな口調だった。
だが、その話によって空気が少し重くなった気がした。
「悪い・・・・・・。次は最初から最後まで楽しい祭りにしような・・・・・・」
「グゥ、グゥ・・・・・・」
「私は~、ご主人様がいればそれで大丈夫です。センニンさんも気遣いありがとうございます」
ちなみに、今よりももっと幼かったミィナのお菓子を強奪したのはヤガタである。
当時、ヤガタはお面をしていたのでミィナはその事を未だに知らない。
「なんだか楽しい事になってるじゃないさね」
「お、おじゃま・・・・・・、するわね」
「お、おう・・・・・・」
そこに、エリィと黒猫がやって来た。
だが、黒猫は顔を合わせづらいのか、エリィの影から顔を少し覗かせていた。
「黒猫!いつまでもシケた顔してんじゃないよ!少しは空気読んであわせな!」
「ご主人様には私の空気を読んで欲しいです!」
エリィはそんな事知らないといった感じで話を進めた。
「夜中にすまないけどね、例の設計図のやつが出来たから持ってきたさね」
よく見たらエリィは左手で2つのライン引きを持ち肩に担いでいた。
「仕事を放り出して・・・・・・、ですけど」
「ほんとは家の前にコイツを置いて、帰りに酒場にでもよるつもりだったんだけどね。面白そうだからちょっと見学させて貰うさね」
「酒場は初耳です!何考えているんですか!」
「ああもう!うっさいさね!あんたはとっとと猫スケと仲直りしてきな!顔合わせづらいからってあたしに構うんじゃないよ!」
「そ、それは・・・・・・」
黒猫は視線を自分の足元に合わせ固まってしまった。
「あの~、ご主人様・・・・・・」
「大丈夫だ。ミィナ分かってる」
トラジは黒猫の前まで歩き、声を掛けた。
「そのー、なんだ。黒猫・・・・・・」
黒猫とトラジが言った瞬間、黒猫がビクッとして身構えた。
「あの時は俺が悪かった・・・・・・。だからな、許してくれないか?」
黒猫はゆっくり顔を上げた。
その顔は不安から開放された直後のような涙目だった。
「ほ、ほんとよ!あの後私がどれだけっ・・・・・・」
「もしかして、泣かせちまったか?」
「な、泣いてないわよ!!」
「組合の部屋の隅でしょんぼりしてたのは見たけどねぇ」
「してない!してないわ!ご主人様はちょっと黙ってて!」
エリィは面白いものをみるようににやついていた。
「と、とにかく!あの時は私も悪かったわ。だから・・・・・・、そう!これはおあいこ!あいこなんだからね!だからっ、その・・・・・・」
黒猫は言葉をつまらせた、言っていいものかどうか迷った為だ。
トラジはその言葉の続きを静かに待った。
黒猫は恐る恐る詰まらせた言葉を言うことにした。
「許す。・・・・・・許すから、わ、私を嫌いにならないで頂戴・・・・・・」
「ぶっ!!!あはははー!!まさか、こーーんな乙女チックな黒猫を見る日が来るとはねーー!!ほんと、猫スケが来てから楽しくなってきたさね!!」
「ちょっと!大事な所なのに何故笑われるのかしらね!!」
「あー、悪いねーでも、もう我慢できなくってねー!あはははー!!」
「もう・・・・・・」
「大丈夫だ。黒猫を嫌いになんてなってなってないからな。これからもよろしく頼むな!」
「そ、そう・・・・・・。わかったわ。よろしくお願いするわね」
黒猫は恥ずかしいのかトラジに背を向けて、ミィナの方に歩いて行った。
「ミィナさんもごめんなさいね」
「私は~、気にしてませんから大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」
「良かったわ。それと、この子は・・・・・・」
「グゥ、グゥ、グヮッグゥ」
「なるほど、アメリーさんの使い魔なのね。よろしくね」
「で、猫スケ達は外で何しようとしてたんだい?」
トラジとミィナはこれまでの事を説明した。
「そういう事かい。で、猫スケ。あんたはこのまま続ければ出来ると思うかい?」
「できる。なんとなくだが、そんな気がする・・・・・・」
「えっと~、できる気がする、とそう言ってます」
「ということは、概念錬成は必要ないんだろうねぇ。なら猫スケ達で出来る可能性は十分あるさね。諦めずやるだけやりな。もしもの時の責任はあたしがとってやるさ」
「い、いいのか?俺とミィナで勝手に依頼請けて周りを巻き込んでやってきたのに・・・・・・」
「本来なら個人で請けた物は、自己責任になるところね。でも、ご主人様が自分でこう言ったのだから、これもある意味ご主人様の自己責任よ。だから任せていいわ。いつもちゃらんぽらんなんだから苦労すべきなのよ。そ、それにね。周りを巻き込んだのに、わ、私を巻き込まないのは寂しいじゃない・・・・・・」
「さりげなく私達じゃなく私と言う辺りが可愛いさね」
「ま、間違えただけよ!」
「でもま、そういう事だから後の事は任せな。黒猫あんたも錬成に協力してやんな。魔力が多いほど錬成にかかる時間も増えるからね、何かを掴みかけてるならその方が猫スケもいいだろう?」
「黒猫たのめるか?」
「ミィナさんにセンニンさん、それと私。こんな錬成初めてだけど、面白いわ。当然やらせてもらうわね」
トラジ達は錬成を開始した。
なんだろうな、この感じは。
色んな不安が無くなって、胸の辺りが暖かくてさ。
高揚感・・・・・・、とでも言うのかやる気が手の先まで満ちてくる感じがするな。
「みんな頼むぞ!!」
「了解です~!」
「任せなさい」
「・・・・・・グゥ」
猫語が分からなかった為に少し遅れてセンニンが返事をし魔力を集め始めた。
「こんな錬成見たことも聞いた事も無いさね。ほんと面白いやつだね猫スケは」
みんなの協力によってなんとかヒントを掴む事に成功したトラジはエリィに質問をした。
「なぁ、黒いような白いような丸い柔らかでかちこちしたものって何か分かるか?」
「え~とですね、黒いような白い柔らかくてかちこちしたものは何?って聞いてます」
「知らないさね。それが分かったヒントかい?」
「ああ」
「みたいです~」
「あやふやだねぇ。多分だけどねそれは1つの物じゃないね。2~3はあると思うさね。とりあえず、自分の知ってるものか知らないものか、次の錬成はそこ注意してみな」
「わかった」
トラジは足りない物が見たことある物かそうでないか、そこだけに集中して錬成した。
「どうだったさね?」
鍋の中の燃えカスを見つつトラジは結果を答えた。
「俺の知っているものみたいだった」
「えっと~。ご主人様の知っている物、だそうです」
「んじゃ、もうゴールは近いさね。複数で自分の記憶にある物。それを探して試せばいいさね」
「エリィ助かった!ありがとう!!」
「エリィさん~、ご主人様が助かったありがとうって――」
「礼はいらんさね。さぁー黒猫戻るよ。頑張る猫スケ見てたら、なーんか真面目に仕事やろうって気分になったさね」
「あのご主人様が真面目になんてね。逆におかしい気がするわ。でも、分かりました」
黒猫はスタスタ組合に向かうエリィにそう答え、トラジ達に向き直る。
「トラジとミィナさん。そういう訳だから私達は戻るわね。あと頑張ってね」
「おう!」
「もちろんです~。ありがとうございました」
エリィと黒猫は組合へ戻って行った。
「あとは、推理の時間だな」
「確か~、黒いような白いようなで丸くて柔らかでカチコチでしたね」
「複数らしいからな。だとすれば黒と白は別で柔らかとカチコチも別。そう考えるのが自然だな。黒くてカチコチなやつと白くて柔らかいやつとなんか丸いやつ?」
「えっと~、逆に黒くて柔らかくて丸いものかもしれませんね」
「グゥ、ググゥ」
「そ、それは~、本当なんですか!?」
「グゥ、グヮッグゥ、ググゥ」
「センニンはなんて言ったんだ?」
「その~、黒くて丸い物と白くて硬そうなのを見たらしいです」
「どこで?」
「それが~、私達の家らしいです・・・・・・」
「え?」
トラジとミィナはセンニンが見たらしい場所に向かった。
その場所は融合液も置いていた、ぷちスライムの世話係ウリリの仕事場だ。
「なるほどな・・・・・・。うんちにハナクソか」
「ウリリちゃん~、捨てずにビンに入れてくれてたんですね」
「子供は珍しい物や使えそうとかカッコイイやカワイイと思ったものを集めるの好きだからな。たとえ大人から見たらガラクタでしかなくてもな」
「私も~、そんな時期がありました」
「ん?いったい何を集めてたんだ?」
「はい~、自分の抜けた髪の毛です」
何ソレ!キモッ!
「な、なんでそんなもんを・・・・・・」
「えっとですね~。私の髪って桃色じゃないですか。集めて筆とか作ったら色的に可愛いかもと思ったので。でも、知らないうちにお母さんに全部捨てられていたようです」
「桃色の筆か・・・・・・」
桃色は女の子が好きそうな色ではあるか、そういう事なら理解できなくもないな。
しかし、筆とか需要あるだろうか?
筆なんて色のついた液体につけて使うしな、筆の色とかいらん気もする。
「ま、何にせよ。これで依頼達成できるな!」
「ですね~!」
トラジとミィナそれとセンニンは、スライムのうんちとハナクソを使って対スライム用の毒の粉を完成させて煙玉用の入れ物に毒の粉を詰めた。
「あとは、これ作ってしまいだな」
「何をつくるんですか~?」
「スライムを炙り出す為のやつだな」
トラジとミィナは必要なものを作り終えて、明日の為の準備を整えた。
「明日だ。朝一で組合に行って黒猫に鑑定してもらう。んで、出来ていたらリーヤ達の手も借りてスライム狩りだ!」
「はい~、いよいよですね!」
「ああ!」
そして、組合のエリィの仕事場。
「なんだい黒猫?さっきからこっちばっかり見て」
「ご主人様がまじめに仕事をする姿、初めて見たと思ったので」
「珍しいってのは確かだけどね。乙女チックな黒猫程じゃないさね」
逆に弄られると思ってなかった黒猫は慌てて答える。
「わ、私は乙女チックとかじゃありません!!普通です普通!!」
「・・・・・・普通ねぇ」
「ご主人様・・・・・・?」
「ああ、悪いね。猫スケの事でちょっと気になってた事があってね」
「ま、また私をそうやってからかう気なんでしょ?その手には乗りませんからね」
黒猫は警戒気味に答えた。
「違うさね。猫スケの練成を今日直に見たわけだが、魔道具をちゃんと扱えていたからね。ま、使い方がまだまだ雑ではあったけどね。この意味黒猫だって分かるだろ?」
エリィは正直ウリリの依頼は失敗に終わるだろうと予想していた。だが、それが間違いだった事を目の前で見せられ驚いていたのだ。
「・・・・・・ええ、まぁ。普通、人ではない他の動物は魔道具を扱う事が基本的に難しい。ですよね」
「そうさ。元々、道具を使う習慣が殆ど無い動物は、本能的に魔道具を扱う事が難しいのさ。ま、人に近いとされる猿とかなら簡単な物なら1つか2つくらいは使い方を覚えさせる事も出来なくはないけどね。猫スケは猫。はっきり言って黒猫と同じで、魔道具なんて扱えないはずなのさ」
「・・・・・・やっぱり変でしょうか?」
黒猫は気になる相手が普通じゃないと、言われてるようでちょっと落ち込んだ。
「違うさね。こういうのを特別って言うんだよ。良かったじゃないさ、惚れた相手の価値がそれだけ高いって事なんだからね」
「ほ、惚れたって・・・・・・。あっ!!やっぱりそうやって私をからかう気だったんですね!!」
「なんだい、もうバレたのかい。つまらないねぇ」
「つまらないじゃないですーーー!!」
漠然と探すのではなく、手探りで一つ一つ可能性を頭に思い浮かべ探っていく。
足りない物の、色、形、匂い、大きさ、数・・・・・・etc。
何度も、何度も。繰り返し確かめていく。
「ダメだ・・・・・・。なんだろ、黒いような白いような何かな気がするがそれ以外はっきり分からない。いや、こんなんじゃ何も分からないのと変わらない・・・・・・」
「ご主人様~・・・・・・」
「心配そうな顔するな。大丈夫だ必ず完成させる」
と、言ったもののどうすればいい?
このまま俺の力量が上がるまで、強引にやり続けるか?
それは無理か。俺の体力も持たないだろうし、材料の消費量がどれほどになるか想像が付かない。
魔力だってミィナとセンニンに頑張って貰っている状態だ、正直十分な量を込めてもらえてるはずだ。魔力を増やすメリットは薄いかもしれない。
「ミィナ、センニン疲れてるだろ?一度休憩してからにしよう」
そう言うと、トラジは地下室を出て行った。
「は、は~い。センニンさん休憩だそうです」
「グゥ、グゥ」
「はい~、すぐ用意しますね」
「グゥ、グゥ、グゥグヮ、ググゥ」
「なるほど~、ご主人様に伝えておきますね」
「グゥ」
トラジが地下室を出るとぷちスライムの観察をしてたウリリと鉢合わせた。
「ねこちゃん。だいじょうぶ?」
ウリリには元気がなさそうに見えたのだろう。
心配をするように顔を覗き込み、手でトラジの頭を撫でた。
「ああ。大丈夫だ。あと少しで完成させるからな!」
トラジは元気よさそうにそう答えてみたが、言ってから気付く。
「そうか、そういや言葉が通じないんだったな・・・・・・。やっぱ思った以上に俺は疲れてんのかもな・・・・・・」
「にゃーにゃーでわからないけど。ごめんね。でもいそいでね、おねがい!」
「おう!」
そう答えてみるも、何か名案がある訳でもない。
トラジは近くの窓を器用に開けて外に出て、外の空気を吸い風に当って気分を紛らわせていた。
「ご主人様~、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思うが、休憩がてらちょっと無心で風に当りたくてな。というか、よく外にいるって分かったな?」
「それはですね~、ご主人様の匂いがしたので」
ミィナは笑って答えた。
「・・・・・・は?」
ナニそれ怖い!
「冗談ですよ~、実はウリリちゃんが教えてくれたんです」
「な、なんだビックリした・・・・・・」
「あの~、もう一度聞きますが大丈夫ですか?」
「ああ、大じょ――」
「ご主人様~、辛いならこのまま私と一緒に逃げちゃいませんか?」
「ぶっ!!!お、おま、いったい何を言って・・・・・・。それに、今逃げたら・・・・・・。あれだけみんなの世話になってここまで来たんだぞ?そんな事したら、うおっ!」
ミィナはトラジをいつものように抱きかかえた。
「わかってます~。この町を出て暮らした方がいいかもしれないですよね?」
「分かっててなんで・・・・・・」
「だって~、今の私にとってご主人様が一番大事で大好きですから。ご主人様がつらくて苦しい思いするくらいなら、すべて捨てて逃げてでも私は一緒について行きます」
なんだろな。
なんか暖かいな。
ミィナの体温だけじゃない。心の奥がなんかあったかくなるな。
つっても、そんな事できるわけないがな。
ウリリのためにも、そしてミィナのためにもだ。
「おいおい。それじゃまるで俺が失敗だけして終わるやつじゃないか。もっと俺を信じろって」
「信じてますよ~。でも辛そうだったように見えたので、言ってみちゃいました」
軽く舌を出しつつまるで冗談だったかのようにとぼけたミィナだった。
だが、先ほど言った事はミィナの本心で言ったものだ。
もし、トラジが逃げるような事を言おうものなら即実行に移したことだろう。
「大丈夫だって。ここまで来たらウリリの為だけじゃない。ミィナのためにも完成させてやるさ!」
「それでこそいつものご主人様です~。あ、それとセンニンさんからの伝言ですけど、地下室の魔力が薄くなってきてるので続きは外でやった方がいいかもとの事です」
「分かった。なら続きは日が落ちてからだな。明かりの準備と飯を済ませて、夜になるまで休憩にしよう。ミィナは先に戻ってウリリやセンニンに話しておいてくれ。俺はもう少し風に当ってから戻る」
「了解です~」
ミィナは玄関のドアの向こうに行きドアが閉まった。
「ありがとなミィナ。ちょっとばかし元気になれたわ」
恥ずかしくて直接言えなかった言葉を玄関に向かって言った。
トラジは太陽が落ち始めた空をしばし眺めから家に入り休んだ。
果報は寝て待て。
日が落ちるまで寝て、気力体力を万全にしてやってやろうじゃないか!
そしてウリリは帰り、日は落ちて月と星がそらに舞う時間となった頃。玄関の前に明かりを付けた。家の中にあった3つのランプに松明が一つ。どちらも魔力を使わない普通の明かりだ。
それらが辺りを明るくした。
「夜中にこういうのは~、初めてですけどお祭りみたいで楽しくなってきますね」
「楽しいのは最初だけで、こっからまた失敗しながらの手探りだからな。どうだ?肝試しみたいに怖くなってきたろ」
冗談と分かりやすい口調でトラジは言ってみた。
冗談で場の空気を和ませようとしたのだが、ミィナによってその目論見は失敗する。
「肝試しは~、知らないですけど。楽しいのは最初だけなのはよく知ってますよ?初めて行ったお祭りでは両親とはぐれまして、泣きながら両親を探して歩き回り足を痛めましたし。次の年のお祭りでは、屋台で買って貰って食べてたお菓子を男の子に持ってかれて泣いたりしたので」
いい思い出ではないはずだが、ミィナ自身はあまり気にしてなさそうな口調だった。
だが、その話によって空気が少し重くなった気がした。
「悪い・・・・・・。次は最初から最後まで楽しい祭りにしような・・・・・・」
「グゥ、グゥ・・・・・・」
「私は~、ご主人様がいればそれで大丈夫です。センニンさんも気遣いありがとうございます」
ちなみに、今よりももっと幼かったミィナのお菓子を強奪したのはヤガタである。
当時、ヤガタはお面をしていたのでミィナはその事を未だに知らない。
「なんだか楽しい事になってるじゃないさね」
「お、おじゃま・・・・・・、するわね」
「お、おう・・・・・・」
そこに、エリィと黒猫がやって来た。
だが、黒猫は顔を合わせづらいのか、エリィの影から顔を少し覗かせていた。
「黒猫!いつまでもシケた顔してんじゃないよ!少しは空気読んであわせな!」
「ご主人様には私の空気を読んで欲しいです!」
エリィはそんな事知らないといった感じで話を進めた。
「夜中にすまないけどね、例の設計図のやつが出来たから持ってきたさね」
よく見たらエリィは左手で2つのライン引きを持ち肩に担いでいた。
「仕事を放り出して・・・・・・、ですけど」
「ほんとは家の前にコイツを置いて、帰りに酒場にでもよるつもりだったんだけどね。面白そうだからちょっと見学させて貰うさね」
「酒場は初耳です!何考えているんですか!」
「ああもう!うっさいさね!あんたはとっとと猫スケと仲直りしてきな!顔合わせづらいからってあたしに構うんじゃないよ!」
「そ、それは・・・・・・」
黒猫は視線を自分の足元に合わせ固まってしまった。
「あの~、ご主人様・・・・・・」
「大丈夫だ。ミィナ分かってる」
トラジは黒猫の前まで歩き、声を掛けた。
「そのー、なんだ。黒猫・・・・・・」
黒猫とトラジが言った瞬間、黒猫がビクッとして身構えた。
「あの時は俺が悪かった・・・・・・。だからな、許してくれないか?」
黒猫はゆっくり顔を上げた。
その顔は不安から開放された直後のような涙目だった。
「ほ、ほんとよ!あの後私がどれだけっ・・・・・・」
「もしかして、泣かせちまったか?」
「な、泣いてないわよ!!」
「組合の部屋の隅でしょんぼりしてたのは見たけどねぇ」
「してない!してないわ!ご主人様はちょっと黙ってて!」
エリィは面白いものをみるようににやついていた。
「と、とにかく!あの時は私も悪かったわ。だから・・・・・・、そう!これはおあいこ!あいこなんだからね!だからっ、その・・・・・・」
黒猫は言葉をつまらせた、言っていいものかどうか迷った為だ。
トラジはその言葉の続きを静かに待った。
黒猫は恐る恐る詰まらせた言葉を言うことにした。
「許す。・・・・・・許すから、わ、私を嫌いにならないで頂戴・・・・・・」
「ぶっ!!!あはははー!!まさか、こーーんな乙女チックな黒猫を見る日が来るとはねーー!!ほんと、猫スケが来てから楽しくなってきたさね!!」
「ちょっと!大事な所なのに何故笑われるのかしらね!!」
「あー、悪いねーでも、もう我慢できなくってねー!あはははー!!」
「もう・・・・・・」
「大丈夫だ。黒猫を嫌いになんてなってなってないからな。これからもよろしく頼むな!」
「そ、そう・・・・・・。わかったわ。よろしくお願いするわね」
黒猫は恥ずかしいのかトラジに背を向けて、ミィナの方に歩いて行った。
「ミィナさんもごめんなさいね」
「私は~、気にしてませんから大丈夫です。心配してくれてありがとうございます」
「良かったわ。それと、この子は・・・・・・」
「グゥ、グゥ、グヮッグゥ」
「なるほど、アメリーさんの使い魔なのね。よろしくね」
「で、猫スケ達は外で何しようとしてたんだい?」
トラジとミィナはこれまでの事を説明した。
「そういう事かい。で、猫スケ。あんたはこのまま続ければ出来ると思うかい?」
「できる。なんとなくだが、そんな気がする・・・・・・」
「えっと~、できる気がする、とそう言ってます」
「ということは、概念錬成は必要ないんだろうねぇ。なら猫スケ達で出来る可能性は十分あるさね。諦めずやるだけやりな。もしもの時の責任はあたしがとってやるさ」
「い、いいのか?俺とミィナで勝手に依頼請けて周りを巻き込んでやってきたのに・・・・・・」
「本来なら個人で請けた物は、自己責任になるところね。でも、ご主人様が自分でこう言ったのだから、これもある意味ご主人様の自己責任よ。だから任せていいわ。いつもちゃらんぽらんなんだから苦労すべきなのよ。そ、それにね。周りを巻き込んだのに、わ、私を巻き込まないのは寂しいじゃない・・・・・・」
「さりげなく私達じゃなく私と言う辺りが可愛いさね」
「ま、間違えただけよ!」
「でもま、そういう事だから後の事は任せな。黒猫あんたも錬成に協力してやんな。魔力が多いほど錬成にかかる時間も増えるからね、何かを掴みかけてるならその方が猫スケもいいだろう?」
「黒猫たのめるか?」
「ミィナさんにセンニンさん、それと私。こんな錬成初めてだけど、面白いわ。当然やらせてもらうわね」
トラジ達は錬成を開始した。
なんだろうな、この感じは。
色んな不安が無くなって、胸の辺りが暖かくてさ。
高揚感・・・・・・、とでも言うのかやる気が手の先まで満ちてくる感じがするな。
「みんな頼むぞ!!」
「了解です~!」
「任せなさい」
「・・・・・・グゥ」
猫語が分からなかった為に少し遅れてセンニンが返事をし魔力を集め始めた。
「こんな錬成見たことも聞いた事も無いさね。ほんと面白いやつだね猫スケは」
みんなの協力によってなんとかヒントを掴む事に成功したトラジはエリィに質問をした。
「なぁ、黒いような白いような丸い柔らかでかちこちしたものって何か分かるか?」
「え~とですね、黒いような白い柔らかくてかちこちしたものは何?って聞いてます」
「知らないさね。それが分かったヒントかい?」
「ああ」
「みたいです~」
「あやふやだねぇ。多分だけどねそれは1つの物じゃないね。2~3はあると思うさね。とりあえず、自分の知ってるものか知らないものか、次の錬成はそこ注意してみな」
「わかった」
トラジは足りない物が見たことある物かそうでないか、そこだけに集中して錬成した。
「どうだったさね?」
鍋の中の燃えカスを見つつトラジは結果を答えた。
「俺の知っているものみたいだった」
「えっと~。ご主人様の知っている物、だそうです」
「んじゃ、もうゴールは近いさね。複数で自分の記憶にある物。それを探して試せばいいさね」
「エリィ助かった!ありがとう!!」
「エリィさん~、ご主人様が助かったありがとうって――」
「礼はいらんさね。さぁー黒猫戻るよ。頑張る猫スケ見てたら、なーんか真面目に仕事やろうって気分になったさね」
「あのご主人様が真面目になんてね。逆におかしい気がするわ。でも、分かりました」
黒猫はスタスタ組合に向かうエリィにそう答え、トラジ達に向き直る。
「トラジとミィナさん。そういう訳だから私達は戻るわね。あと頑張ってね」
「おう!」
「もちろんです~。ありがとうございました」
エリィと黒猫は組合へ戻って行った。
「あとは、推理の時間だな」
「確か~、黒いような白いようなで丸くて柔らかでカチコチでしたね」
「複数らしいからな。だとすれば黒と白は別で柔らかとカチコチも別。そう考えるのが自然だな。黒くてカチコチなやつと白くて柔らかいやつとなんか丸いやつ?」
「えっと~、逆に黒くて柔らかくて丸いものかもしれませんね」
「グゥ、ググゥ」
「そ、それは~、本当なんですか!?」
「グゥ、グヮッグゥ、ググゥ」
「センニンはなんて言ったんだ?」
「その~、黒くて丸い物と白くて硬そうなのを見たらしいです」
「どこで?」
「それが~、私達の家らしいです・・・・・・」
「え?」
トラジとミィナはセンニンが見たらしい場所に向かった。
その場所は融合液も置いていた、ぷちスライムの世話係ウリリの仕事場だ。
「なるほどな・・・・・・。うんちにハナクソか」
「ウリリちゃん~、捨てずにビンに入れてくれてたんですね」
「子供は珍しい物や使えそうとかカッコイイやカワイイと思ったものを集めるの好きだからな。たとえ大人から見たらガラクタでしかなくてもな」
「私も~、そんな時期がありました」
「ん?いったい何を集めてたんだ?」
「はい~、自分の抜けた髪の毛です」
何ソレ!キモッ!
「な、なんでそんなもんを・・・・・・」
「えっとですね~。私の髪って桃色じゃないですか。集めて筆とか作ったら色的に可愛いかもと思ったので。でも、知らないうちにお母さんに全部捨てられていたようです」
「桃色の筆か・・・・・・」
桃色は女の子が好きそうな色ではあるか、そういう事なら理解できなくもないな。
しかし、筆とか需要あるだろうか?
筆なんて色のついた液体につけて使うしな、筆の色とかいらん気もする。
「ま、何にせよ。これで依頼達成できるな!」
「ですね~!」
トラジとミィナそれとセンニンは、スライムのうんちとハナクソを使って対スライム用の毒の粉を完成させて煙玉用の入れ物に毒の粉を詰めた。
「あとは、これ作ってしまいだな」
「何をつくるんですか~?」
「スライムを炙り出す為のやつだな」
トラジとミィナは必要なものを作り終えて、明日の為の準備を整えた。
「明日だ。朝一で組合に行って黒猫に鑑定してもらう。んで、出来ていたらリーヤ達の手も借りてスライム狩りだ!」
「はい~、いよいよですね!」
「ああ!」
そして、組合のエリィの仕事場。
「なんだい黒猫?さっきからこっちばっかり見て」
「ご主人様がまじめに仕事をする姿、初めて見たと思ったので」
「珍しいってのは確かだけどね。乙女チックな黒猫程じゃないさね」
逆に弄られると思ってなかった黒猫は慌てて答える。
「わ、私は乙女チックとかじゃありません!!普通です普通!!」
「・・・・・・普通ねぇ」
「ご主人様・・・・・・?」
「ああ、悪いね。猫スケの事でちょっと気になってた事があってね」
「ま、また私をそうやってからかう気なんでしょ?その手には乗りませんからね」
黒猫は警戒気味に答えた。
「違うさね。猫スケの練成を今日直に見たわけだが、魔道具をちゃんと扱えていたからね。ま、使い方がまだまだ雑ではあったけどね。この意味黒猫だって分かるだろ?」
エリィは正直ウリリの依頼は失敗に終わるだろうと予想していた。だが、それが間違いだった事を目の前で見せられ驚いていたのだ。
「・・・・・・ええ、まぁ。普通、人ではない他の動物は魔道具を扱う事が基本的に難しい。ですよね」
「そうさ。元々、道具を使う習慣が殆ど無い動物は、本能的に魔道具を扱う事が難しいのさ。ま、人に近いとされる猿とかなら簡単な物なら1つか2つくらいは使い方を覚えさせる事も出来なくはないけどね。猫スケは猫。はっきり言って黒猫と同じで、魔道具なんて扱えないはずなのさ」
「・・・・・・やっぱり変でしょうか?」
黒猫は気になる相手が普通じゃないと、言われてるようでちょっと落ち込んだ。
「違うさね。こういうのを特別って言うんだよ。良かったじゃないさ、惚れた相手の価値がそれだけ高いって事なんだからね」
「ほ、惚れたって・・・・・・。あっ!!やっぱりそうやって私をからかう気だったんですね!!」
「なんだい、もうバレたのかい。つまらないねぇ」
「つまらないじゃないですーーー!!」
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