女神様から同情された結果こうなった

回復師

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王都バスツアー編

4-1 健康診断?王都街道爆走?

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 チロルを今日一日エリカさんに預けようかと思ったが、ナビーが高確率で持ち帰ったまま返してくれなくなるというので止めておいた。

『……それに中途半端な事をしては今は返って可哀想です。チロルともっと連絡を取り合ったのちに、勇者クランなら安心だと彼女が判断できた後に自由に会わせてあげるのが宜しいでしょう』

 娘を取り返したいと思っている間は、会わせてあげた後に引き離すのは返って可哀想だって事か。



 チロルとセバス夫妻を脱衣場に呼び出す。実はこの3人以外、既に出払っている。

「3人にこれから俺の健康診断を受けてもらう」

「健康診断でございますか? 我々3人とも健康体だと思いますが?」
「俺のオリジナルスキルに、表面的なモノじゃなく、内部の体にまだ症状が出ていない病気まで判るようなスキルがあるんだ。2人とも健康そうだけど、念のために調べておこうかと思ってね」

「それは有難いですな。お手数をお掛けしますが、よろしくお願いしたします」

「ではチロルから診るので、服を全部脱いで」
「旦那様……服を全部脱ぐのですか?」

「マイヤーはちょっと恥ずかしいかもしれないが、医者だと思って諦めてくれ。セバスも今更嫉妬とかするなよ」
「…………」

「あなた……信じてお任せしましょう」
「うむ……」

「まぁ、先にチロルを診察しながら説明する。それを見た後で、どうしても嫌なら無理にはやらない」

 セバス夫婦と話している間に、チロルはすっぽんぽんになっていた。

「ご主人様、ぬぎました~」
「よし、じゃあそのマッサージ台に寝てくれるか? 【ボディースキャン】」

 セバスたちにも見えるように【クリスタルプレート】を出して、人型を表示させる。

「この人型がチロルなのだけど、何カ所か色が付いている所が有るよね? そこが体の悪い場所だよ」
「チロル、悪いとこあるの?」

「筋肉疲労と魔素停滞か……うん、病気は無いね。チロルは健康体だ。昨日歩いたので、足と腰にちょっと筋肉疲労が出てるぐらいだよ。この黒い場所は魔力の流れが上手くできてない場所だね。貴族の子だけあって、そこそこ魔力があるのに、上手く使いこなせてないから、ちょっと停滞してしまってるみたいだ」

 魔力を流して、上手く流れるよう誘導する。
 俯けに寝てもらい、筋肉疲労の箇所と魔素の停滞箇所をマッサージで治療する。

「ふゎ~~、ごしゅじんさま~これ気持ちイイです~♪」
「それほど酷い筋肉痛でもないからね。チロルからすれば只、気持ちが良いだけかもね」

 10分ほどで人型のモニターから全て色が消えた。

「次はセバスね」
「ごしゅじんさま、ありがとうです」

 チロルは可愛くお礼を言ってくれた。チロルの診察を見たセバスも迷うことなく全裸になっていた。

「旦那様、よろしくお願いいたします」

「おや……老眼……肝機能の低下……慢性の腰痛……ふむ、腰痛持ちだったのか。体を鍛えている人は成りにくいのにな」

「そんなことまで分かるのですか……」
「うん。全部治してやるからね。魔素の停滞があまり無いのは凄いね。流石って感じだ」

「フゲッ! 旦那様! 腰押されると痛いです!」
「痛いって事は、ちょっと予想以上に悪いって事だぞ? 脊柱管狭窄症に成りかけてるのか……【細胞治療】」

「ご主人様……セバス病気なの?」
「うん? 心配しなくても大丈夫だよ。お年寄りが成りやすいけど、治せるからね」

 本来、脊柱管狭窄症に一度なったら治療法はない……ブロック注射や筋肉を鍛えて、痛みを和らげるよう筋肉増量をしなさいと医者に言われるだけだ。

「よし、完治。肝機能は若い頃のお酒がたたっているんだね。目も治しておいたよ、どう?」
「おお! 目が若い頃のようにくっきり見えます! それに体をひねっても腰が全く痛くない! 凄い!」

 セバスがマッサージ台から降りた頃には、マイヤーが既に裸になって待っていた。

「おまえ……いや、恥ずかしがる方がおかしいな」
「ですね……旦那様、主人を治してくださり感謝いたします。私も診察よろしくお願いします」

「的確に判断できるところはいいね。ここで恥ずかしがって診察を断るのはバカのする事だ。こんなチャンス普通ないからね。じゃあ診るね」

「はい。お願いします」
「マイヤーも老眼が出ているね……軽度の白内障もか……小さい脳腫瘍が有るけど悪性のモノではないね……胃も少し弱っている……少し便秘気味?……後は魔素の停滞が少し有る程度だね」

「旦那様? 妻はどうでしょう? 悪い所が有るのでしょうか?」

 脳腫瘍って聞きなれない言葉で不安になったようだ。

「全部治しておくから大丈夫だよ。胃を治したら、ちょっと食欲が増すかもだけど、便秘も改善するので問題ないはずだ」

 直ぐに治療を終える。

「あ! 本当に目がくっきり見えます! 最近左目に靄がかかったようになって見にくかったのに……ありがとうございます!」

「どういたしまして。それと、ここからが本題なんだ……」

 3人とパーティーを組んで、【コネクト】【カスタマイズ】で3人のステータスに関与する。

 セバスとマイヤーの【身体強化】をレベル10にし、チロルはレベル5に引き上げる。そしてセバスの習得していた【剣王】レベル7を【剣鬼】レベル10にする。セバスには【クリーン】と【アクアラヒール】レベル10と【プロテス】【シェル】もコピーする。マイヤーには【クリーン】と【アクアヒール】レベル10までにしておこうかな。メイドと執事なので、【クリーン】はあった方が良いよね。

「「なっ!?」」
「セバス、体を鍛えてそこまで昇華させているあなたには申し訳ないけど……こういうヤバいスキルを俺は持っている。これはクラン内でも秘密にしている事なので、絶対口外しないでほしい」

 チロルはよく解ってないようだが、それでいい。下手に周りに喋られても困るしね。チロルはまだ6歳なのであまりレベルを上げ過ぎるのも良くないのでレベル5とした。


「何故全員のステータスを引き上げてあげないのですか? そのほうがクランとしての格も上がるかと思われます」

「引き上げるためには、俺の保有ポイントを消費するんだよ。このポイントは魔獣を倒すことでしか得られないから、人に与える前にまず自分に使って強くならなければならない。おいそれと教えられないんだ。『どうして私は上げてくれないの?』とかクラン内で揉めると面倒だろ? 今もセバスにあげた事をアレクセイが知ったら、自分は信用されてないからだ……とか悪い方に取る可能性もあるんだよ」

「そんな貴重なポイントを我々に使ったのですか! このような貴重なものは勇者様に使うべきです!」

 めっちゃ怒られた……言ってる事は理解できる。自分たちに使わないで勇者に使い、世界の危機を救うのが俺の役目だって説教された。

「そう怒らないでよ……セバスに秘密を教え、何故戦力を与えたか……俺たち主戦力の者が留守の間、クランの皆を守ってほしいんだ。俺たちの居た国は平和で、暴力的な事を彼女たちは全く知らない。経験豊富なセバスに彼女たちを守ってほしいんだ。拠点待機組は、俺たち勇者クランの弱点なんだよ。セバスとマイヤーなら貴族の腹黒い部分も知っているだろうから、そういう悪意からも皆を守ってほしいと思っている」

「そういう事ですか……確かに勇者クランを取り込もうとあの手この手でいろんな輩が近づいてくるでしょうな」

「C班は全員上級回復魔法を持ってるけど、チロルや奴隷の娘たちがすり傷を負ったぐらいならマイヤーが治してあげて。止血程度なら初級で間に合うから、その間にうちの誰かを呼べば大抵は大事にならないからね」

「「ご配慮ありがとうございます」」
「ごしゅじんさま、セシルたちもけんこうしんだんしてくれるの?」

 他の娘たちも念のために健康診断しておきたいけど、お年頃の娘さんばかりだし、フィリアと菜奈に任せるかな。

「彼女たちはお年頃だしね……服を脱ぐのは恥ずかしがるんじゃないかな?」
「旦那様……お手数でないのであれば、是非診てあげてほしいです。この魔法は恥ずかしいとかそういうレベルのものではありません。わたくしどもの方で説得いたしておきますので、是非診てあげてください」

 フィリアたちにお願いすればいいのだけど、少しスケベ心が出てしまった。獣娘たちの尻尾の付け根がどうなってるか見たい! おっぱいも見たい! 特にアルヴィナとルフィーナはかなりのモノをお持ちだ。

「マイヤーに説得は任せるよ……でも、強制はしないでね?」

 言ってしまった……バレなければいいか。

「それとこれ……マイヤーに性欲抑止剤、解毒剤、回復剤を渡しておくので、誰か周期に入ったり、怪我や毒なんか受けたら使ってあげて」

 各種回復剤と抑止剤の注入タイプと飲むタイプを5本ずつ渡しておく。

「先日、抑止剤の方は美弥奥様から数本お預かりしておりますが、これも預からせていただきますね」

 流石美弥ちゃん! 俺、さっきスケベ心を出して抑止剤の事に気付いたのだけど……美弥ちゃん良く周りが見えてるな。




 3人を連れて転移魔法でログハウスに移動する。
 一緒に行動しようかと思ったが、一仕事あったのを思い出しここで別れた。

 俺はそのままここである人を呼び出す。

「小鳥遊君、私に何か用かな?」

「こんにちは。山本先生、今日はお出かけしていないのですね」
「昨日必要な物は買い揃えたので、今日はゆっくりしていました」

 俺は山本先生に王都の管理人をお願いした。

「条件は高畑先生と同じです。どうでしょうか?」
「嬉しい! この先、身の振り方をどうしようか迷っていたのです。チートなスキルで冒険者に成るのが一番稼げるとは思うのですが、狼や虎を見てしまったので、ちょっと怖いかなって」

「あ、でも管理人をするならそれなりの戦力は要りますよ。先生自身が強くなる必要はないですけど、盗賊も多いので自衛できるだけの戦力はあった方が良いです」

「冒険者に成りたがってる子たちがいるので、その子たちに王都にきてもらっていいかな?」
「入居の人選もお任せします。造りは商都のモノと一緒で、基本は独身寮です。学園生に拘る必要はないですが、男の侵入は禁止です。トラブルの元ですので、連れ込みや同棲なんかさせないようにお願いします」

「分かりました。私はこの後どうすればいいの?」
「先生の言ってる子たちと後日王都に向かってくれればいいですが、先生1人だけなら、明日一緒に連れて行っても良いですよ」

「私1人なら良いけど、他の子の同伴は駄目って事?」
「ええ、先生1人だけなら余裕がありますが、増えるとちょっと……理由がありまして」

 話し合った結果、山本先生だけ先に王都に俺たちと行って、皆を待つ事にするようだ。

「話は変わるけど、昨日色々あったのは聞いてる?」
「ええ、高畑先生から報告はきています……」

「その感じだと知ったこっちゃない!って感じだね?」
「ええ、事前に何度も注意はしていましたからね」

 色々あったとは聞いてるが、もう俺には関係のない話だ……ちょっと笑える話もあったけどね。


 午後から皆に合流して、いろいろ買い出しをしていたらその日があっという間に終わる。




 翌朝、街の外のお屋敷を収納し、貴族街にあるログハウスに転移して正門に向かう。
 公爵様や神官長までもが勇者のお見送りに来てくれたからね……黙って行く訳にもいかなかったのだ。

 騎士たちに整列され、盛大に見送られる……美咲、ガチガチに緊張してるよ。



 商都を出て、2㎞ほど進んだあたりで一度止まる。

「美咲、お疲れ様」
「本当に疲れた……何ですかあのプレッシャー。勇者に期待しすぎです。龍馬君に代わってほしい」

「俺は嫌だよ……さて……全員馬車から出てくれるかな」

「龍馬君、どうするの?」
「監視の目があるみたいだけど……まぁいいや。アレクセイ、馬車から馬を外してくれるか」

「旦那様、歩きですと少し体力的に持たない者が居るのですが……」
「セバス、大丈夫だ、問題ない」

 俺はとっておきを【インベントリ】から取り出す。

「「「バス!」」」

 学園所有の大型バスだ。
 学園には専属の運転手も居て、各部の遠征や応援なんかで時々使われていた。

「王都まで約650kmあるけど、ゆっくり行っても2日で着くよ」
「「「…………」」」

 馬車を【インベントリ】に放り込み、5頭の馬に【レビテト】を掛けて宙に浮かせ【魔糸】で繋ぐ。
 最初少し暴れたが、足を動かしても空を切るだけなので怪我する事もない。

「さあ、乗った乗った!」

 正座席45席、補助座席も含めれば定員55名乗れる。学園組21名、奴隷組12名、バグナーさんにレイラさんパーティー3名、合計37名……余裕だ! 街道の幅も十分有るな……そもそも馬車が大きいのだ。貴族の乗る大型馬車はもっと横に大きいかもしれない。ちなみにこの大型バスは幅2.5m、長さ12mで最大級のモノだ。街道の道幅は4、5mは有るので十分だ。すれ違いに困った時は、こっちは【インベントリ】に入れれば消し去る事ができるので問題ない。


 ミッション車なのに運転できるのかって?
 人形たちが工房内で練習してくれたので、俺の熟練度も上がっているのだ。


 街道を大型バスで爆走した! ヒャッハー状態だ! むっちゃ楽しい!

 ***************************************************
 お読みくださりありがとうございます。

 4章突入です。
 セバスへのスキルコピーは迷いましたが、忠誠心を上げるのと拠点防衛の要になりそうなので、最低限に与えておきました。意外とセバスに文字数を使ってしまった……おかげで山本先生の話がカットw

 後日『色々あった』の部分は何があったのかいずれ話します……皆さまの予想通りですけどね。

 バス移動は学園編当初から予定していたものです……美弥ちゃんの車の話がつい先出ししてしまったのですw
 おかげでこっちのインパクトが薄くなってしまったので、ちょろっとしか触れませんでした。
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